2021年03月20日 ファルコンS G3
優勝馬:ルークズネスト
プロフィール
- 生年月日
- 2018年03月11日 03歳
- 性別/毛色
- 牡/鹿毛
- 戦績
- 国内:5戦2勝
- 総収得賞金
- 83,625,000円
- 馬主
- 窪田 芳郎
- 生産者
- ノーザンファーム (安平)
- 調教師
- 浜田 多実雄
- 騎手
- 幸 英明
ルークズネストの勝利で重賞3勝目となった父モーリス。初重賞制覇をあげたピクシーナイト(シンザン記念(G3))が芝マイルで、シゲルピンクルビー(フィリーズレビュー(G2))、そして、ルークズネスト(ファルコンS(G3))が芝1400m。現役時の父と同様に、産駒もマイル色が強い傾向が出ているが、ルークズネストの育成を手掛けたノーザンファーム空港の木村純一厩舎長は、「正直、芝短距離向きといったスピード能力は育成時には感じられませんでした。当時は恵まれた馬体こそしていましたが、それだけに緩さも残り、走りもパワーが勝っていた印象があります」と意外なエピソードを教えてくれる。
2歳9月のメイクデビュー中京でデビューを果たしたルークズネストではあったが、育成時はまだデビュー時期もゆっくりな方がいいのではと思えた程に、他の育成馬よりも成長が遅く、また、坂路での調教などでは、ハミにもたれて走り、騎乗スタッフもコントロールに苦労させられていた。
「それでも徐々に芯が入ってくるようになると、走りも良くなり、動きもどんどんと変わっていきました。そこから一気に入厩に向けての見通しが立ち始め、送り出す頃には緩かった動きもかなりしっかりとしてきました」(木村厩舎長)
確実に評価を上げていったルークズネストではあるが、その時の印象と「ファルコンS(G3)をハイペースで逃げ切る姿が重なりません」と苦笑いを浮かべる木村厩舎長。それでも牧場時代にしっかりと基礎を作られたことが、入厩後における、更に高いレベルの調教や、成長力を引き出したことは間違いない。
3戦目に未勝利戦を勝ち上がると、続くシンザン記念(G3)では後方から追い込んで2着に入着。その末脚にも驚かされたと木村厩舎長は話すが、更に驚いたのが、内枠から果敢に先手を奪いに行った、ファルコンS(G3)のレースぶりだったという。
「枠もありましたし、幸騎手がいい判断をしてくれたとも思いました。元々、身体を大きく使った走りをしていた馬でしたし、馬群で窮屈になるよりは、この方が気持ちよく走れるのではとも見ていました」(木村厩舎長)
最後の直線、ずっとマークするように走っていたグレナディアガーズが、外から交わしにかかる。脚色では劣っているように見えたルークズネストではあったが、そこから二枚腰を使い、最後はアタマ差だけ先着してみせた。
「最後の直線では2着でも十分だと思っていました。ゴールの瞬間は差されたようにも見えましたが、スローを見ていたら前に出ていたので、その瞬間、一気に休憩室で歓声が起こりました」
実は木村厩舎長がB3厩舎を任せられたのは、この3歳世代からであり、レースも土曜日だったことで、出勤していた多くの厩舎スタッフと共にTVから声援を送っていた。その後はひっきりなしに様々な関係者から、厩舎長としての初重賞制覇を祝福する連絡がスマートフォンに入り、それはいつまでも鳴りやまなかった。
「厩舎長となった時、目標の一つが育成馬で中央の重賞を勝つことでした。それがこんな早い時期に達成できるとは思ってもみませんでしたし、厩舎スタッフや牧場の皆さん、そして、こちらを離れてからの管理をしてくれた、浜田先生やスタッフの皆さんや、ノーザンファームしがらきの皆さんにも感謝しかありません」(木村厩舎長)
次走はNHKマイルC(G1)を予定しているが、「走りや血統的にもマイル適性は高いと思いますし、広い東京コースならば、更にいい走りを見せてくれると思います」と期待を寄せる木村厩舎長。育成馬による初重賞制覇を果たしたこの勢いのままに、G1初制覇もルークズネストが果たしてくれる可能性は、十分にありそうだ。