重賞ウィナーレポート

2018年06月10日 マーメイドS G3

2018年06月10日 阪神競馬場 曇 良 芝 2000m このレースの詳細データをJBIS-Searchで見る

優勝馬:アンドリエッテ

プロフィール

生年月日
2012年05月14日 06歳
性別/毛色
牝/鹿毛
戦績
国内:28戦4勝
総収得賞金
146,754,000円
ディープインパクト
母 (母父)
アナバシュドチャーム(USA)  by  Silver Deputy(CAN)
馬主
永田 和彦
生産者
森永牧場 (門別)
調教師
牧田 和弥
騎手
国分 恭介

 2012年5月14日に、日高町の森永牧場で誕生したアンドリエッテ。オーナーの永田和彦氏の意向もあり、騎乗育成はノーザンファーム空港で行われることになった。

 「年に数頭は他場で生産した馬の育成を行うこともあります。アンドリエッテは初めて見たときからいい馬でしたし、自分と誕生日が一緒ということにも気付いたので、他のスタッフに『縁を感じるからこの馬は自分が乗る』とも話しました」というエピソードを話すのは、同じ5月14日生まれの東谷智司厩舎長。いざ、背中に跨がってみると、アンドリエッテは可動域の広い走りができていただけでなく、容量のあるトモからは、卓越した推進力も生まれていた。

 いつしかアンドリエッテにクラシック戦線での活躍を期待するようになった東谷厩舎長だが、その期待通りにデビュー4戦目となるチューリップ賞(G3)では、7番人気の評価にも関わらず2着に入着する。

 「クラシックに出走できることは嬉しかったですが、あと一歩のところで重賞勝ちだっただけに、悔しいレースでもありました」

 東谷厩舎長が阪神競馬場まで応援に出かけた桜花賞(G1)は6着となり、続くオークス(G1)は掲示板圏内となる5着。牝馬三冠クラシックの最後の一冠となる秋華賞(G1)では4着と、着実に順位を上げていったアンドリエッテであったが、その後の降級で1600万下どころか、1000万下までクラスを落としてしまう。

 1000万下でも勝ちきれなくなっていたアンドリエッテは、昨年の夏、JRA北海道シリーズを使った際に東谷厩舎長が管理するA-3厩舎へと戻ってくる。

 「疲れもあったのか、戻ってきた当初は身体が寂しくも映りました。それでも運動をさせていくに従って馬体も回復し始めると、トモにも張りが出てきて、動きも日に日に良くなっていきました」

 東谷厩舎長は3歳の早い時期から結果を残していたアンドリエッテの評価が、「早熟」とされることに抵抗を感じていた。

 「柔軟性やバネの良さなども含めて、ディープインパクト産駒らしさも損なわれていませんでした。ここでの調整でいい状態まで戻して、いつか大きなタイトルを取らせたいとの気持ちはありました」

 その思いをアンドリエッテも受け止めたかのように、衣笠特別を勝利して1600万下に返り咲くと、その後は愛知杯(G3)にも出走。今年に入ってからも1600万下で好走を続けて行き、そしてマーメイドS(G3)へ格上挑戦していく。

 結果として51kgという軽ハンデ、そして国分恭介騎手の好騎乗など、全てがアンドリエッテに向いたレースとなったのかもしれない。だが、そこには能力の高さを信じて調教を行ってきた、何人ものホースマンの姿があった。

 「牧田先生や厩舎の皆さん、そして調整先となっていたノーザンファームしがらきのスタッフなど、この馬に携わったみんなで勝ち取った重賞だとも思っています。何よりもアンドリエッテを自分の厩舎に預けてくださった永田オーナーには、感謝しかありません」

 現在、アンドリエッテは7月29日に札幌競馬場で行われるクイーンS(G3)への出走を目指して、A-3厩舎で調整が行われている。

 「昨年より目立った疲れもなく、いい調整ができています。次走が試金石となるかと思いますが、重賞馬らしいレースを見せられるように管理していきます」

 「クイーンS(G3)は競馬場へ応援に行きます」とも話す東谷厩舎長。その思いを受け止めているであろうアンドリエッテは、次こそ東谷厩舎長の目の前で重賞制覇を果たしてもらいたい。