重賞ウィナーレポート

2019年11月09日 デイリー杯2歳S G2

2019年11月09日 京都競馬場 晴 良 芝 1600m このレースの詳細データをJBIS-Searchで見る

優勝馬:レッドベルジュール

プロフィール

生年月日
2017年04月06日 02歳
性別/毛色
牡/鹿毛
戦績
国内:2戦2勝
総収得賞金
45,406,000円
ディープインパクト
母 (母父)
レッドファンタジア(USA)  by  Unbridled's Song(USA)
馬主
(株) 東京ホースレーシング
生産者
ノーザンファーム (安平)
調教師
藤原 英昭
騎手
武 豊
  • 2歳馬の活躍に、厩舎スタッフの士気も上がる
    2歳馬の活躍に、厩舎スタッフの士気も上がる
  • 広大な施設には練習用のゲートも
    広大な施設には練習用のゲートも

 昨年は朝日杯FS(G1)とNHKマイルC(G1)を制したアドマイヤマーズが優勝するなど、幾多の名馬を送り出してきたデイリー杯2歳S(G2)。今年、この歴史ある重賞に勝ち馬としてその名を残したのは、ノーザンファーム生産馬のレッドベルジュールだった。

 育成先となったのはノーザンファーム空港のS1厩舎。同じS1厩舎では、今年の京王杯2歳S(G2)を制したタイセイビジョンも育成されており、この世代では早くも2頭の重賞馬を送り出したことにもなった。

 タイセイビジョンが勝利した時もお話を聞かせていただいた足立稔厩舎長であるが、タイセイビジョンが、完成度の高さ通りの活躍を見せてくれたと話した一方で、育成時のレッドベルジュールに対しては、「ディープインパクト産駒らしい能力の高さこそ感じていましたが、心身共に完成には時間がかかるとも思っていただけに、この時期に重賞を勝てるとは全く思っていませんでした」と驚きの表情を浮かべる。育成時の評価とはまるで正反対とばかりに、メイクデビューが始まって間も無い6月にデビューを果たしただけでなく、見事に2歳重賞も勝利しているレッドベルジュールであるが、そこには管理をする藤原英昭調教師の進言があった。

 「神経質な面もあったのか、思ったように馬体が増えてこなかった中でも、調教は順調にこなしていました。その際に馬をチェックに来ていた藤原先生から『早く持って行く』と聞かされた時には驚きました」

 4月の下旬には牧場を離れ、ノーザンファームしがらきを経由して藤原厩舎へと移動していったレッドベルジュールは、見事にメイクデビューを勝利した後、再びノーザンファーム空港へと戻ってくる。

 「先生からは『牧場で成長させたいから、強い調教はやらなくていい』との指示を受けました。その読み通りというのか、こちらにいる間には一気に馬体が大きくなり、送り出す前には480台㎏になっていました」

 デビュー戦は450㎏だったレッドベルジュールの馬体重であるが、このデイリー杯2歳S(G2)では、なんとプラス28㎏の478㎏まで増えていた。

 「輸送もあったので、送り出した時よりも減るかなと思っていましたが、パドックの姿を見ても増えた分が実になっているような印象さえ受けました。改めて藤原先生や厩舎スタッフの皆さんの管理は凄いと思わされました」

 スタートのタイミングが合わず、後方からのレースとなったレッドベルジュールであったが、鞍上の武豊騎手は最内をピッタリと回っていき、最後の直線では馬群が外に広がるところを柵沿いに進路を向けていく。充実した馬体が最後の末脚にも現れたかのように、力強く抜け出していくと、2着のウイングレイテストに1馬身半差をつける快勝を果たした。

 「メイクデビュー、そしてこのデイリー杯2歳S(G2)と、全て最高のタイミングでレースを使えたことが勝利に繋がったと思います。それを判断してくださっただけでなく、最高の状態でレースに臨ませてくれた藤原先生や、厩舎スタッフの皆さん、そして、ノーザンファームしがらきのスタッフがあっての活躍だと改めて思いました」

 S1厩舎出身で、共に重賞馬となったレッドベルジュールとタイセイビジョンであるが、実は一度も同じ乗り鞍での調教を行ったことが無いという。

 「タイセイビジョンは非常に順調に来ていた組での調教を行っていた一方で、レッドベルジュールはじっくりと乗り込んでいた組でした」と話す足立厩舎長。2頭は共に朝日杯FS(G1)出走のプランもあるが、そこで「同じ釜の飯」ならぬ、「同じ飼い葉」を食べてきたとも言えるS1厩舎出身の2頭が、初めて並んで走る姿が見られるのかもしれない。