重賞ウィナーレポート

2020年11月08日 AR共和国杯 G2

2020年11月08日 東京競馬場 曇 良 芝 2500m このレースの詳細データをJBIS-Searchで見る

優勝馬:オーソリティ

プロフィール

生年月日
2017年02月12日 03歳
性別/毛色
牡/鹿毛
戦績
国内:6戦4勝
総収得賞金
353,104,000円
オルフェーヴル
母 (母父)
ロザリンド  by  シンボリクリスエス(USA)
馬主
有限会社シルク
生産者
ノーザンファーム (安平)
調教師
木村 哲也
騎手
C.ルメール
  • この夏に管理をした育成馬では、3頭目の重賞勝ち馬となった
    この夏に管理をした育成馬では、3頭目の重賞勝ち馬となった
  • 敷地に沿った道路には、馬がデザインされたカントリーサイン
    敷地に沿った道路には、馬がデザインされたカントリーサイン

 好事魔多し。それは青葉賞(G2)をレースレコードで制した後での、関係者たちの偽らざる思いだろう。この勝利で日本ダービー(G1)の有力馬として注目された矢先に左前球節部に骨片が見つかり、この世代の頂点を決めるレースへの出走が叶わなかったところか、休養を余儀なくされることともなった。

 しかしながら、この時期に無理をさせなかったことが、「史上4頭目となる、3歳馬でのアルゼンチン共和国杯(G2)優勝に繋がったのでは」と管理を手がけた、ノーザンファーム早来の木村浩崇厩舎長は話す。

 「元々、蹄の問題も抱えていた馬でしたし、手術後にも右前のソエを気にしていただけに、時間をかけて立て直すことができました」

 ただ、時間はあると言っても、目指すべきレースは決まっていた。

 「当初は菊花賞(G1)というプランもありました。ただ、そこを目指して無理をさせるよりも、アルゼンチン共和国杯(G2)を目標とした方が、調整もしやすいのではと中島文彦GMも話してくれました」

 5月18日に行われた骨片摘出手術の後、トレッドミルなどで運動を再開したオーソリティが、乗り運動を再開したのは7月中旬。すると、脚元の不安も解消されたこともあったのか、一気に動きが良化していく。

 「気持ちの問題もあったのか、以前は走りにムラがあったのですが、落ち着いて走れるようになり、集団調教ではどの位置からもスムーズに指示通りに動けるようになりました。乗り出した頃は間に合うのかなと思ったこともありましたが、息づかいを含めた感触も良かったですし、想定通りの時期に厩舎へと送り出せました」

 ただ、入厩後は元気が有り余っていたのか、「様々な方に苦労をかけたみたいです」と神妙に話す木村厩舎長。それも、オーソリティが心身共にいいリフレッシュを送れたからだろうが、レースでは休み明けとは思えないような快走を見せていく。

 「調教では折り合いの不安ものぞかせていただけに、大外枠からの出走もプラスではないと思っていました。ただ、ゲートが開いてからは、そんなことを微塵にも感じさせなかったですね」

 スタートが切られると、オーソリティは外枠から内側へと進路を切り替えていき、3番手を追走。折り合いの不安も全く感じさせること無く、最後の直線では早めに抜け出して、自分より年上の17頭をみるみる引き離していった。

 「最後の直線をルメール騎手が手綱を持ったままで入っていったとき、勝ち負けのレースになると思いました。レース内容もさることながら、次走に繋がる勝利だとも思います」

 陣営からは次走に有馬記念(G1)出走のプランも伝えられたが、父オルフェーヴルも勝利している舞台でもあり、血統面からも申し分無い。

 古馬と3歳世代の熱い戦いがこの秋のG1戦線を盛り上げているが、今年最後の大一番で、3歳世代の強さを証明してくれる馬。それは遅れて来た大物と言える、オーソリティなのかもしれない。