重賞ウィナーレポート

2016年09月18日 セントライト記念 G2

2016年09月18日 中山競馬場 曇 良 芝 2200m このレースの詳細データをJBIS-Searchで見る

優勝馬:ディーマジェスティ

プロフィール

生年月日
2013年03月24日 03歳
性別/毛色
牡/鹿毛
戦績
国内:7戦4勝
総収得賞金
302,432,000円
ディープインパクト
母 (母父)
エルメスティアラ  by  ブライアンズタイム(USA)
馬主
嶋田 賢
生産者
服部 牧場 (静内)
調教師
二ノ宮 敬宇
騎手
蛯名 正義
  • 1歳の全妹
    1歳の全妹
  • 河川敷の肥沃な放牧地には栄養豊富な牧草がある
    河川敷の肥沃な放牧地には栄養豊富な牧草がある
  • 静内神森の中期育成分場
    静内神森の中期育成分場
  • 中間育成のスタッフ石丸久志さん(左)と岩崎大地さん(右)
    中間育成のスタッフ石丸久志さん(左)と岩崎大地さん(右)
  • 服部健太郎代表
    服部健太郎代表

   菊花賞のトライアルレースに指定されている「朝日杯セントライト記念(G2)」は、断然の1番人気に推された皐月賞馬ディーマジェスティの完勝に終わった。

   この日、生産者である服部牧場の服部健太郎代表は、中山競馬場に駆けつけていた。

   菊花賞(G1)を目指す3歳馬の代表として、周囲からこれだけの注目が集まると、生産者にも大きなプレッシャーがかかるものだ。馬主さんや調教陣営、そして多くのファンの夢を愛仔が裏切る事の無いようにと願う気持ちは大きい。

   服部さんは「皐月賞(G1)のあと、熱発したように、春シーズンはまだ体質が本格化していないところもありました。しかし、ひと夏を越して素晴らしい馬体になっていました」と感心しきり。「この馬に携わる関係者の皆さんの努力に、本当に感謝しました。」と想いを語る。

   そうした生産者の思いを代弁するかのように1番人気のプレッシャーをまったく感じさせることなく秋初戦を完勝。最高の形で大一番の菊花賞(G1)に挑戦することになった愛馬を見届けることができた。。

   本馬の母エルメスティアラは、服部さんが深い思い入れをもって牧場に招いた繁殖牝馬だった。

   話は、服部さんが大学を卒業し、アイルランドで研修していた1990年代後半に遡るが、その時に管理していたのが、母エルメスティアラの祖母にあたるドフザダービーとその産駒イマジン(英オークス(G1)、愛1000ギニー(G1)など)だった。

   自らが管理した世界的名馬の後継馬(エルメスティアラ)を、かねてから親交があった嶋田賢オーナーが所有することを知り、熱心にお願いして、同牧場に繁殖入りした経緯がある。

   エルメスティアラは、その父ブライアンズタイムのがっしりとした馬格を産駒にも遺伝させている。本馬の馬格は「母父からの血を受け継いだ様だ。」と中期育成のスタッフ石丸久志さんが語る。今、管理している全妹の1歳はこれから馴致に入るところだ。石丸さんは「この仔は、母父のブライアンズタイムより父のディープインパクトの体型に近いです。遅く生まれたこともあり少し小さいので、時間をかけて育てていきます。」と兄の活躍に続くことを願っている。

   現在、本馬の姉妹には全姉の5歳ホクラエミサ(現役)と、この全妹が大切な後継馬として牧場に戻る可能性を持つ。服部さんは、本馬の活躍とともに大切な後継馬となる姉妹の繁殖入りに大きな期待をかけている。

   服部牧場は、静内市街地の本場と分場、新冠町西泊津に分場を持つ。現在、8名のスタッフで27頭ほどの繁殖牝馬を扱っている。「うちは預託馬に力を入れており、マーケットブリーダーの域を超えることは無いと思います」と先々の牧場経営を見据えている。

   この服部牧場は、戦前に農家として入植した家系だが、祖祖父は静内町長。祖父は酪農で名を挙げている。その祖父が始めた軽種馬生産を継いだのが服部代表の父親である服部和則さんだった。獣医として日高軽種馬農協に就職し、理事を務めて今の近代的な市場へと改革。また当時、ノミネーション(ここでは種牡馬の種付権利を指す)取引の不明確さを避けるために日本で最初の競走馬総合商社(株)ジェイエスを設立させた。

   父子3代で、それぞれ違う仕事を通して、地域のリーダーとして発展に貢献した服部家。 今、現代表の服部健太郎さんが牧場を引き継ぎ若手のリーダーとして歩み始めている。本馬の活躍は、服部さんに大きな勇気を与えている様だ。