重賞ウィナーレポート

2016年05月19日 のじぎく賞(GDJ)

2016年05月19日 園田競馬場 晴 良 ダ 1700m このレースの詳細データをJBIS-Searchで見る

優勝馬:ディアマルコ

プロフィール

生年月日
2013年04月27日 03歳
性別/毛色
牝/鹿毛
戦績
国内:15戦8勝
総収得賞金
38,696,000円
スパイキュール
母 (母父)
エコパン  by  ツルマルボーイ
馬主
(有) アシスタント
生産者
松平牧場 (門別)
調教師
那俄性 哲也
騎手
佐原 秀泰
  • ディアマルコの母エコパン(10歳)
    ディアマルコの母エコパン(10歳)
  • 今年生まれたディアマルコの半妹(牝当歳、父キングヘイロー)
    今年生まれたディアマルコの半妹(牝当歳、父キングヘイロー)
  • 母のエコパンにぴったりと寄り添う当歳馬
    母のエコパンにぴったりと寄り添う当歳馬
  • クリアファームの放牧地
    クリアファームの放牧地
  • クリアファームの看板と厩舎
    クリアファームの看板と厩舎
  • ディアマルコが育成された賀張宝寄山育成牧場
    ディアマルコが育成された賀張宝寄山育成牧場

 『グランダム・ジャパン』3歳シーズンの第7戦「のじぎく賞(園田)」を、高知からの遠征馬ディアマルコが快勝。圧倒的1番人気のクラトイトイトイを終始マークしながらレースを進め、直線で一騎打ちに持ち込むと、激しい叩き合いを制してきっちりと差し切り勝ちを収めた。同馬は1か月後の「高知優駿(黒潮ダービー)」でも牡馬勢を蹴散らし、堂々と地元・高知のダービー馬に輝いている。

 ディアマルコの生まれ故郷は、日高町豊郷の松平牧場。現在は「クリアファーム」として新たなスタートを切っている。過去には第1回のブリーダーズゴールドジュニアカップ(旭川)を制したジェイドファストや、福山競馬最後のダービー馬カイロスなど、節目のレースに優勝して印象に残る馬たちを生産してきた牧場だ。

 「2戦連続でクラトイトイトイの2着でしたが、3度目の正直でようやく勝つことができましたね。遠征をつづけながら、よく頑張ってくれていると思います」と愛馬の活躍を喜ぶのは、クリアファームの林信雄さんと奥様の有美さん。

 ディアマルコが牧場にいた頃の思い出を尋ねると、「ディアマルコが生まれる6日前に、もう1頭仔馬が牧場で生まれていたのですが、その母馬が育児放棄をしてしまったんです。どうしようかと困っていたのですが、エコパンがディアマルコを産んだ際、その仔馬の体にも胎盤を擦り付けたんですね。するとエコパンは、2頭とも自分の仔だと思ってしっかり仔育てをしてくれました。もともとエコパンは乳量の多い繁殖牝馬なので、2頭とも大きく健やかに育ってくれました」と珍しいケースのエピソードを話してくれた。「ディアマルコの方が気が強くて威張っていましたが、1歳秋まで2頭で仲良く放牧地を駆けまわっていましたよ」と、当時のことを懐かしそうに振り返る。

 ダービーグランプリや桐花賞を制し、岩手競馬で大活躍したカミノヌヴォーの祖母サンデーファストが松平牧場にやってきたのが12歳のとき。先述したジェイドファストを生んだあと、ツルマルボーイを交配して翌年に生まれてきた牝馬がエコパンだった。「エコパンは脚元が弱く、競走馬としては3戦しかできなかったのですが、牧場にいた頃からスピードがあるように感じていました。今となれば、ツルマルボーイの血を引く繁殖も貴重ですよね」と殊勲の母馬を紹介する。

 そのエコパンが牧場に戻り、当時、ビッグレッドファームで繋養されていた種牡馬スパイキュールを交配して生まれた2番仔がディアマルコだった。「スパイキュールは、サンデーサイレンス直仔の中でも手頃な種付料でしたし、エコパン自体が大柄な繁殖牝馬なので、小柄で形の良い馬体をしているのが気に入って交配しました」と配合理由についても説明してくれた。

 1歳秋のオータムセールで取り引きされ、賀張宝寄山育成牧場へ移動したディアマルコ。育成先での動きは抜群で、「南関東でも通用しそう」との声も挙がっていたそうだ。

 現在、牧場にはディアマルコの妹(牝当歳、父キングヘイロー)がいて、母のエコパンにぴったりと寄り添いながら、未来を夢見てすくすくと育っている。「今年生まれた当歳馬も馬体は良くて元気いっぱいです。走りそうな雰囲気を持っていますね」と、姉の活躍を受けて妹への期待も日に日に膨らんできているようだ。

 「ディアマルコはカイロスと同じオーナーに買っていただいたので、これからも長く活躍して馬主孝行をしてほしいです」と話す林さん夫妻。高知ダービー馬として全国区の舞台で強豪馬と渡り合うディアマルコの姿が、今後も多く見られることだろう。