重賞ウィナーレポート

2020年05月02日 青葉賞 G2

2020年05月02日 東京競馬場 晴 良 芝 2400m このレースの詳細データをJBIS-Searchで見る

優勝馬:オーソリティ

プロフィール

生年月日
2017年02月12日 03歳
性別/毛色
牡/鹿毛
戦績
国内:5戦3勝
総収得賞金
353,104,000円
オルフェーヴル
母 (母父)
ロザリンド  by  シンボリクリスエス(USA)
馬主
有限会社シルク
生産者
ノーザンファーム (安平)
調教師
木村 哲也
騎手
L.ヒューイットソン

 今年の青葉賞(G2)をレースレコードで制したオーソリティ。育成先となるノーザンファーム早来の木村厩舎では、この世代だとサリオス(サウジアラビアRC(G3)、朝日杯FS(G1))、サトノフラッグ(弥生賞(G2))に続く、3頭目の重賞馬となった。

 「青葉賞(G2)で2着となったヴァルコスも育成馬となります。この世代はクラシック戦線を沸かしてくれるような活躍馬が多く出ており、スタッフ共々、励みになっています」と木村浩崇厩舎長。大型馬ながら軽い動きを見せていたサリオス、優等生で学習能力にも秀でていたサトノフラッグと、木村厩舎を巣立った活躍馬たちは、育成時から逸話を残していたが、オーソリティについて牧場時代を振り返ってもらうと、「ロンギ場で跨がった時には、背中が無茶苦茶いい馬だと思いましたが、その一方でオルフェーヴル産駒らしいというのか、気が強くて危なっかしいところも幾度かありました」と話してくれる。調教も順調に進められたが、サリオスやサトノフラッグと比較すると、気持ちのムラが走りにも現れることもあった。

 「それでも馬体もありましたし、動きも力強さがありました。タフな馬とでもいうのか、運動量も豊富であり、早めのレースにも使えるだろうなと思っていました」

 4月中には厩舎へと移動し、7月のメイクデビュー函館で初陣を飾ると、その後はオープンの芙蓉Sで2勝目をあげる。

 「使い出しは早くとも、本当に良くなるのは精神面の成長も伴った、古馬になってからだと思っていただけにメイクデビュー、芙蓉Sと連勝してくれたときには驚きました」

 3戦目はホープフルS(G1)に出走するも5着、そして年明けの弥生賞(G2)では牧場時代の僚馬であるサトノフラッグに及ばず3着に敗退。しかしながら両レース共に、重賞でも十分に戦えることを示した結果ともなった。

 その上、育成時はパワータイプの馬だと思っていたオーソリティだったが、実は上がりの競馬にも十分対応できるような、スピード能力も持ち合わせていることが改めて証明されていく。

 優先出走権を得た皐月賞(G1)には向かわず、ダービートライアルの青葉賞(G2)へと照準を合わせたオーソリティは、最後の直線で馬場の真ん中に進路を向け、脚色も良く、先頭に躍り出ようとしていったヴァルコスに並びかけていく。最後は牧場の調教を思い出させるかのような併せ馬でゴール板に飛び込んだが、クビ差だけ先に抜け出していたのはオーソリティだった。

 「レースは自宅で見てましたが、ゴール前はのどが枯れるほどに叫びました。育成時は、ここまで高い能力を持っていることに気付いてあげられなかったことに申し訳ないと思いましたし、オーソリティ自身が様々な経験を重ねながら、ここまでの道のりを切り開いてくれたという印象も受けます」

 だが、青葉賞(G2)のレースレコードを樹立した反動とでもいうのか、レースの後に左前脚に故障を発症。検査の結果、骨片摘出手術を行うこととなり、ダービー(G1)出走は断念せざるを得なくなった。

 「ダービー(G1)でもあのパフォーマンスを見たかったとの思いもあるだけに残念です。ただ、古馬になればまだ強くなると思っていた馬ですし、現在は牧場に戻ってきていますが、いい状態で競馬場へと送り出したいです」

 日本ダービー(G1)にオーソリティの名前が無いのは残念であるが、その無念は木村厩舎を巣立った育成馬たちが晴らしてくれるはず。復帰の暁にはG1の舞台で、改めて相まみえる日も来るはずだ。