2015年03月24日 若草賞(GDJ)
優勝馬:ジュエルクイーン
プロフィール
- 生年月日
- 2012年04月17日 03歳
- 性別/毛色
- 牝/青鹿毛
- 戦績
- 国内:13戦4勝
- 総収得賞金
- 60,465,000円
- 母 (母父)
- プラチナローズ by クロフネ(USA)
- 馬主
- 杉山 忠国
- 生産者
- 明治牧場 (三石)
- 調教師
- 川西 毅
- 騎手
- 岡部 誠
昨年の『グランダム・ジャパン(GDJ)2014』2歳シーズンのチャンピオン・ジュエルクイーンが、今年のGDJ3歳シーズン開幕戦である「若草賞(名古屋)」を勝利で飾った。同レースは、3歳女王を目指す素質馬が各地から集結し、毎年ハイレベルなメンバー同士の戦いになる。
ホッカイドウ競馬出身で、名古屋に移籍してからも各地を転戦しながら2歳女王となったジュエルクイーンにとって、意外なことに今回のレースが初の地元戦。逃げたハナノパレードをスタート直後から終始マークするような位置で競馬を進め、後続を大きく引き離して序盤から一騎打ちの様相。その状態のまま直線へ入ると、残り100m付近でハナノパレードを振り落とし、昨年11月のラブミーチャン記念、今年1月のゴールドジュニアにつづく3つ目の重賞タイトル獲得した。
レースを牧場の事務所でスタッフとともに観戦していたという明治牧場の場長・柳沢末治さん。「仕掛けどころで反応が鈍く、追い通しになっていたので、交わせるかどうかヒヤヒヤしながら観ていました。直線に入ってもまだ競っていたので、最後まで気が抜けませんでした。ゴール手前で1馬身位差がついた時、ようやく勝ったと思えました」と、その時の心境を語る。「先頭でゴールを切った時の気持ちは?」と聞くと、スタッフの皆さんから一斉に明るい笑い声があがり、勝利の瞬間がよみがえったような活気に包まれた。
ジュエルクイーンの牧場時代は、腰が弱くてシャキッと歩く馬ではなかったそうだ。「1歳の夏に中央の調教師さんの勧めで針治療をしたんです。そのころから少しずつ良い方向に変わって行きました。デビューしてからは、道営時代も1着~3着がほとんどでしたし、それ以降もJRAに遠征したクイーンC(G3)以外は掲示板を外していません。牧場時代を思うと、想像以上に結果を残してくれています」と当時を振り返る柳沢場長。「今回も1番人気でしたし、最近は注目されていますね。こうして活躍している姿を見ると、私たちも励みになります。グランダム・ジャパンシリーズの1戦目を勝ったので、更に上積みできるよう頑張って欲しいです」と愛馬にエールを送る。
ジュエルクイーンは、父キンシャサノキセキ、母プラチナローズ、母の父クロフネという血統。父キンシャサノキセキは、フジキセキの直仔ながらオーストラリア生まれで、史上初となる高松宮記念(G1)連覇を成し遂げた外国産快速馬。母プラチナローズはジュエルクイーンと同じ明治牧場の生産馬で、2005年の福島2歳Sに優勝。祖母スギノキューティーは良血の外国産馬で、1998年のフラワーカップ(G3)を制し、牡馬相手のニュージーランドトロフィー4歳S(G2)やNHKマイルC(G1)でも、勝ったエルコンドルパサーに肉薄した活躍馬だった。
母プラチナローズは今年の4月12日、ハーツクライの仔を無事に出産。身体がしっかりした大きい体格の牡馬で、すでに体重は60キロを超えている。順調に成長している様子で、将来が楽しみだ。プラチナローズは子煩悩で、お乳もたくさん出る子育て上手な良き母だが、我が子可愛さにうるさい一面もあるという。
祖母スギノキューティーは20歳になったが、毛ヅヤも良くて馬体も若々しく、とてもお婆ちゃんには見えない。若い頃は気性が激しく、今でも少しその余韻は残っているが、その荒さは決して人には向けないという。こちらも父オルフェーヴルの牝馬を無事に出産し、子育てに奮闘中だ。
明治牧場は繁殖牝馬24頭、当歳12頭(取材時)、1歳15頭(うち預かり馬1頭)を、従業員7名(パート含む)で管理している。「スタッフには恵まれていますから」と語る柳沢場長が中心となって和気藹々とした雰囲気を作り出し、スタッフが同じ方向を見つめて団結することにより、多くの活躍馬を送り出すことができているのではないだろうか。「管理馬についてはどんな小さなことでも報告しあい、スタッフみんなで相談しながら、どうしたら良いか考えています。これからも病気や怪我の少ない丈夫な馬を作っていきたいです」と話す。
そんな温かい配慮でいっぱいの牧場で生まれ育ったジュエルクイーン。妹、弟たちの活躍も楽しみだが、まずは自身が史上初となる『グランダム・ジャパン』2歳&3歳シーズンの連覇へ向け、その力を存分に輝かせて欲しい。