重賞ウィナーレポート

2016年09月10日 紫苑S G3

2016年09月10日 中山競馬場 晴 良 芝 2000m このレースの詳細データをJBIS-Searchで見る

優勝馬:ビッシュ

プロフィール

生年月日
2013年01月16日 03歳
性別/毛色
牝/鹿毛
戦績
国内:5戦3勝
総収得賞金
90,992,000円
ディープインパクト
母 (母父)
バランセラ(FR)  by  Acatenango(GER)
馬主
窪田 康志
生産者
ノーザンファーム (安平)
調教師
鹿戸 雄一
騎手
戸崎 圭太

   オークス(G1)3着馬のビッシュが、それ以来のレースとなる紫苑ステークス(G3)を勝利。デビュー5戦目にして初重賞制覇を飾った。

   「あの小さかった馬が…との思いもあるだけに、格別な勝利となりました」とは育成を手がけた、ノーザンファーム空港牧場の窪田淳調教主任。窪田調教主任が管理する育成厩舎に来た頃のビッシュの馬体重は400kgを切っており、同世代の馬と馬体を比較した時には、一際「華奢」に見えたという。

   「それでも、持っているポテンシャルはこの馬体以上のものが感じられました。ディープインパクト産駒としては、かっちりとまとまった印象もありましたが、小柄な馬だとはいえ、走りまでも小さくしないように心がけながら調教を続けるようにしました」

   育成厩舎を離れ、ノーザンファーム天栄に移ったのは2歳の9月と遅くなったが、そこまで何のトラブルも無く、馬体の成長を促しながら調教を行ってきた結果が、この時期の移動となった。

   「まだ進めようと思えば、進められたと思いますが、ここで無理をさせると、その後の成長に繋がらないとも思っていました。天栄のスタッフも、この夏にしばらく育成厩舎に研修へ来ていたのですが、その際にビッシュの育成過程を見ていますし、天栄に帰ってからもこの馬のことを理解しながら、厩舎に送り出してくれたことも、今の活躍に繋がっていると思います」

   ビッシュがデビューしたのは、3歳2月のメイクデビュー東京。そこまで時間をかけられた、いやかけてきたのも、ノーザンファーム天栄だけでなく、管理をする鹿戸厩舎もまた、成長を見越した管理を行ってきたからだと言える。

   そのメイクデビュー、500万下を連勝すると、フローラS(G2)では一番人気を背負って出走(結果は5着)。しかし、オークス(G1)では勝ったシンハライトに0秒1差まで迫り、能力の高さを改めて証明した。

   「そのオークス(G1)では減っていた馬体(プラス12kg)も戻して、今回はプラス4kgでの出走となりましたが、パドックを見ていてもオークス(G1)より張りがあるように感じられました」

   中山競馬場では不利とされる大外枠(18番)からの出走となったビッシュだが、後方から位置取りを上げていき、残り3ハロンはメンバー中最速の35秒3でまとめるという圧巻のレースぶり。文句なしに秋華賞(G1)への出走権利を掴むことになった。

   「夏よりもパワーアップしていることが、レース内容からも証明できたのではないかと思います。また、オーナー(窪田康志氏)には、これまでもお世話になってきただけに、初めての中央重賞が、ビッシュで果たせたことも嬉しかったです」

   春の無念も、この秋華賞(G1)で一気に晴らしてくれそうなビッシュだが、窪田調教主任は、その後のビッシュの更なる活躍も想像する。

   「秋のクラシック戦線を沸かしているような3歳牝馬たちに比べると、成長過程が半年ほど遅いのかもしれないと思えるほど、ゆっくりと良化しつつも、これだけの結果を残してくれています。秋華賞(G1)は更に良くなっているのでしょうし、古馬となって完成した姿が本当に楽しみになります」