重賞ウィナーレポート

2012年07月04日 スパーキングLC(中央交流) Jpn3

2012年07月04日 川崎競馬場 晴 重 ダ 1600m このレースの詳細データをJBIS-Searchで見る

優勝馬:スティールパス

プロフィール

生年月日
2007年05月07日 05歳
性別/毛色
牝/黒鹿毛
戦績
国内:18戦6勝
総収得賞金
123,737,000円
ネオユニヴァース
母 (母父)
ロイヤルペルラ  by  ブライアンズタイム(USA)
馬主
飯田 正剛
生産者
千代田牧場 (静内)
調教師
松田 國英
騎手
蛯名 正義

 『グランダム・ジャパン2012』の古馬シーズン開幕を飾ったのは、川崎競馬場で行われた牝馬ダートグレード「スパーキングレディーカップ(Jpn3)」。JRAからミラクルレジェンド(牝5歳、栗東・藤原英昭厩舎、単勝人気1.8倍)、南関東からクラーベセクレタ(牝4歳、船橋・川島正行厩舎、単勝人気2.0倍)が参戦し、牝馬ダート路線の頂上決戦として大きな注目を集めたが、その人気両馬を押さえて優勝したのは4番人気のスティールパス(牝5歳、栗東・松田国英厩舎、単勝人気13.2倍)。道中5番手追走から4コーナーで先行集団に並びかけ、直線で先に抜け出したクラーベセクレタを競り落とす強い勝ち方で、嬉しい重賞初制覇を成し遂げた。

 スティールパスの生まれ故郷は、新ひだか町の千代田牧場。静内、新冠、千葉に拠点を構える屈指の名門牧場で、古くからの競馬ファンには天皇賞(秋)(G1)などG1レースで3勝を挙げた名馬ニッポーテイオー、最近の競馬ファンには今年のヴィクトリアマイル(G1)を制したホエールキャプチャの生産牧場として記憶に刻まれていることだろう。その他にも、イチフジイサミ(75年天皇賞(春))、ビクトリアクラウン(82年エリザベス女王杯)、タレンティドガール(87年エリザベス女王杯(G1))、スマイルトゥモロー(02年オークス(G1))、ピースオブワールド(02年阪神ジュベナイルフィリーズ(G1))、ストロングブラッド(05年かしわ記念(G1))など、長期に渡りコンスタントにタイトルホースを送り出し続けている。

 「前走から馬体重が大きく増えていましたが、強い競馬でしたね。完勝と言える内容だったと思います」とスティールパスのレースを振り返ってくれたのは、同牧場の道谷さん。前走からプラス22kgの480kgという馬体重を心配する声もあったが、実績馬たちをねじ伏せるようなパワーアップした走りで、心身共に成長した姿を披露して見せた。

 スティールパスの1歳下には、フラワーカップ(G3)優勝馬のトレンドハンターがいる。その妹がクラシック戦線を沸かしていた昨春は1000万円下のクラスを抜け出せず、夏には降級も経験。そこから再度立ち上がり、ようやくたどり着いた初重賞の舞台だったが、その苦労した時代を微塵も感じさせぬほどの見事な完勝劇に、「更に大きな舞台でも活躍してくれることを願っています」と、同牧場も希望を膨らませている。

 同馬の母のロイヤルペルラ(父ブライアンズタイム)も千代田牧場の生産馬だが、競走馬としては未出走のまま牧場へ帰ってきて繁殖生活を始めた。そして父ネオユニヴァースとの配合で産まれた3番目の仔がスティールパスだった。「馬体の良さと気の強さが目立っていましたね」と、道谷さんは同馬が牧場で過ごした時期を振り返る。今年は父にマンハッタンカフェを持つ妹が誕生しており、「スティールパスとも似ていて、高い素質を感じています」と、姉の重賞制覇を受けて同牧場の期待も高まっているようだ。

 千代田牧場には昨年、ひと足先に妹のトレンドハンターが帰ってきて繁殖入りし、父エンパイアメーカーの間に牝馬を誕生させている。そして今夏のセレクトセール当歳市場に上場され、6510万円(当歳牝馬としては4番目の高額)で取引された。姉のスティールパスについても、「タイトルを獲れば繁殖価値も上がります。素晴らしい血統ですし、繁殖牝馬としても楽しみです」と、母親として牧場へ帰ってくる近い将来を見据えている。

 今秋には、JBCレディスクラシックなどの大一番が控えている。当然そこでは、主役級の1頭として注目される存在になるだろう。現役の競走馬としてさらにステップアップし、将来は立派な母としてその枝葉を広げていってほしいと願う。