2018年05月27日 日本ダービー G1
優勝馬:ワグネリアン
プロフィール
- 生年月日
- 2015年02月10日 03歳
- 性別/毛色
- 牡/鹿毛
- 戦績
- 国内:6戦4勝
- 総収得賞金
- 512,437,000円
- 馬主
- 金子真人ホールディングス (株)
- 生産者
- ノーザンファーム (安平)
- 調教師
- 友道 康夫
- 騎手
- 福永 祐一
ノーザンファーム空港の大木誠司厩舎長が、初めて厩舎長として携わった日本ダービー馬が、ディープインパクト産駒としては初めてダービーの親子制覇を果たしたディープブリランテ。2頭目となったのが昨年の優勝馬のレイデオロであり、ワグネリアンが自らの厩舎から送り出した3頭目の日本ダービー馬となる。
「日本ダービー(G1)は休みを取って、東京競馬場まで観戦に行きました。8枠からの発走は決して有利ではないと思っていましたが、これまでもジャングルポケットやトウカイテイオーも8枠で勝利しているように、決して可能性が無いわけではないと思っていましたし、結果的には隣にいたジェネラーレウーノに付いて行けたことで、いいポジションを取ることもできました」
デビュー戦でのメイクデビュー中京で見せた、上がり3ハロン32秒6という驚異的なタイムにも証明されたように、ワグネリアンの最大の武器はこの世代屈指と言える末脚。しかし、育成時に大木厩舎長がワグネリアンに対して持っていた印象は「先行して粘り込みを図れる馬」だった。
「育成時から真面目で、併せ馬をしていても行きたがるような素振りを見せていました。それだけに前に行ったときの折り合いにも注目していたのですが、福永騎手も上手く促してくれていましたし、この位置取りで負けたら仕方ないとも思っていました」
1000m通過のラップは60秒8の平均ペース。ワグネリアン自身、上がり3ハロンのタイムは34秒3と決して速い脚を使ったわけではないが、33秒台の末脚を使った馬が複勝圏内に入れなかったという事実からしても、結果的にはこの位置取りで競馬をしたことが勝利に繋がったとも言える。
「直線に入った時、後は前を交わすだけだと思っていました。今から振り返っても、100点満点のレースだったと思います」
育成馬では3頭目の日本ダービー馬であることを質問すると「ノーザンファームで働かせてもらっているからこそ、優れた馬たちに携わらせてもらうことができるのでしょうし、あとは、運がいいだけだと思います」と大木厩舎長は笑顔を浮かべる。ダービーは「運のいい馬が勝つ」とも言われるレースではあるが、その運を引き寄せたのは、大木厩舎長や共に働く育成スタッフの献身な仕事ぶりであり、そして、共通の目標へと向かっていた昔からの仲間だった。
「友道厩舎には大江助手、藤本助手と、共にノーザンファーム空港で働いていたスタッフがワグネリアンを担当してくれていました。2人は中間の様子についても頻繁に連絡をくれていましたし、その意味でも今回の勝利はまた違った嬉しさもありました」
そう話した大木厩舎長は、調整先だったノーザンファームしがらきや、ノーザンファーム天栄のスタッフへの感謝も口にする。それぞれのスタッフが万全な管理を行い、最高の状態でレースに臨ませていくだけでなく、お互いに顔を合わせながら仕事をしてきたことで、更にそのチームワークは密接となっていく。そう思うとワグネリアンという馬は「運」では無く、「人」によって日本ダービー馬となったのではとの気がしてくる。
今年、大木厩舎長が管理するノーザンファーム空港のA-1厩舎には、ワグネリアンの全弟となるカントル(牡2)や、レイデオロの半弟となるソルドラード(牡2)の育成も行われている。
「2頭共に将来の活躍が期待できる動きを見せています。この2頭を含めて現2歳世代は優れた馬が多いと思いますし、来年もクラシックを沸かせるような馬を送り出したいです」
ワグネリアンに対してのエールや、これからの期待を尋ねると「無事にこれからも活躍してもらいたいですし、ゆくゆくは種牡馬となって、子どもたちを管理できたらとも思っています」と話す大木厩舎長。最初に手がけた日本ダービー馬のディープブリランテは種牡馬となっており、今後はレイデオロやワグネリアンもタイトルを重ねて、更に種牡馬としての価値を高めていくはず。数年後、大木厩舎長の手がけた日本ダービー馬の産駒たちは、父仔制覇を果たすべく、日本ダービー(G1)を沸かしているのかもしれない。