重賞ウイナーレポート

2019年04月07日 桜花賞 G1

2019年04月07日 阪神競馬場 晴 良 芝 1600m このレースの詳細データをJBIS-Searchで見る

優勝馬:グランアレグリア

プロフィール

生年月日
2016年01月24日 03歳
性別/毛色
牝/鹿毛
戦績
国内:4戦3勝
総収得賞金
198,775,000円
ディープインパクト
母 (母父)
タピッツフライ(USA) by Tapit(USA)
馬主
(有) サンデーレーシング
生産者
ノーザンファーム (安平)
調教師
藤沢 和雄
騎手
C.ルメール
  • グランアレグリアはA2厩舎の育成馬となる
    グランアレグリアはA2厩舎の育成馬となる
  • 第二のグランアレグリアを探すべく、先日も取材陣が厩舎へ取材に訪れていた
    第二のグランアレグリアを探すべく、先日も取材陣が厩舎へ取材に訪れていた

 「規格外の牝馬」とは、グランアレグリアのことを指すのだろう。

 芝1600mにおける2歳新馬戦のレコードを記録(1分33秒6)したメイクデビュー。同世代の牝馬との力の違いをまざまざと見せたサウジアラビアRC(G3)。38年ぶりの牝馬による優勝を目指した朝日杯FS(G1)というローテーションもまた、牝馬としては規格外だった。

 この朝日杯FS(G1)では、1番人気を背負ったものの3着に敗退。その後、陣営は約4か月もの調整へと入り、中111日での出走という、こちらも規格外のローテーションで桜花賞へと出走。桜花賞史上最長のレース間隔での優勝を果たしただけでなく、それまでの史上最長のレース間隔だったアーモンドアイの89日を更新。しかも、そのアーモンドアイの桜花賞レコード(1分33秒1)を0秒4塗り替える、1分32秒7の走破タイムを記録と、まさに規格外ずくめの競走成績を残している。

 「朝日杯FS(G1)は状態も良く、牡馬が相手でも勝負になると思っていました。それだけに勝てなかったことよりも、グランアレグリアらしいレースができなかったことが悔しかったですね」と唯一の敗戦を振り返るのは、ノーザンファーム空港の窪田淳調教主任。ノーザンファーム天栄で調整に入った時も常に中間の様子は入っていたが、それでもピークの状態に思えた朝日杯FS(G1)と比較すると、まだ先を見越した調整のように思えていたという。

 「直前の動きからしても、いい状態でレースに臨めそうだとは思っていましたが、メンバーが揃ったこの桜花賞(G1)で、勝ち負けのレースができるかは半信半疑だった、というのが正直な気持ちでした」(窪田調教主任)

 それはこの桜花賞(G1)での単勝2番人気という、ファン心理としても現れたと言える。1番人気に支持されたのはデビュー戦では先着を許したものの、そこから連勝を続けて阪神JF(G1)、そして前哨戦のチューリップ賞(G2)も勝利したダノンファンタジー。また、その阪神JF(G1)では2着に敗れたものの、クイーンC(G3)を快勝したクロノジェネシスが3番人気で続いていく。

 ライバルたちはトライアルといった前哨戦において、2歳時からの成長ぶりをきっちりと証明していた。それと比較すると、2歳時から完成度の高さを示していたとはいえ、「規格外」のローテーションであったグランアレグリアは、その後の成長過程を証明できずにいたことが、評価を下げた形となっていた。

 4枠8番の枠順から、スムーズなスタートを切ったグランアレグリアであったが、道中は行きたがるような素振りを見せていく。

 「その時は久しぶりのレースだったのも関係しているのではと思いました。ただ、パトロールビデオを見直してみると、この辺りは他の馬もごちゃついていましたね。その後はジョッキーも馬を抑えてくれましたし、その時にいいポジションを取れたことが、結果的にも良かったと思います」(窪田調教主任)

 前半1000mの通過ラップは59秒4と、レコード決着のレースとしては決して速くは無い。しかしながら、ここからの600Mは「10.8-11.0-11.5」と一気にペースが上がっていく。そのペースが上がったときに、自ら動いていったのがグランアレグリアだった。

 4コーナーの出口では早くも先頭に立つと、そのまま後続の追い込みを封じていく圧巻のレース内容。2着のシゲルピンクダイヤとの差は2馬身半差ながらも、その着差以上のスピードとスケール感の違いを、まざまざと証明した。

 「自ら動いただけでなく、直線でもしっかりと脚を使ってくれました。育成調教を行っていた頃から高い能力を持っていた馬とは思っていましたが、休み明けのレースでここまでのパフォーマンスを見せてくれたのは、驚きでしかありません」(窪田調教主任)

 このレースの後、陣営は二冠制覇がかかるオークス(G1)へは向かわず、同じ芝1600mで行われるNHKマイルC(G1)への出走を表明する。「育成時から気持ちを表に出すような走りを見せていたグランアレグリアにとっては、ベストなローテーションだと思います」と窪田調教主任は話す。

 「むしろ叩き2戦目となる次走は、更にいい状態でレースを迎えられるだけでなく、東京コースもこの馬にはあっていると思います。何よりも自分が思っていた以上の能力を持っていることが、この桜花賞(G1)で証明されましたし、NHKマイルC(G1)は一ファンとしても楽しみでなりません」(窪田調教主任)

 殊勲の母となったタピッツフライだが、現2歳のブルトガング(牡2歳、手塚)を産み落とした後に亡くなっている。

 「牝馬はこの馬だけであり、ゆくゆくは母の高い能力を後世に繁殖牝馬として伝えていく大事な役割も背負っていると思います。それだけに優秀な成績を残していくだけでなく、無事に牧場へと戻ってきてもらいたいですね」(窪田調教主任)

 「規格外の牝馬」は、いずれ、「規格外の名牝」として、多くの名馬を送り出して行くはず。その前にグランアレグリアには幾つもの「規格外のレース」を見せてもらおう。