重賞ウィナーレポート

2019年10月19日 富士S G3

2019年10月19日 東京競馬場 曇 稍重 芝 1600m このレースの詳細データをJBIS-Searchで見る

優勝馬:ノームコア

プロフィール

生年月日
2015年02月25日 04歳
性別/毛色
牝/芦毛
戦績
国内:10戦5勝
総収得賞金
367,288,000円
ハービンジャー(GB)
母 (母父)
クロノロジスト  by  クロフネ(USA)
馬主
池谷 誠一
生産者
ノーザンファーム (安平)
調教師
萩原 清
騎手
C.ルメール
  • 育成馬の活躍に、厩舎スタッフのモチベーションも上がっている
    育成馬の活躍に、厩舎スタッフのモチベーションも上がっている
  • 毎年のように重賞馬だけでなく、G1馬も送り出している
    毎年のように重賞馬だけでなく、G1馬も送り出している

 20年ぶりとなる牝馬の富士S(G3)制覇という快挙を果たしたノームコア。この勝利でもう一つ果たされた快挙とは、母のクロノロジストによる、2週連続での重賞制覇(秋華賞(G1)…クロノジェネシス)であった。

 「クロノロジストは素晴らしい繁殖牝馬だと思います。ノームコアとクロノジェネシスに共通しているのは、3歳を迎えてからの成長力であり、それは馬体の良化としても現れています」と話すのは、ノームコア、クロノジェネシスのG1馬2頭の騎乗育成を手がけた、ノーザンファーム早来の野崎孝仁厩舎長。その一方で、「2頭共に育成から能力の高さを感じさせていましたが、それでもG1を勝てるような活躍をしてくれるとは想像できませんでした」とも話す。それだけに成長力に秀でた血統だと改めて思えるのだが、ノームコアは初めてのG1制覇を果たしたヴィクトリアマイル(G1)の後に左第1指骨剥離骨折を発症。その後はノーザンファーム天栄で調整が行われてきたのだが、その過程は野崎厩舎長の元にも届けられていた。

 「骨折による影響はそれほどでもなく、秋の復帰に向けて予定通りの調整が行われていましたし、パドックで周回する姿を見たときにも、いい状態にあるように見受けられました。ただ、休み明けの上にメンバーも揃っていましたし、どんな競馬をしてくれるのだろうといった不安もありました」

 今年のNHKマイルC(G1)を制したアドマイヤマーズを含め、フルゲート18頭の中に重賞馬8頭が揃った今年の富士S(G3)。実力馬が揃ったこともあってか、先行勢がよどみない流れを作り出していく中で、ノームコアは後方からレースを進めながら最後の直線へと入っていく。

 その直線では、一気に広がった馬群の更に外に進路を取ったノームコアは、一気に末脚を爆発させると、前にいた馬たちを全て交わし去って行く。しかもゴール前では追いすがるレイエンダの着差を更に離してのゴール。休み明けの馬とは思えない程の完勝を果たした。

 しかも、レース後に野崎厩舎長の元にはとんでもない連絡が入る。実はノームコアは、発馬直後に左前を落鉄していたとのことであり、それにも関わらず、あれだけの末脚を使って見せたというのだ。

 「管理をしてくださっている萩原先生からは、レース後に電話をいただいたのですが、先生も『こんなに強かったんだね』と言っていました。G1馬らしいレースを見せてくれたとも言えるのでしょうが、それにしても強い馬ですね」

 この後は優先出走権を得たマイルCS(G1)には向かわないとの発表もあったが、能力は間違いなくG1級であることを証明して見せたノームコア。この後も大事にレースを使われていくことになりそうだが、いつか、クロノジェネシスとの姉妹対決を見てみたくもなる。