2017年01月29日 シルクロードS G3
優勝馬:ダンスディレクター
プロフィール
- 生年月日
- 2010年03月20日 07歳
- 性別/毛色
- 牡/鹿毛
- 戦績
- 国内:21戦7勝
- 総収得賞金
- 283,870,000円
- 母 (母父)
- マザーリーフ by サンデーサイレンス(USA)
- 馬主
- 太田 珠々子
- 生産者
- 藤原牧場 (静内)
- 調教師
- 笹田 和秀
- 騎手
- 武 豊
高松宮記念の前哨戦シルクロードステークス(G3)は、日高郡新ひだか町にある(有)藤原牧場生産のダンスディレクターがトップハンデを背負いながら2連覇を達成。昨年と同じ舞台で重賞2勝目を挙げた。
(有)藤原牧場は代表取締役の藤原悟郎さんとご子息で取締役の圭太郎さん、他7名程のスタッフで繁殖馬26頭を繋養する生産牧場だ。ウイニングチケットとロイヤルタッチの兄弟や、スターロッチ、サクラスターオー、ハードバージ、サクラユタカオーなど競馬史に名を刻む名馬を数々送りだしてきた。これらの血統を大切に繋ぎ、誕生したのがダンスディレクターだ。
同レースには、もう一頭の生産馬ラインスピリットも出走していた。圭太郎さんは「近い血統の生産馬が2頭も出走できるのは誇り。レースの前は両馬とも無事にという気持ちでした」と話す。
リアルタイムではレースを見られなかった圭太郎さんだが、勝った知らせを受けた時は驚きの方が強かったという。「昨年のシルクロードS(G3)後のケガもありました。近走4着が続き調子が上がってきたのかなぁとは思っていましたが、以前のような切れる脚がみられませんでしたし、7歳という年齢的にもどうかなぁと不安でした。全く年齢を感じさせないあの脚がつかえるとは!」と嬉しそうに話した。
「血統的に気持ちが前向きすぎるタイプなので、道中いきたがるのを我慢させることにより直線で切れる脚をつかえます」。道中後方3番手でレースを進めたダンスディレクターは圭太郎さんの話すとおり、4コーナーで内から外へ出すと鋭い脚を爆発させ、一気に他馬を抜き去った。
「嬉しかったです。馬に対してやっと勝てて良かったねと思いました」と圭太郎さんは喜びいっぱいの笑顔を見せた。「勝ちたい気持ちがすごく強い馬で、最近はもやもやした競馬が続いたので優勝できて馬自身が一番喜んでいるのではないかなって思います。オーナーも調教師も所縁の血統で、私たち以上にこの血統をよくわかっています。ストレスをためないようにレースを大事につかわれてきたからこそ、7歳でも復活できたのかもしれないですね」。
長く大事に繋げてきた血統だけに牧場でもたくさんのノウハウがある。
スターロッチ系の血統は手をかけて扱わないと人間に恐怖心を抱くようなデリケートなところがあるそうで「どの馬に対しても姿が見えたら声をかけコミュニケーションをとるなど当たり前のことではありますが、丁寧に育てています」と圭太郎さんは言う。
また、この血統は子供を出産すると子供を守ろうとして人間に少し厳しくなるところがあるという。しかし総じて子育ては上手だそうだ。
一風変わったクセも遺伝しているという。放牧中に牧柵を飛び越える馬がけっこういるそうだ。母マザーリーフも違わずで、ダンスディレクターのバネがある走りは母親譲りということだろうか。
牧場内は老舗らしいきちんとした清潔感がある。雪をかぶっていても、大きなイチイの木(地元ではオンコと呼ばれる)がきれいに刈り揃えられていることがわかる。圭太郎さんが自ら刈るそうだ。丁寧に、大切に。牧場の方針がこんなところにも表れている。
ダンスディレクターの次走は高松宮記念(G1)を予定。昨年は断念を余儀なくされたローテーションだけに楽しみだけど不安もある。「スターロッチ系はもう古い血統という話を聞かされることもあります。ここで一発を期待したいです。でもとにかく無事に」と圭太郎さんは祈る。
いつか爆発すると大事に繋いできた血が再びG1の舞台で花開くことを期待したい。