重賞ウィナーレポート

2021年10月09日 サウジアラビアRC G3

2021年10月09日 東京競馬場 曇 良 芝 1600m このレースの詳細データをJBIS-Searchで見る

優勝馬:コマンドライン

プロフィール

生年月日
2019年02月20日 02歳
性別/毛色
牡/青鹿毛
戦績
国内:2戦2勝
総収得賞金
40,252,000円
ディープインパクト
母 (母父)
コンドコマンド(USA)  by  Tiz Wonderful(USA)
馬主
(有) サンデーレーシング
生産者
ノーザンファーム (安平)
調教師
国枝 栄
騎手
C.ルメール
  • 神戸新聞杯(G2)の勝ち馬である、ステラヴェローチェも育成馬となる
    神戸新聞杯(G2)の勝ち馬である、ステラヴェローチェも育成馬となる
  • 冬晴れの下を、元気に放牧される1歳馬
    冬晴れの下を、元気に放牧される1歳馬

 今年の春にノーザンファーム早来で行われた2歳馬取材。ノーザンファーム早来の木村浩崇厩舎長が、「これまで携わってきた馬の中でもトップクラス」と話していたのが育成時のコマンドラインだった。

 「ディープインパクト産駒も様々な血統馬に携わせてもらいましたが、行く気が強い馬が多い中で、コマンドラインは折り合い面が良くて、何でもできるイメージがありました。人の手を煩わせるようなことも無かったですし、無駄なこともしない。競走馬としての理想形のような馬でしたね」と木村厩舎長は育成時を振り返る。

 その後も順調に調教が行われたコマンドライン、6月5日に行われた芝1600mのメイクデビュー東京を優勝。この時の単勝は1.1倍であり、改めて注目度の高さを証明した。

 「芝1600mでのデビュー戦となりましたが、距離が伸びたとしても不安が無いような走りでした。ただ、サウジアラビアRC(G3)はコマンドラインよりマイル適正の高そうな馬が出走していたので、瞬発力勝負になったのならば分が悪いのではと思っていました」(木村厩舎長)

 その馬とは同じノーザンファームの生産育成馬で、デビュー前の評判も耳に入っていたステルナティーアであり、3番人気に支持されていたスタニングローズも、同じバックボーンを持っていた。

 ただ、結果としてサウジアラビアRC(G3)は、コマンドラインの万能ぶりを証明するレースとなった。スローペースを嫌って2番手にポジションを上げると、そこで引っかかることもなく折り合いをつける。最後の直線では早めに抜け出して、ステルナティーアやスタニングローズの追撃を振り切って、見事に初重賞制覇を果たした。

 「先に抜け出しを図ったことで、後ろにいた2頭からの目標とはなりましたが、結果的にあの位置で動いていなければ勝てなかったレースだと思います。その意味ではジョッキーの好判断だったと言えますし、そしてコマンドラインの強さも証明できたレースとなりました」

 これでサウジアラビアRC(G3)を4連覇したノーザンファーム生産馬であるが、そのうちサリオス、ステラヴェローチェ、そしてコマンドラインの3頭が、ノーザンファーム早来育成馬。しかも、木村厩舎の育成馬となる。

 「この時期の2歳重賞に出走する馬は早い時期にデビューして、そして勝ち上がっている必要があります。この結果も含めて、近年の育成馬たちは早期のデビューが叶えられている証と言えますし、そして、早い時期に勝ち上がれたことが、3年続けての重賞勝ち馬に繋がっていると言えます」

 先に勝利したサリオスはその後、朝日杯FS(G1)と毎日王冠(G2)を優勝。そしてステラヴェローチェも神戸新聞杯(G2)を優勝して、クラシック三冠レースでは全て掲示板圏内という安定した成績を残した。

 「まだ大柄な馬体を持て余している感もありますが、成長と共に身体がシャープになってくるにつれて、瞬発力も出てくるはずです。更に大きなタイトルも狙えるとも思いますし、先々が楽しみです」と木村厩舎長。今後のコマンドラインの活躍だけでなく、来年もサウジアラビアRC(G3)にノーザンファーム木村厩舎の育成馬が出てきたのなら、是非とも注目してみたい。