重賞ウィナーレポート

2019年07月07日 プロキオンS G3

2019年07月07日 中京競馬場 晴 稍重 ダ 1400m このレースの詳細データをJBIS-Searchで見る

優勝馬:アルクトス

プロフィール

生年月日
2015年05月02日 04歳
性別/毛色
牡/鹿毛
戦績
国内:12戦7勝
総収得賞金
299,643,000円
アドマイヤオーラ
母 (母父)
ホシニイノリヲ  by  シンボリクリスエス(USA)
馬主
山口 功一郎
生産者
須崎牧場 (新冠)
調教師
栗田 徹
騎手
田辺 裕信

 夏の中京開催を彩るダート重賞「第24回プロキオンステークス(G3)」は7月7日、中京競馬場で行われ、道中インコースで脚を溜めた新冠町の須崎牧場生産で2番人気アルクトスが激戦を制して優勝。1分21秒2の好タイムで重賞初勝利を飾った。

 日高軽種馬農協の副組合長も務める場主の須崎孝治さんは「本当に差のない競馬で結果は紙一重。今回は田辺裕信騎手のコース取りが上手だったと思いますし、運も良かったと思います」と笑顔でレースを振り返った。

 同馬は、父アドマイヤオーラ、母ホシニイノリヲ(母の父シンボリクリスエス)という血統の4歳馬。「アドマイヤオーラの4世代目産駒ですから初年度産駒のデビューした翌年春の配合です。当時、ゴールドペガサス(のちの4勝馬)やクロスクリーガー(のちにレパードS(G3)優勝)といった馬が2歳の特別戦を勝った程度。しかしアドマイヤオーラは地元の新冠町で供用されていた馬なので注目していました。雄大な馬格を持ったホシニイノリヲとの配合で生まれたアルクトスは、生まれたときから高い点数が与えられる馬でした」と牧場時代を振り返る。

 そうした牧場主の期待どおりに日高の選抜市場といわれる「セレクションセール」へと上場され、20,520,000円(税込)で現在の馬主でもある山口功一郎氏が落札。落札後は浦河町の牧場でひと月ほど夜間放牧を施されたのちに育成牧場のシュウジデイファームへと移動する。

 「市場における高額落札馬らしい、馬っぷりの良い馬でした。セレクションセールに上場されるくらいの馬ですから、初期馴致もしっかりとされていたのでしょうが、今、こうして当時を振り返っても素直で手がかからなかった馬だったという記憶しかありません」とシュウジデイファームの石川秀守社長。調教メニューを強めて行く中で「馬格にも恵まれた馬ですが、スピードがあがるとストライドも伸び、体全体を使って走るようなフォームに変わってきました。グイグイと引っ張るような前進気勢が印象に残っています」と、当時のことを話してくれた。「当時、心身ともに未完成の状態でしたが、普通に乗っていても、思った以上の時計が出てくるので、大事に使っていけば、未勝利では終わってしまうような馬ではない」という思いは日に日に強くなったという。

 初勝利は3歳2月だったが関係者の期待どおりに6月には古馬を相手に連勝。レパードS(G3)5着のち、再びシュウジデイファームへと戻ってきた。「連戦の疲れというよりも、暑い夏を北海道で過ごさせてあげたい」という意味合いが強かったそうだが、戻ってきたアルクトスには「馬体重以上に大きく成長した雰囲気」を感じたという。その言葉どおりに帰厩後、休み明けながらも準オープン特別も勝って、層の厚いダートオープンへと名乗りをあげ、今回の重賞制覇に繋げている。

 「アルクトス自身もまだまだ強くなると思いますが、これからは本当に強い馬たちとの戦いになります。自分が得意とする舞台が用意されると思いますので、どんな競馬をしてくれるか本当に楽しみです」と話している。