重賞ウィナーレポート

2017年04月16日 皐月賞 G1

2017年04月16日 中山競馬場 晴 良 芝 2000m このレースの詳細データをJBIS-Searchで見る

優勝馬:アルアイン

プロフィール

生年月日
2014年05月01日 03歳
性別/毛色
牡/鹿毛
戦績
国内:5戦4勝
総収得賞金
511,702,000円
ディープインパクト
母 (母父)
ドバイマジェスティ(USA)  by  Essence of Dubai(USA)
馬主
(有) サンデーレーシング
生産者
ノーザンファーム (安平)
調教師
池江 泰寿
騎手
松山 弘平

 混戦と言われた今年の牡馬クラシック戦線だったが、一冠目となる皐月賞(G1)を制したのは、9番人気のアルアイン。「ノーザンファーム生産のディープインパクト産駒」という、クラシックでは定番と言えるバックボーンを持ちながら、過去を遡ってもこの組み合わせで皐月賞(G1)を勝利した馬はいなかった。

 「ゴールの瞬間から次々と電話やメール、そしてLINEが入ってきました。その連絡1つ1つが有り難かったですし、多くの方に喜んでもらえたこともまた、勝ったことと同じぐらいに嬉しかったですね」と話すのは、ノーザンファーム早来の山内大輔厩舎長。昨年の春に行われたノーザンファーム早来育成馬の合同撮影会と、その後に行われた取材。その際にアルアインの能力を絶賛していたのが、他でもない山内厩舎長だった。

 「毎日杯(G3)の頃はまだ緩かった馬体も引き締まってきて、いい状態でレースに臨めると聞いていました。レースは自宅のTVで観戦していたのですが、パドックを見ても馬には落ち着きがありましたし、前目でレースをしてくれればと思っていたところ、松山騎手がいい位置に馬を誘導してくれました」

 この位置なら勝ち負けの競馬になる、と思った山内厩舎長ではあったが、一気にペースが上がったときに、アルアインは一旦置いて行かれるような様子を見せる。

 「ジョッキーも追い始めたので、手応えが無くなったのかなとも思いましたが、そこから巻き返せたのは、育成時から感じていた負けん気の強さなのでしょう。進路も狭くなった中を割って出てきてくれましたし、後は届いてくれればとの思いだけでした」

 一昨年に厩舎長となってからは、アルアインが山内厩舎長にとって初めてのG1馬。とは言えども、スタッフ時代にはディープインパクト、キングカメハメハといった名馬たちの背中にも跨がってきており、その経験がアルアインを初めとする育成馬たちに生かされたとも言える。

 「出来過ぎのような気もしています。それでも、育成を手がけた馬たちの中には、まだ勝ち上がっていない馬もいますし、厩舎スタッフにも、『決していいことばかりでは無いのだから、日々の仕事を一生懸命にやっていこう』と話しました」

 まさに「勝って兜の緒を締めよ」というべき姿勢を示す山内厩舎長だが、この皐月賞(G1)でレースレコードを記録した能力面からしても、今、最も日本ダービー(G1)制覇に近いのがアルアインと言える。

 「ダービー(G1)は無事に出走して欲しい、という気持ちだけです。勿論、いい状態で出走してくれたのなら、勝ち負けのレースを見せてくれると思っています」

 次の目標はダービー(G1)制覇ですね、と山内厩舎長に質問を向けると、それは勿論ですが、と話した後で、「このG1勝利だけでなく、育成馬のクラシック出走も毎年のように継続していきたいです」と力強い言葉を返してくれた。その言葉だけでなく、アルアインの日本ダービー(G1)制覇もまた、現実となることを期待したい。