2021年04月04日 ル・プランタン賞(GDJ)
優勝馬:トゥルスウィー
プロフィール
- 生年月日
- 2018年05月23日 03歳
- 性別/毛色
- 牝/鹿毛
- 戦績
- 国内:15戦9勝
- 総収得賞金
- 28,295,000円
- 父
- ヴァンセンヌ
- 母 (母父)
- ブラックウィッチ by ブラックホーク(GB)
- 馬主
- (株)本城
- 生産者
- 佐藤 静子 (新冠)
- 調教師
- 北村 欣也
- 騎手
- 山口 勲
『グランダム・ジャパン2021』3歳シーズンの第3戦「ル・プランタン賞(佐賀)」は、1番人気に推されたトゥルスウィーが2馬身半差の快勝。道中2番手追走から4コーナーで早くも先頭に立ち、そのまま後続を寄せ付けずにゴール板を駆け抜けた。
トゥルスウィーは、新冠町共栄に牧場を構える佐藤静子さんの生産馬。羽田盃3着、東京ダービー2着と2006年の南関東クラシック戦線で活躍したトキノシャンハイを送り出した牧場で、現在は佐藤さんお1人で5頭の繁殖牝馬とその仔たちを管理している。
「1人でやっているものですから、なかなか生産馬のレースも観れなくて。あとから結果を聞くことが多いんですよ」と笑う佐藤さん。トゥルスウィーのル・プランタン賞勝利も、娘さんから電話で教えてもらったそうだ。
トゥルスウィーの母ブラックウィッチは、兵庫競馬で3勝を挙げたブラックホーク産駒。祖母キョウワジュテームは米三冠馬シアトルスルーの直仔で、3歳春にJRAの芝レースを2勝し、重賞にも駒を進めた活躍馬だった。「母のブラックウィッチは生まれ故郷の協和牧場さんに戻って繁殖生活を送っていたのですが、繁殖4年目に知り合いの紹介で譲っていただくことになりました。とても気性の強い馬で、種付けの際には毎回手こずっています」と母馬を紹介してくれた。
今春、母ブラックウィッチは父アポロケンタッキーの牡馬を出産。同じく今年生まれた4頭の当歳馬とともに、放牧地ですくすくと育っている。「今年生まれた牡馬はとてもやんちゃで、母馬のしっぽをかじって歩くんです。ですから、母馬のしっぽがこんなに短くなっちゃいました(笑)」と母仔の姿を眺めながら苦笑いを浮かべる。
トゥルスウィーの父は、ディープインパクトとフラワーパークの交配から生まれた超良血のヴァンセンヌ。重賞勝利は東京新聞杯(G3)だけだったが、安田記念(G1)でモーリスにクビ差まで迫る2着するなどG1級の力を示し、その良血も見込まれて2016年に種牡馬入り。以降、毎年30頭~40頭に種付けを行っている。「母馬との相性を考えて種牡馬を選んでいるのですが、ヴァンセンヌは良血のわりに種付料がリーズナブルなので交配を決めました」と佐藤さんは話す。翌年、元気な牝馬が誕生し、牧場の放牧地で健やかに育っていった。
「当時、ホッカイドウ競馬の調教師さんがヴァンセンヌを父に持つ牝馬を探しておられて、牧場に仔馬を見に来られたんです。とても気に入ってもらい、即決で購入していただきました」と、トゥルスウィーが競走馬への第一歩を踏み出した瞬間についても教えてくれた。
トゥルスウィーは、2歳6月に門別競馬場でデビュー。4戦目に初勝利を挙げてから3連勝をおさめ、秋にはダートグレードのエーデルワイス賞(Jpn3)や牝馬重賞のブロッサムカップにも出走。そしてホッカイドウ競馬のシーズン終了と同時に佐賀競馬へ移籍すると、そこから4連勝で一気に佐賀3歳世代のトップホースへ上り詰めた。飛燕賞3着で連勝は途切れたものの、ル・プランタン賞を快勝し、九州クラシック一冠目の佐賀皐月賞も4馬身差の快勝。5月30日(日)に行われる九州ダービー栄城賞で、牝馬ながらに“ダービー馬”の栄冠へ挑むこととなりそうだ。
「私もあと何年牧場をつづけられるか分かりませんが、最後に生産馬がこんな活躍を見せてくれてとても幸せです。トゥルスウィーには、これからも無事に競走生活を送ってほしいと願っています」とエールを送る佐藤さん。馬産地・日高からの想いが、遠い九州の地まで届いてほしい。