重賞ウィナーレポート

2021年11月13日 武蔵野S G3

2021年11月13日 東京競馬場 晴 稍重 ダ 1600m このレースの詳細データをJBIS-Searchで見る

優勝馬:ソリストサンダー

プロフィール

生年月日
2015年05月02日 06歳
性別/毛色
牡/黒鹿毛
戦績
国内:27戦6勝
総収得賞金
250,591,000円
トビーズコーナー(USA)
母 (母父)
ラヴソースウィート  by  スペシャルウィーク
馬主
村上 稔
生産者
村田牧場 (新冠)
調教師
高柳 大輔
騎手
戸崎 圭太

 チャンピオンズカップ(G1)の前哨戦的位置づけの武蔵野ステークス(G3)が11月13日に東京競馬場で行われ、新冠町の村田牧場生産で戸崎圭太騎手騎乗の3番人気ソリストサンダーが、最後の直線で早めに抜け出して優勝。昨年2着の雪辱を果たすとともに、4度目の中央重賞挑戦で初のタイトルを獲得した。

 村田牧場の歴史は長く1930年(昭和5年)に村田岩太郎氏によって創業。すでに90年以上の歴史を持つ老舗牧場だ。JRA賞最優秀短距離馬ローレルゲレイロはじめ南関東唯一の三冠牝馬チャームアスリープ、岩手公営からJRAへ移籍し桜花賞(G1)2着、オークス(G1)2着と健闘したユキノビジンほか、凱旋門賞(G1)にも挑戦した現役のディープボンド、日経新春杯(G2)に勝ち大阪杯(G1)2着、宝塚記念(G1)3着モズベッロなどを送り、近年の活躍が目覚ましい牧場だ。

 同牧場の4代目社長となった村田洋幸氏はレースをテレビで観戦していたそうだ。「生産馬の重賞勝利は何物にも代えがたい喜びです。それは大前提なのですが、(ソリストサンダーは)昨年のこのレースがコンマ1秒差2着で、春のかしわ記念(Jpn1)はハナ差2着。前走のマイルチャンピオンシップ南部杯(Jpn1)も3着と惜敗が続いていました。それだけに、勝つときはずいぶんとあっさりなのだなぁというのが正直なところです」と、どこか肩の荷を下ろしたような、ほっとしたような表情でレースを振り返ってくれた。

 牧場時代の印象は「格好の良い馬」だったそうだ。「気性が悪いとか、頑固というわけではないのですが自分の意思を通すような馬で、悍性も強い馬でした。良い意味で競馬向きの気性の持ち主でした」と思い出を話し。「自分が管理していたのは離乳までですが、垢ぬけた馬体の持ち主で放牧地でも目立つような馬でした」という。

 ところが、といっては失礼だがオータムセールへの上場を決める。「5月生まれで、(まだ評価が定まっていない)トビーズコーナーの2世代目産駒。馬の出来には自信がありましたのでオータムセールの頃なら馬体も成長し、購買者の目に留まるだろう。」そう考えたそうだ。実際、660頭もの1歳馬が上場されたこのセールで、ソリストサンダーこと「ラヴソースウィートの2015」は高額11位タイとなる1,100万円(税抜)で取引されている。

 2歳8月に芝1200m戦でデビューし4着。悪い内容ではなかったが、母親が公営競馬で11勝を挙げていた馬ということもあって2戦目からはダート路線を歩むことになり、あっさりとデビュー3戦目に初勝利。連勝を目指してプラタナス賞へと向かうことになるのだが「勝ったときの内容から手応えを感じましたが、相手が悪かった」。のちにジャパンダートダービー(Jpn1)、チャンピオンズカップ(G1)などを勝つルヴァンスレーヴに食らいつく2着だったがレース後に骨折が判明して1年以上を棒に振ることになる。

 「そんな大きなケガをした馬が重賞タイトルを取ってくれました。長い休みがあったので年齢からくる印象ほど使い減りはしていないと思います。もちろん、上を目指してほしいですが、ケガなく、長く頑張って欲しい」と願っている。