2019年09月22日 神戸新聞杯 G2
優勝馬:サートゥルナーリア
プロフィール
- 生年月日
- 2016年03月21日 03歳
- 性別/毛色
- 牡/黒鹿毛
- 戦績
- 国内:6戦5勝
- 総収得賞金
- 523,585,000円
- 馬主
- (有) キャロットファーム
- 生産者
- ノーザンファーム (安平)
- 調教師
- 角居 勝彦
- 騎手
- C.ルメール
一夏を越して、成長した姿を改めて証明した。この神戸新聞杯(G2)で日本ダービー(G1)以来となるレースに臨んだサートゥルナーリア。単勝1.4倍という圧倒的な支持に応えるかのように、2着のヴェロックスに3馬身差をつける快勝を果たした。
この夏、サートゥルナーリアは育成先でもあったノーザンファーム早来の伊藤厩舎で管理が行われていた。
「思ったよりも春先の競馬を使ってきたダメージは見られませんでした。こちらに来てから一週間後には乗り出しを再開したのですが、そこから体幹がどんどん膨らんでいくような印象すらありました」と話すのは伊藤隆行厩舎長。伊藤厩舎長はサートゥルナーリアの長所に関して、「この血統特有と言える、体幹の太さ」 と話していたが、サートゥルナーリアは伊藤厩舎で過ごした約3か月間で、体幹を更に太く、そして力強くしていっただけでなく、馬体もまた成長を遂げていった。
8月22日には伊藤厩舎を離れ、ノーザンファーム天栄へと移動していったサートゥルナーリアだが、その際は伊藤厩舎長自ら馬運車に乗り込んで到着を見届けた。
「成長分もありますが、それよりもフレッシュな状態で厩舎に戻すことを考えていたので、その目的は達成できたとも感じていました。むしろサートゥルナーリア自身が、夏の過ごし方を分かっていたような気さえします」(伊藤厩舎長)
神戸新聞杯(G2)は自宅のテレビで見ていたという伊藤厩舎長。良馬場の発表ながらも、小雨が降りしきる馬場は、決してグッドコンディションとは言えなかったものの、勝敗の分かれ目はそこではないと見ていたとも話す。
「レース展開がどうなるか、そしてサートゥルナーリアが自分のパフォーマンスを発揮できるかどうかだけだと思っていました。結果としては正攻法のレースをした上で、強さを証明してくれました」(伊藤厩舎長)
スタート直後は状態の良さが出てしまったのか、ハミをグッと取ると行きたがるようなそぶりをみせたサートゥルナーリアではあったが、その後は2番手をキープしていく。最後の直線では手綱を持ったまま先頭に躍り出ると、そこから後続との差を広げていく。スローで流れたレースではあったが、サートゥルナーリアが上がり3ハロンで記録したラップは32秒3。まさに「テン良し、中良し、終い良し」を時計からも証明する完勝だった。
レース後、鞍上を務めたC.ルメール騎手からは、「こちらが何もしなくても、馬がどんどん加速していった。パワーアップしている」とのコメントも聞かれたように、伊藤厩舎で過ごした約3か月の成果が、結果としても表れたと言えそうなサートゥルナーリア。それだけに伊藤厩舎長は、共に仕事をしてきた育成スタッフたちを称える。
「若いスタッフも多い厩舎ですが、みんなで力を合わせて取り組んで来たことが、この結果にも繋がったと思います。サートゥルナーリアに携わったことは若いスタッフにもいい経験になったと思いますし、この勝利で更に厩舎の団結力が強くなったと思います」(伊藤厩舎長)
その伊藤厩舎長の言葉を証明するかのように、入社して間も無い育成スタッフの中神美渚さんも、「伊藤厩舎は誰が欠けても駄目だと思える程にチームワークがいいですし、いい雰囲気で仕事をさせてもらっています」と話す。まさに伊藤厩舎の全員で勝ち取ったこの神戸新聞杯(G2)とも言えるが、サートゥルナーリア自身の目標はまだその先にある。
「改めて距離の不安は無いことを証明できたと思います。今後は古馬との戦いとなり、更にメンバーも強くなっていくでしょうが、サートゥルナーリア自身もまだまだ強くなってくれると思うので、次もどんなレースを見せてくれるのか楽しみです」(伊藤厩舎長)
次走は天皇賞(秋)(G1)を予定。そこで我々は3歳世代の最強馬が、日本最強馬となる瞬間を目の当たりにするのかもしれない。