2016年05月29日 日本ダービー G1
優勝馬:マカヒキ
プロフィール
- 生年月日
- 2013年01月28日 03歳
- 性別/毛色
- 牡/鹿毛
- 戦績
- 国内:5戦4勝
- 総収得賞金
- 630,075,000円
- 母 (母父)
- ウィキウィキ by フレンチデピュティ(USA)
- 馬主
- 金子真人ホールディングス (株)
- 生産者
- ノーザンファーム (安平)
- 調教師
- 友道 康夫
- 騎手
- 川田 将雅
日本ダービー(G1)当日、マカヒキの育成調教を手がけたノーザンファーム空港牧場の樋口政春厩舎長の姿は、東京競馬場には無かった。
「競馬場に行くと緊張してしまいますからね。また、これまで厩舎を巣立った馬も、自分が行くとどうも勝率が良く無くて。なので今回も、厩舎のスタッフに応援に行ってもらいました」と樋口厩舎長は笑う。490もの馬房があり、この日本ダービー(G1)にも5頭の育成馬を送り出していたノーザンファーム空港牧場。その5頭の中に樋口厩舎長の管理するB-2厩舎からは、マカヒキの他にもイモータルが選ばれた18頭の中に入っていた。
しかし、この世代におけるB-2厩舎の育成馬は僅か19頭。まさに少数先鋭と言える管理の中、マカヒキとイモータルは「6913分の2」として、日本ダービー(G1)出走馬に名を連ねていた。
「皐月賞(G1)は勝てると思っていたレースだけに、負けたときには悔しかったですが、あのレース内容からしても、巻き返せると信じていました」と思いながらTVから見つめた、日本ダービー(G1)のパドック。マカヒキの状態は、長きに渡って牧場でマカヒキの姿を見てきた樋口厩舎長にとっても、申し分無いように見えたという。
「弥生賞(G2)、皐月賞(G1)と本当にいい状態でした。管理をしてくださった友道厩舎の皆さんに感謝しながら、マカヒキの姿を追っていました」
その時、頭の中にはマカヒキに騎乗していた思い出がよみがえっていたという。「軽さや柔らかさが、これまで跨がってきた馬たちと全然違っていました。これは重賞を勝てるどころまでいくかな、とは思いましたが、その頃にはダービー馬とまでは思えなかったですね」
これまでB-2厩舎からは、マカヒキのようにクラシックで上位人気に支持されるような馬を出したことが無かったと樋口厩舎長は話す。いわば、厩舎長となって初めて、それだけの感覚を覚えさせてくれたのがマカヒキだった。
最後の直線、先に抜け出したマカヒキに、後方からサトノダイヤモンドが迫ってくる。そのサトノダイヤモンドもまた、ノーザンファーム空港牧場の育成馬。2頭がゴール前で鼻面を揃えたその場所にゴール板があった。
「ゴールの瞬間は、前に出ているのではとは思いましたが、自信はありませんでした。それでもスローでの映像が出たときに、マカヒキが先にゴールしていると思いました」
その後、樋口厩舎長の元には次々と祝福の連絡があったという。その中には、マカヒキを担当していた、大江祐輔調教助手からの着信もあった。
「大江助手は元々空港牧場で一緒に働いていたスタッフでした。『なんで、日本ダービー(G1)なのに競馬場に来てないんですか?』と言われましたが(笑)、それでも共に喜びを分かち合えたことが嬉しかったですね」
取材の後、これで日本ダービー馬を育てたホースマンになりましたね、との言葉を樋口厩舎長にかけると、「そう思うと、嬉しさがこみ上げてきますね。それだけにマカヒキから得た経験を、今後の育成馬たちにも伝えていきたいと思います」との言葉が返ってきた。日本ダービー馬を知る樋口厩舎長やB-2厩舎のスタッフから、「マカヒキのような馬がいます」と言ってもらえる日が待ち遠しくなってくる。