2019年09月07日 紫苑S G3
優勝馬:パッシングスルー
プロフィール
- 生年月日
- 2016年03月21日 03歳
- 性別/毛色
- 牝/鹿毛
- 戦績
- 国内:5戦3勝
- 総収得賞金
- 70,525,000円
- 馬主
- (有) キャロットファーム
- 生産者
- ノーザンファーム (安平)
- 調教師
- 黒岩 陽一
- 騎手
- 戸崎 圭太
秋華賞(G1)に向けて重要な一戦となった紫苑S(G3)を勝利したのは、ノーザンファーム生産馬のパッシングスルー。育成を手がけたノーザンファーム空港牧場の東谷智司厩舎長は、「普段から良くしていただいている黒岩先生の管理馬であり、調整を手がけてくれたノーザンファーム天栄のスタッフからも期待をされていた馬でもあります。その上、クラブの会員さんにも勧めてきたことも含めて、本当に嬉しい重賞勝利となりました」と笑顔を見せる。イヤリングから移動してきた頃から馬体の良さは際立っていたというパッシングスルーであったが、その一方で馴致の段階から敏感な一面を見せていた。
「鞍を乗せて、腹帯を締めるまで一か月ほどの時間を要しました。耳を触られるのも抵抗があったのか、頭絡を付ける際にも非常に気を遣いました」(東谷厩舎長)
東谷厩舎長が競走馬の管理をするA3厩舎では、パッシングスルーの姉となる、マイティーキュートの育成調教も行ってきた。育成時から将来を嘱望されるほどの動きの良さを見せていたものの、相次ぐ怪我もあり、デビューを果たすことができないまま引退した。
「パッシングスルーの会員の方の中には、マイティーキュートを持たれていた方もいただけに、何とか姉の分まで走らせなければとの思いはありました」(東谷厩舎長)
騎乗馴致が始まるとパッシングスルーは、マイティーキュートと共通する能力の高さも感じさせるようにもなっていた。デビュー前には注目の2歳馬として、東谷厩舎長が自らコメントをするほどに期待を寄せていた一方で、その成長過程を足繁く見に来ていたのが、管理をする黒岩調教師だった。
「黒岩先生とは管理馬を通して接する機会が増えましたが、今では何でも話し合えるほどにいい関係を築かせてもらっています。黒岩先生にも馴致の際のことは話しましたし、入厩前にノーザンファーム天栄で管理してもらった時にも、向こうにいる厩舎長とは色々な話をしました」(東谷厩舎長)
東谷厩舎長がノーザンファーム天栄に研修で出かけた際、その厩舎長とパッシングスルーの話になったが、敏感さといった問題はクリアになっていく一方で、乗り味の良さを高く評価されるような話も聞こえてきたという。
「デビュー以来、牧場には戻ってきていませんが、前走の福島(3歳上1勝クラス)のレースも強かったですし、これもノーザンファーム天栄、そして黒岩先生やスタッフの皆さんが、様々な面をケアしながら、いい状態でレースに使ってもらえたからだと思います。紫苑S(G3)でも戸崎騎手が上手く乗ってくれましたし、結果はハナ差ですが、本当に勝てて良かったと思いました」(東谷厩舎長)
レースの後に電話をかけてきてくれた黒岩調教師とは、つい先日に千歳市内で祝勝会を行ったという。
「会ったときには祝勝会では握手しましょう、と伝えたのですが、黒岩先生は『ここはハグですよ』と返してくれました。育成厩舎のスタッフにとっても嬉しい勝利となりましたし、今後もパッシングスルーの活躍で、多くの人と喜びを分かち合いたいです」(東谷厩舎長)
まだまだ多くの喜びをもたらしてくれそうなパッシングスルーだが、次は更なる高みの場所へと、関係者をいざなってくれるのかもしれない。