2014年11月11日 ラブミーチャン記念(GDJ)
優勝馬:ジュエルクイーン
プロフィール
- 生年月日
- 2012年04月17日 02歳
- 性別/毛色
- 牝/青鹿毛
- 戦績
- 国内:9戦2勝
- 総収得賞金
- 60,465,000円
- 母 (母父)
- プラチナローズ by クロフネ(USA)
- 馬主
- 杉山 忠国
- 生産者
- 明治牧場 (三石)
- 調教師
- 田中 正二
- 騎手
- 阪野 学
『グランダム・ジャパン2014』2歳シーズン第4戦は、笠松競馬場のマイルコースが舞台となる「ラブミーチャン記念」。昨年までは「プリンセス特別」として実施されてきたが、笠松が生んだ名馬ラブミーチャンが引退したのを機に、今年からその馬名を冠したレース名に改称して行われることになった。
北海道から3頭、岩手から1頭の遠征馬を迎え、9頭立てで行われた改称初年度の優勝馬は、1番人気に支持されたジュエルクイーン(北海道)。メモリードルマン(愛知)との激しい叩き合いを制し、デビュー9戦目にして嬉しい初重賞制覇を成し遂げた。
「これまで重賞で惜敗がつづき、応援に行った門別競馬場では何度も悔しい思いをしていたので、本当に嬉しかったですね。直線では“頑張れ!頑張れ!”と声が出ました。初距離、初コースに加え、初の長距離輸送も重なったので不安もありましたが、よく競り勝ってくれました。前走は交流重賞のエーデルワイス賞(Jpn3)でも2着しましたし、一戦毎に力をつけていると思います」と話すのは、ジュエルクイーンの生まれ故郷である明治牧場の場長・柳沢末治さん。牧場の事務所にスタッフが集まってレースを観戦し、ゴールした瞬間は万歳をして喜び合ったそうだ。
太平洋に近い新ひだか町三石に位置する明治牧場からは、1996年のファンタジーS(G3)優勝馬シーズプリンセスや、スペシャルウィークが優勝した1998年の日本ダービー(G1)3着馬ダイワスペリアーなどが巣立っている。記憶に新しいところでは、一昨年の北九州記念(G3)を制したスギノエンデバー、今年のアイビスサマーダッシュ(G3)を制したセイコーライコウなども同牧場の出身だ。繁殖牝馬20頭、スタッフ8名(パート含む)という日高では中規模の牧場で、中央・地方へコンスタントに活躍馬を送り出しつづけている。
ジュエルクイーンが牧場で過ごした時代について、「当歳時から体が大きくて胸前や肩もがっちりしており、牝馬にしては馬格がありました。この牝系は気の強い馬が多いのですが、ジュエルクイーンはわりとおとなしかったです。少しトモに甘さがあったので、1歳時にJRAの調教師の勧めで針治療をしたのですが、それから歩様が良くなって馬が変わりました」と柳沢場長は振り返る。
ジュエルクイーンの母プラチナローズも同牧場の生産馬で、2歳時には福島2歳Sに優勝し、阪神ジュベナイルフィリーズ(G1)へも駒を進めた活躍馬。祖母スギノキューティーは1998年のフラワーC(G3)に優勝し、同年のNHKマイルC(G1)ではエルコンドルパサーの3着した実績もある。母、祖母共に同じ杉山美惠オーナーの所有馬で、その牝系の豊かなスピードをさらに伸ばしたいというオーナーの意向を受け、種牡馬初年度のキンシャサノキセキを配合して生まれてきた牝馬がジュエルクイーンだった。
「母のプラチナローズは現在、ハーツクライの仔を受胎しています。人間にはキツいところがありますが、仔をよく可愛がります。祖母のスギノキューティーも元気に繁殖をつづけており、こちらはオルフェーヴルの仔を受胎中です」と、優秀な血をつなぎつづける母と祖母を紹介。また現1歳には、ジュエルクイーンの全妹にあたる牝馬がJRAデビューに向けて順調に育成されているという。「ジュエルクイーンと比べてひと回り小さいですが、落ち着きがあって、体つきも良いです。素質は互角か、それ以上だと思っています」と、姉の重賞制覇を受けて期待は膨らむ一方だ。
「長年手がけているオーナーの血統で結果を出せて特別な思いです。シリーズ総合優勝争いも気になりますが、今後のレースも無事に走ってきて欲しいですね。再び北海道の競馬場で走ることがあれば、皆で応援に行きたいです。仕上がり早な一方、使いながら良化する母系でもあるので、まだ伸びしろはあると思います」と愛馬にエールを送る。エーデルワイス賞(Jpn3)2着、ラブミーチャン記念1着で30ポイントを獲得し、1戦を残して『グランダム・ジャパン2014』2歳シーズントップを走るジュエルクイーン。その名の通り“輝ける女王”となる舞台は、大晦日の大井競馬場となりそうだ。