2017年08月06日 レパードS G3
優勝馬:ローズプリンスダム
プロフィール
- 生年月日
- 2014年03月10日 03歳
- 性別/毛色
- 牡/青鹿毛
- 戦績
- 国内:9戦4勝
- 総収得賞金
- 128,493,000円
- 母 (母父)
- クリスチャンパール by シンボリクリスエス(USA)
- 馬主
- 岡田 牧雄
- 生産者
- ユートピア牧場 (登別)
- 調教師
- 畠山 吉宏
- 騎手
- 木幡 巧也
ダート競馬の登竜門「第9回レパードステークス(G3)」は、インコースを追走していた登別市のユートピア牧場生産ローズプリンスダムが最後の直線で外から急襲。逃げ粘るサルサディオーネを1馬身4分の1差捕え、8着に敗れたジャパンダートダービー(Jpn1)の雪辱を果たして重賞初制覇。ユートピア牧場は95年天皇賞(春)(G1)(勝ち馬ライスシャワー)以来の重賞制覇となった
ユートピア牧場は昭和40年創業。牝馬のダービー馬クリフジや二冠馬クリノハナ、天皇賞馬クリペロ、クリヒデなどを所有し、全日本馬主協会連合会(現・日本馬主協会連合会)の初代会長などを歴任した故・栗林友二氏が、当時200ヘクタール以上ある広大な土地を利用して、サラブレッドの生産も手掛けるようになった牧場だ。
半世紀にも及ぶ歴史の中でカツアール(宝塚記念)ライスシャワー(菊花賞(G1)、天皇賞(春)(G1)(2回)、日経賞(G2))クリロータリー(アルゼンチン共和国杯(G2)、オークス(G1)2着)ローブモンタント(桜花賞(G1)3着、阪神3歳牝馬S(G1)2着)などを輩出している。
「地方でリンダリンダ(ホッカイドウ競馬から南関東に移籍してエンプレス杯(Jpn2)2着、TCK女王盃(Jpn3)2着)スティールキング(道営2冠馬)はいるけれど、JRAの重賞はライスシャワー以来になります。ずいぶんと昔になっちゃいましたね」と少し照れながら山口正場長が話してくれた。
レース当日は、牧場事務所のテレビで見ていたそうだ。「ジャパンダートダービー(Jpn1)は結果を残せませんでしたが、オープン競走(鳳雛ステークス)に勝っている馬ですから生産馬として期待を込めて応援していました」。とはいえ、相手はUAEダービー(G2)2着エピカリスや兵庫チャンピオンシップ(Jpn2)優勝馬タガノディグオなど。「このメンバーを相手に、この馬の競馬がどこまで通用するのかという思いの方が強かったかもしれません」。
しかし、馬はそうした場長の思いを良い意味で裏切ることになる。
「4コーナーをまわるときの手応えで、勝ち負けになると確信しました。テレビカメラの角度のせいだと思うのですが、途中テレビの画面から消えるようなときもありましたが、必ずもう1度映るはずだ」。
その思いは見事に的中する。最後の直線で外目に持ちだされた愛馬が、矢のような伸びで前を行く馬たちを交わして先頭でゴールへと飛び込んだ。
「勝つときはずいぶんとあっさり勝つもんだな」という場長だったが、その後は祝福の電話やメール、次々と届けられる花などの対応に追われ「気がついたら、ずいぶんと時間が経っていた」と笑った。
母のクリスチャンパールは「繁殖牝馬としての価値も加味して」ユートピア牧場が、他の牧場から購入した馬だ。ミスタイモアにさかのぼる母系は、旧社台ファームを代表するファミリーのひとつで、母の父としてのシンボリクリスエスも魅力的だったという。途中、順調さを欠いたこともあってデビューは3歳3月新馬戦と遅れてしまったが、それでも逃げて3着。しかし、小柄な体が災いしたか勝ちきれず南関東へ転出。5勝をあげて牧場に戻ってきた。その初仔だ。産まれた仔は期待どおりの好馬体の持ち主だったが、「この馬の世代から産まれた牡馬はぜんぶ市場に上場させようと決めていましたので、サマーセールに上場させました」。そして、現在のオーナーと巡り会った。
「縁起の良いレースを勝ててうれしいです。これからは、もっと強い馬との対戦になると思いますが、無事に、長く活躍して欲しいですね」とエールを送っている。