重賞ウィナーレポート

2012年09月19日 園田プリンセスC(GDJ)

2012年09月19日 園田競馬場 晴 不良 ダ 1400m このレースの詳細データをJBIS-Searchで見る

優勝馬:カツゲキドラマ

プロフィール

生年月日
2010年04月07日 02歳
性別/毛色
牝/鹿毛
戦績
国内:5戦5勝
総収得賞金
11,330,000円
クロフネ(USA)
母 (母父)
アジアンリゾート  by  Capote(USA)
馬主
野々垣 正義
生産者
飛渡牧場 (新冠)
調教師
柴田 高志
騎手
尾島 徹
  • カツゲキドラマの母アジアンリゾート
    カツゲキドラマの母アジアンリゾート
  • アジアンリゾートと当歳馬(牝、父リンカーン)
    アジアンリゾートと当歳馬(牝、父リンカーン)
  • 北海道新冠町に位置する飛渡牧場
    北海道新冠町に位置する飛渡牧場
  • 南関東で活躍するイーグルショウ、ゴールドキャヴィアらも、この牧場から巣立った
    南関東で活躍するイーグルショウ、ゴールドキャヴィアらも、この牧場から巣立った
  • 飛渡牧場の看板
    飛渡牧場の看板

 『グランダム・ジャパン2012』2歳シーズンの開幕を飾ったのは、園田競馬場で行われた「園田プリンセスカップ」。地元馬8頭、他地区馬4頭というメンバーで争われたが、1.1倍の圧倒的な支持を受けたのはデビューから4連勝中、笠松から遠征してきたカツゲキドラマ。レースではスタートダッシュがつかず後方からの競馬となったが、徐々にポジションを上げて4コーナーで早くも先頭に並びかけ、最後の直線はエンジンの違いを見せつけるかのごとく他馬を突き放して余裕のゴール。負け知らずの5連勝で、重賞初制覇を成し遂げた。

 カツゲキドラマの生まれ故郷は、新冠町の飛渡牧場。グランダム・ジャパンの合言葉ともなっている“ロジータ”を生産した高瀬牧場とは目と鼻の先にある。過去には東京盃(G2)、北海道スプリントカップ(G3)を制した快速馬カガヤキローマンをはじめ、現役馬として南関東の重賞戦線をにぎわせているイーグルショウ、ゴールドキャヴィアらを生産。繁殖牝馬は12頭で、飛渡さんご家族で切り盛りしている。

 カツゲキドラマの生産者・飛渡清一さんは、園田プリンセスカップを自宅で観戦していたそうだ。「断然人気に推されましたが、スタートで出遅れましたし、道中はハラハラしながら行方を追っていました。それでも向正面の行きっぷりが非常に良く、これまでとはまた一味違った走りを見せてくれましたね。直線で抜け出した時は、本当に嬉しかったです」と愛馬快勝のレースを振り返る。

 カツゲキドラマは、父クロフネ、母アジアンリゾート、母の父カポウティという血統。2010年4月、母の6番仔として誕生した。全兄には2010年の兵庫ダービーを制したハイパーフォルテがおり、地方競馬が推し進めるシリーズ競走『ダービーウイーク』『グランダム・ジャパン』の各レースを、同じ配合の兄妹で優勝したことになる。「クロフネは現役時代の圧倒的なパフォーマンスを見て、前々から注目していました。種牡馬として仔出しも良いし、芝・ダート両方に対応できますからね。目論見通り、生まれてきたハイパーフォルテが高い評価を得たので、再度同じ配合をすることに決めました。一度は不受胎でしたが、翌シーズンにもう一度トライして生まれたのがカツゲキドラマでした。牝馬ということもあり、ハイパーフォルテよりは華奢でしたが、1歳時にレントゲンを撮った獣医師が“賢い馬だ”と言っていたほど、利口な馬でした」と、優秀な兄妹を誕生させた父クロフネの能力を改めて強調する飛渡さん。

 一方の母アジアンリゾートは、中央で3戦して未勝利のまま引退。飛渡牧場が繁殖牝馬として購入し、毎年順調に産駒を誕生させていたが、2008年秋、思いもよらぬ朗報が舞い込む。本馬の半弟に当たるオウケンブルースリが、3歳クラシック最終戦の菊花賞(G1)を制したのだ。「オウケンブルースリがG1を勝つ前にアジアンリゾートを購入していたのですが、もし順序が逆だったら、この血統を手に入れられるチャンスはなかったかもしれませんね」と話す飛渡さん。「気の強い馬で、放牧地ではいつもボスです。ただ人には悪さをしませんし、仔馬にも母として優しく接しています。現在はディープスカイの仔を受胎しています」と幸運にも手に入れることができた自慢の肌馬を紹介してくれた。

 ブラックタイプに堂々とG1馬の名前が載ることになったカツゲキドラマは、2011年のHBAセレクションセールに上場。しかし買い手に恵まれず、残念ながら主取りとなってしまった。その後、長年にわたって飛渡牧場とお付き合いのある野々垣正義オーナーが本馬に目を付け、庭先取引が成立。1歳秋まで同牧場で過ごし、笠松の柴田高志厩舎へ直接移動したそうだ。厩舎でめきめきと力をつけてデビューすると、ファンの度肝を抜くような次元の違うレースを繰り返し、初遠征・初重賞も難なくクリアした。「グランダム・ジャパンの総合チャンピオンをめざして、今後は遠征の機会が増えるのかもしれませんが、せりの時も馬運車の移動は平気でしたし、輸送は大丈夫でしょう。家族経営なので、なかなか競馬場まで応援には行けませんが、無事に良いレースをしてくれることを願っています」と愛馬を思いやる飛渡さん。

 同牧場には本馬の半弟にあたる1歳馬(牡、父マヤノトップガン)と、当歳馬(牝、父リンカーン)が無事に誕生し、飛渡さんと共に姉の活躍を見守っている。「1歳はおとなしい馬で、見た感じは父に似ていますね。当歳はやんちゃで元気いっぱいです。両方とも父は違いますが、カツゲキドラマに似た部分も感じています」とデビュー前の弟妹にも期待を膨らませている。

 「カツゲキドラマには、同じ笠松のラブミーチャンのような強い牝馬になって欲しいですね」と夢を託す飛渡さん。オグリキャップ、オグリローマン、ライデンリーダー、ラブミーチャン…。これまでのレースぶりを見ると、笠松競馬から誕生したそれらの名馬に肩を並べるだけの資質は十分に感じさせている。まずは『グランダム・ジャパン2012』2歳シーズン女王の座へ。そして全国区のアイドルホースへと、大きく羽ばたいていってほしい。