2019年06月02日 安田記念 G1
優勝馬:インディチャンプ
プロフィール
- 生年月日
- 2015年02月21日 04歳
- 性別/毛色
- 牡/鹿毛
- 戦績
- 国内:10戦6勝
- 総収得賞金
- 615,040,000円
- 馬主
- 有限会社シルク
- 生産者
- ノーザンファーム (安平)
- 調教師
- 音無 秀孝
- 騎手
- 福永 祐一
昨年の年度代表馬となったアーモンドアイ。そして芝のマイル戦では3戦3勝と底を見せていないダノンプレミアム。オッズにも証明されているように2強対決と目されていた今年の安田記念(G1)であったが、勝利したのは同条件で行われた今年の東京新聞杯(G3)を制した、4番人気のインディチャンプだった。
育成先となったのは、ノーザンファーム空港のA1厩舎。実は今年の日本ダービー馬となったロジャーバローズの騎乗育成も手がけており、A1厩舎から誕生したダービー馬はディープブリランテ、レイデオロ、ワグネリアンに続き、ロジャーバローズが4頭目となる。
「ダービー馬を4頭も手がけられることができたのは、なんとも言えない感慨があります。運もあったとは思いますが、それだけ能力の高い馬に接する機会を与えてもらえたからではないのでしょうか」と話すのはA1厩舎の大木誠司厩舎長。この安田記念(G1)が2週連続の育成馬によるG1制覇となったが、それは運や実力などの全てを、インディチャンプが携えていたからの勝利だったとも言える。
運という意味では、内枠(3枠)からの発走となったことも大きかったのかもしれない。
「強いメンバーは揃いましたが、決してチャンスが無いとは思っていませんでした。枠も良かったですし、上手く立ち回れたのなら…と期待していましたが、福永騎手が上手くエスコートしてくれたと思います」(大木厩舎長)
レース展開もインディチャンプには願ってもない流れとなった。スタート後に接触があった外枠の馬たちとは対照的に、1枠に入ったアエロリットがレースの主導権を奪ったことで、3枠に入ったインディチャンプもスムーズに好位のポジションをキープしていく。
「まさにレース前に考えていた通りのレース展開でした。アエロリットの後ろで我慢できればと思っていたので、後は最後の直線で突き抜けるだけの手応えがあるかだけだとも思っていました」(大木厩舎長)
最後の直線、逃げ粘るアエロリットの脚色は衰えない。大外からは出遅れたアーモンドアイが物凄い末脚を使いながら追い込んでくる。インディチャンプがため込んでいた末脚を爆発させたのは、残り一ハロンの手前からだった。
「直線に入ってからじわじわ来ているのは見えていただけに、何とかなってくれ! との思いだけでした」(大木厩舎長)
しかし、これは「先に抜け出すと遊ぶ馬」というインディチャンプの性格を分かっていた福永騎手の作戦でもあった。しかも、「以前ならこの位置からはあれだけの末脚を使えなかった」はずのインディチャンプは、肉体面の成長も相成って、アエロリットを交わしただけでなく、アーモンドアイの猛追も振り切って見せた。
「この日は競馬場へ応援に出かけていましたが、パドックでの状態も良かったですし、返し馬でチャカチャカするような仕草も見せましたが、それまでは落ち着きも見られていました。この大舞台にしっかりと仕上げてくださった、音無先生やスタッフの皆さんにも感謝するだけです」(大木厩舎長)
レースの後、大木厩舎長は関係者と共に芝の上での口取り式にも並んだ。
「牧場から送り出す前から『大きなところを目指せるような馬になって欲しい』と思っていた馬ですし、それをこれだけのメンバーが揃ったレースで叶えてくれたことが嬉しいです。レース内容を見てもまだまだ強くなると思います」
そう話した大木厩舎長は、「気のせいかも知れませんが、育成馬たちは不思議と東京競馬場での成績が良く、自分が競馬場まで応援に行ったときにも勝ってくれるような印象があります」とのジンクスを笑顔で教えてくれた。