重賞ウィナーレポート

2019年02月03日 東京新聞杯 G3

2019年02月03日 東京競馬場 晴 良 芝 1600m このレースの詳細データをJBIS-Searchで見る

優勝馬:インディチャンプ

プロフィール

生年月日
2015年02月21日 04歳
性別/毛色
牡/鹿毛
戦績
国内:8戦5勝
総収得賞金
615,040,000円
ステイゴールド
母 (母父)
ウィルパワー  by  キングカメハメハ
馬主
有限会社シルク
生産者
ノーザンファーム (安平)
調教師
音無 秀孝
騎手
福永 祐一

 2015年の2月5日に亡くなったステイゴールド。その年には1頭の繁殖牝馬に配合を行っており、次の年に誕生した牝馬はハルノナゴリ(牝3、高橋義)という馬名でデビューを果たしている。

 その前年の2014年には122頭の繁殖牝馬に配合を行い、2015年には99頭の産駒が誕生している(血統登録数は96頭)。産駒数からしても、ステイゴールドにとっての最後の大物は現4歳を迎えたこの世代にいると言えそうだが、それは、東京新聞杯(G3)を制したインディチャンプとなるのかもしれない。

 インディチャンプを育成したのは、ノーザンファーム空港のA1厩舎。毎年のように数々の活躍馬を送り出してきたA1厩舎であるが、昨年の天皇賞(春)(G1)で初G1制覇を果たし、今シーズンからは優駿スタリオンステーションで繋養されるレインボーラインも、父にステイゴールドを持つ育成馬となる。

 「同じステイゴールドの産駒ですが、レインボーラインと似ているという印象は無かったです。インディチャンプ自身はそれほど体高は無かったにしても、馬体にも幅があったように、むしろ母系が出ていたのかもしれません」と話すのは、大木誠司厩舎長。父を彷彿とさせるかのような小柄な馬体で、芝のマイルから、その倍の距離がある天皇賞(春)(G1)でも勝ち鞍を上げてきたレインボーラインであるが、インディチャンプは7戦4勝2着1回と、芝のマイルを得意としてきた。筋肉質の馬体だけでなく、こうした競走成績もまた、近親にリアルインパクト(安田記念(G1)、ジョージライダーS(G1))や、アイルラヴァゲイン(オーシャンS(Jpn3)がいる、スピード色の強い牝系が強く出たとも言えそうだ。

 インディチャンプは他の育成馬よりも遅れてA1厩舎に移動してきただけでなく、調教を進めると疲れが出るなど、決して順調にトレーニングを行えているとは言えなかった。

 「だからといって急いでも仕方ないと思っていました。順調に進められるようになってからは動きの良さも見せ始めましたし、これならいいところもあるのではと思えるようになりました」(大木厩舎長)

 2歳12月のメイクデビュー阪神に続き、年明けの3歳500万下も優勝。初めての重賞挑戦となる毎日杯(G3)では3番人気の支持を集めて3着。続くアーリントンC(G3)では2番人気となるも4着と惜しいレースが続いていく。

 「初戦、2戦目とレース内容も良かったですし、重賞でも好走していたのを見て、これなら大きなタイトルも狙えるのではと思うようになりました」(大木厩舎長)

 その後は古馬との戦いとなるも、1000万下、1600下と連勝してオープンへと返り咲く。その初戦が東京新聞杯(G3)だった。

 この東京新聞杯(G3)だが、昨年のアーリントンC(G3)ではインディチャンプを下して優勝を果たし、NHKマイルC(G1)で1番人気の支持を集めたタワーオブロンドン。同じ芝1600mで行われた富士S(G3)を勝利していたロジクライといった、芝のマイル重賞における実力馬が人気を集めていたが、1番人気となったのは重賞未勝利馬のインディチャンプだった。

 「人気にも推されていましたが、自分自身、レース前から期待をしていました。ただ、スタート後まもなくして、最後方となった時には大丈夫かな?とも思いました」

 しかしながら、鞍上の福永祐一騎手は決して焦ること無く、インコースからレースを進めながらポジションを上げていく。最後の直線では早めに先頭に立つと、そのままセーフティーリードを保ちながらゴール。ゴール前でその差を詰められたのは、1頭となったときに馬が遊んでいたとの福永騎手のコメントが聞かれていたように、まさに能力の違いをまざまざと見せつけての初重賞制覇となった。

 1つ上の5歳世代にはダービー馬のレイデオロ。現3歳世代からも、クラシック戦線を沸かしてくれそうな馬が出てきているなど、世代を問わず重賞級の馬を送り出しているA1厩舎だが、今年はインディチャンプに芝短距離重賞を沸かして欲しいと大木厩舎長は話す。

 「この勝利でG1も視野に入ってきたと思いますし、まだまだ心身共に成長を遂げてくれるはずです。ゆくゆくはステイゴールドにとっての最後の代表馬、とも言われるような活躍も期待したくなります」(大木厩舎長)