重賞ウィナーレポート

2021年11月20日 東スポ杯2歳S G2

2021年11月20日 東京競馬場 晴 良 芝 1800m このレースの詳細データをJBIS-Searchで見る

優勝馬:イクイノックス

プロフィール

生年月日
2019年03月23日 02歳
性別/毛色
牡/青鹿毛
戦績
国内:2戦2勝
総収得賞金
1,756,556,000円
馬主
有限会社シルク
生産者
ノーザンファーム (安平)
調教師
木村 哲也
騎手
C.ルメール
  • 2歳の育成馬では、初めての重賞勝ちとなる
    2歳の育成馬では、初めての重賞勝ちとなる
  • 出産を控えた繁殖牝馬たち
    出産を控えた繁殖牝馬たち

 この2歳世代が初年度産駒となる、キタサンブラックの産駒としては初めての重賞勝ち馬となったイクイノックス。育成を手掛けたノーザンファーム早来の桑田裕規厩舎長にとっても、現役時のキタサンブラックは強く印象に残っていた馬だった。

 「育成馬の応援に菊花賞(G1)を見に行ったのですが、その時の勝ち馬がキタサンブラックでした。パドックを周回する姿を見た時からいいうまだと思いましたし、そのレースぶりも含めて、強く印象に残っていました」(桑田厩舎長)

 その時から5年後、桑田厩舎長はキタサンブラック産駒となる、イクイノックスの育成を手掛けることとなった。

 「身体のラインこそ細めに映りましたが、乗り味は物凄く良かったです。まだ馬体の幅を出せれば、更に動きが良くなってくると思っていただけに、成長を促しながら調教を進めていきました」(桑田厩舎長)

 その頃のイクイノックスの目標について、桑田厩舎長は父が初めてG1を制した菊花賞(G1)だったと話す。

 「距離が合った方がいいとも思っていましたし、馬体の成長も含めて、それがマッチするのは菊花賞(G1)だと思っていました。それだけに新馬戦での走りを見た時には驚かされました」(桑田厩舎長)

 そのメイクデビュー新潟だが、好スタートを決めて一度はハナに立つも、その後は折り合いを付けながら3番手でレースを進めていく。最後の直線でも手綱を動かさないまま、空いた内側に進路を向けると、鞍上のゴーサインで進出を開始。残り1ハロンから一気に加速を見せ、2着馬には1秒差を付ける快勝劇となった。

 「淡々とラップを刻みながら、スタミナ勝負のレースになればと思っていただけに、先行してくれたときはチャンスがあると見ていましたが、直線であれだけの末脚を使えるとは思っていませんでした」(桑田厩舎長)

 そしてこの東京スポーツ杯2歳S(G2)では、また違ったレースぶりで強さを証明する。メイクデビュー新潟とは違い、後方からのレースとなったものの、内側でじっくりと脚を溜めていく。最後の直線で外に進路を向けられると、メンバー中最速となる上がり32秒9の末脚を使い、まさに図ったかのように先頭の馬を捉え切った。

 「まだ前の位置取りの方が持ち味が出せるのではと思っていましたが、ルメール騎手が馬のリズムを崩すことなく乗ってくれたからこそ、あの末脚が使えたと思います。しかも成長途上だと思っていた中での勝利だっただけに、物凄い馬ではないかと思うようになりました」(桑田厩舎長)

 先行して良し、差して良しと、2歳馬離れしたレースセンスを見せているイクイノックス。実はレース前、管理をする木村哲也調教師が牧場に訪ねてきたというが、桑田厩舎長と同じように、「まだまだ弱いところも残っているが、それが解消されてくるようなら、まだまだ良くなる馬」と聞かされていただけに、この勝利は更なる活躍を期待させる結果ともなった。

 この勝利で賞金面での来年のクラシック出走権を確定させたと言えるイクイノックス。当初の目標としていた菊花賞(G1)の前に、皐月賞(G1)、そして日本ダービー(G1)でも、更に成長した姿を見せてくれるに違いない。