重賞ウィナーレポート

2019年08月04日 レパードS G3

2019年08月04日 新潟競馬場 晴 良 ダ 1800m このレースの詳細データをJBIS-Searchで見る

優勝馬:ハヤヤッコ

プロフィール

生年月日
2016年02月10日 03歳
性別/毛色
牡/白毛
戦績
国内:9戦3勝
総収得賞金
241,975,000円
キングカメハメハ
母 (母父)
マシュマロ  by  クロフネ(USA)
馬主
金子真人ホールディングス (株)
生産者
ノーザンファーム (安平)
調教師
国枝 栄
騎手
田辺 裕信
  • 厩舎のすぐ近くには屋内周回コースもある
    厩舎のすぐ近くには屋内周回コースもある
  • 木村厩舎はハヤヤッコが育成馬では初めての重賞勝ちとなった
    木村厩舎はハヤヤッコが育成馬では初めての重賞勝ちとなった

 白毛馬としてはJRA初となるグレードレースでの重賞馬となったハヤヤッコ。その能力の高さをノーザンファーム早来の木村浩崇厩舎長は、育成時から感じ取っていた。

 「デビュー前に2歳馬の取材でもマスコミの方に紹介したことがあるのですが、その頃にも『白毛馬の代表馬になれる』と話したことがあります」(木村厩舎長)

 そうコメントさせるだけの能力の高さは、抜群の乗り味にも反映されていた。

 「自分の印象としては芝向きと言えるような乗り味の良さ、そして切れる脚を使えそうな反応の良さもありました。ダート馬としてはパワーが足りないような印象もありましたが、それでも『この馬はダート向きだよ』とずっと話しておられたのが、管理をされていた国枝調教師でした」(木村厩舎長)

 結果としては木村厩舎長の判断、そして国枝調教師の選択は共に正しかった。デビュー2戦目となる芝のレースを快勝してアイビーSにも出走したハヤヤッコであったが、このレースで8着に敗れると、次走からは戦いの場をダートへと変更。2着が続いていた3歳500万下を3戦目で勝ち上がると、8着に敗れた青竜Sを挟んで出走したのが、初の重賞挑戦となるレパードS(G3)だった。

 スタートのタイミングこそ合わなかったハヤヤッコであるが、1000m通過が60秒1というハイペースとなったこのレースで、鞍上の田辺騎手は後方待機策を取っていく。

 「前目でレースをするのではないかと思っていましたし、思ったよりも後ろの位置取りにも見えました。それでも砂のかぶらない位置でレースを進めてくれたことで、馬も気分良く走れたのではないかと思います」(木村厩舎長)

 最後の直線、田辺騎手はハヤヤッコを馬群の外へと進路を向けていく。そこからまさに「切れる脚」を使うと、先に抜け出したデルマルーヴルをクビ差交わした場所がゴール板だった。

 このレースを木村厩舎長は、帰省先だった自宅のTVで見ていた。

 「後方からハヤヤッコが抜けてきたときは『マジか』と思いました。それは言葉にも表れていたようで、TVに向かって何度も『マジか、マジか』と話していたようです」(木村厩舎長)

 レース後、その姿を見ていた両親から、早速お祝いの言葉を掛けられただけでなく、スマートフォンにはひっきりなしにお祝いのメールやLINEが次々と届けられていた。

 実はこのハヤヤッコの勝利が、木村厩舎長がノーザンファーム早来で牡馬の育成厩舎を任せられてから、初めての中央重賞勝利となった。

 「嬉しいですし、ホッとしているというのが正直な気持ちです。ただ、この結果に満足しているだけでなく、まだまだ育成馬たちから大きなタイトルを取れる馬を送り出したいですし、そのためにも1頭でも多く、そして1つでも多くの勝利をあげさせられるように努力をしていこうとの思いが強くなりました」(木村厩舎長)

 そう話した木村厩舎長は、ノーザンファーム生産育成馬であり、7月30日に亡くなったディープインパクトについての話をしたあとに、「ディープインパクトが亡くなったその週に、金子オーナーの所有馬で重賞を勝てたことにも、特別な思いがあります。ディープインパクトが天国からハヤヤッコの後押ししてくれたのではとも思いましたし、金子オーナーがこの勝利を喜んでくれていたのなら、育成スタッフとしてこれほど嬉しいことはありません」(木村厩舎長)と感慨深げに語っていた。

 取材の最後には、個人的な考えですが、また芝でレースをする姿も見てみたいです、とも話した木村厩舎長。今後も白毛馬として更なるタイトルが期待できそうなハヤヤッコであるが、そのタイトルの中には、白毛馬として初めてとなる芝のグレードレースが含まれることになるのかもしれない。