重賞ウィナーレポート

2021年10月11日 マイルChS南部杯(中央交流) Jpn1

2021年10月11日 盛岡競馬場 曇 不良 ダ 1600m このレースの詳細データをJBIS-Searchで見る

優勝馬:アルクトス

プロフィール

生年月日
2015年05月02日 06歳
性別/毛色
牡/鹿毛
戦績
国内:22戦10勝
総収得賞金
299,643,000円
アドマイヤオーラ
母 (母父)
ホシニイノリヲ  by  シンボリクリスエス(USA)
馬主
山口 功一郎
生産者
須崎牧場 (新冠)
調教師
栗田 徹
騎手
田邊 裕信
  • 須崎牧場代表の須崎孝治さん(牧場の乳母と)
    須崎牧場代表の須崎孝治さん(牧場の乳母と)
  • 新冠町高江にある須崎牧場の分場
    新冠町高江にある須崎牧場の分場
  • 牧場の真新しい看板
    牧場の真新しい看板
  • アルクトスのパネル(北海道市場)
    アルクトスのパネル(北海道市場)
  • 優勝垂れ幕(新冠町レ・コード館)
    優勝垂れ幕(新冠町レ・コード館)

 マイルチャンピオンシップ南部杯(Jpn1)はアルクトスが優勝。1番人気に応えて見事連覇を飾った。

 本馬の故郷は新冠町の須崎牧場。昭和35年創業で、新冠町内に本場と分場を構える。繁殖牝馬は20頭で、須崎さん家族とスタッフ5名が働いている。

 レースを振り返ってくれたのは、同牧場代表の須崎孝治さん。レース当日は現地で観戦していたという。

 「本命に推されていましたし、勝利を期待して現地まで応援に行きました。パドックでは馬が落ち着いていましたし、仕上がりの良さを感じました。外枠があたりましたし、道中は揉まれずに競馬できましたね。直線に向いて逃げ馬を交わしたあたりで勝利を確信しました。田辺裕信騎手はアルクトスのことをよく理解していますし、盛岡コースも結果を出していますからね。頼もしいコンビです。有観客競馬となり、スタンドの席からは競馬を楽しんでいるお客さんの姿が見えました。お客さんがいる中で勝てたことも嬉しかったです」と、喜びを語った。

 本馬は父アドマイヤオーラ、母ホシニイノリヲ、母の父シンボリクリスエスという血統。須崎さん曰く、牧場時代から雄大な馬体で、身のこなしの柔らかい馬だったという。1歳時、セレクションセールに上場し、山口功一郎さんが2,052万円(税込、以下同)で落札した。セール出身の活躍馬ということで、北海道市場では同馬の勝利を称えるパネルが飾られている。

 ホシニイノリヲは現在空胎で、来年の種付けに備えている。大きな馬で、そのあたりは550kg近い馬格に恵まれたアルクトスに通じる。シンボリクリスエスの肌馬からはアカイイト、オーソリティ、ソングライン、レイデオロと活躍馬が続出しており、これからのホシニイノリヲの産駒にも注目が高まる。

 デビュー前の産駒には父シルバーステートの1歳牡馬がいて、昨年のセレクトセールに上場し、こちらも山口功一郎さんが2,530万円で落札した。現在は浦河町のシュウジデイファームで育成の日々を送っている。「おそらく芝向きで、アルクトスとはタイプが違いますね。こちらも良い体つきをしていますよ。栗田徹厩舎に入ります」(須崎さん)

 本馬誕生の背景には、須崎さんと祖母コンキスタドレスの出会いにさかのぼる。約20年前、同牧場がアメリカから導入した。

 「当時、シーキングザゴールドの肌を狙っていました。コンキスタドレスは候補の一頭で、G1・2着の実績があって高くなりましたが、競り落とすことができました」と、懐かしむ。

 コンキスタドレスのケースのように、同牧場は海外からの繁殖牝馬導入に積極的だ。特にアメリカのダート系牝馬を選んでいる。代を経て結果になった一頭がアルクトスだ。

 「これまで海外から10頭ぐらい導入しましたね。アメリカのダートで、スピードのある馬が多いです。選ぶ際には母の父がどの馬かを重視しています。優秀なブルードメアサイアーを持つ肌馬で、あとは血統にクロスが多いか少ないか、ですね。昔はよく手書きで血統表を書いていました。今は便利な時代になって、JBISの架空血統表をよく利用していますよ」(須崎さん)

 過去にはエーピーインディ、ストームキャット、ダンジグ、ミスタープロスペクターといった名種牡馬たちと対面し、目に焼き付けてきたという。おそらく、そうした名種牡馬との貴重な機会も、繁殖牝馬選びに結び付いているのだろう。

 Jpn1・2勝目を飾り、獲得賞金は約3億円となった本馬。ダートのマイル戦線では中央・地方問わず好結果を出している。古馬となってからは年間4、5戦でキープしており、年齢以上に馬がエネルギッシュで若々しい。来年はJBCが盛岡開催でもあり、得意の盛岡コースを含めてもう一つ、二つと勲章を増やすのではないだろうか。

 須崎さんは、「オーナーや大事に接している厩舎スタッフの皆さんのおかげですね。今後も無事に走ってきて欲しいと思います。一戦一戦、この馬らしい走りを見せて欲しいです」と、期待を寄せている。