重賞ウィナーレポート

2016年05月01日 天皇賞(春) G1

2016年05月01日 京都競馬場 晴 良 芝 3200m このレースの詳細データをJBIS-Searchで見る

優勝馬:キタサンブラック

プロフィール

生年月日
2012年03月10日 04歳
性別/毛色
牡/鹿毛
戦績
国内:10戦6勝
総収得賞金
1,876,843,000円
ブラックタイド
母 (母父)
シュガーハート  by  サクラバクシンオー
馬主
(有) 大野商事
生産者
ヤナガワ牧場 (門別)
調教師
清水 久詞
騎手
武 豊
  • レース後、万歳で喜ぶ皆さん
    レース後、万歳で喜ぶ皆さん
  • 梁川代表は現地観戦し、栄えある表彰台へ
    梁川代表は現地観戦し、栄えある表彰台へ
  • JRA後藤正幸理事長と握手を交わす梁川正普代表
    JRA後藤正幸理事長と握手を交わす梁川正普代表
  • 牧場の放牧地、日高町内に本場と分場を構える
    牧場の放牧地、日高町内に本場と分場を構える
  • 昭和42年創業
    昭和42年創業

 京都競馬場で行われた伝統の一戦、天皇賞(春)(G1)は、4歳馬キタサンブラックが序盤から主導権を奪い、最後の直線では追撃を受けながらも二枚腰を発揮し、ハナ差で勝利をもぎ取った。

 本馬の生産は日高町のヤナガワ牧場。近年、G1勝ち著しい牧場で、本馬のみならず、ダートG1・6勝中のコパノリッキーや、芝・短距離G1を制して種牡馬入りしたコパノリチャードの故郷としても知られる。

 レース当日、同牧場代表の梁川正普さんが京都競馬場へ出向き、牧場の自宅では前代表の正克さんが、本馬の快調な走りに胸を高鳴らせていた。正克さんはレース後、報道陣に囲まれ、「最後まであきらめず、よく頑張ってくれました。直線の叩き合いでは、この馬の勝負根性を感じましたね。逃げる競馬でしたし、道中は見ている側もいろいろ考えながら…ゴールまで長く感じました。昔は“500kg以上ある馬は距離がもたない”というような話がありましたが、この馬は手先が軽く、重々しさを感じないので、長距離でも問題ありませんね。オーナーとは長いお付き合いですし、天皇賞を勝てたことは本当に嬉しいです」と、振り返った。

 京都競馬場ではオーナーの北島三郎さんが、鞍上・武豊騎手を称えながら代表曲「まつり」を熱唱し、北島さんと一緒に正普さんも優勝馬表彰台に上がった。同じ頃、牧場にはHBA木村貢組合長や日高町の佐藤則男副町長、近隣の牧場主らが集まり、正克さんや牧場スタッフを祝福した。5月初旬の生産牧場といえば、出産、種付け繁忙期であるが、牧場スタッフの皆さんは足取り軽く、誇らしく万歳祝いの輪に入った。

 本馬は父ブラックタイド、母シュガーハート、母の父サクラバクシンオーという血統。半兄ショウナンバッハは現OP馬で、AJCC(G2)3着の実績があり、近親には1995年の優駿牝馬オークス(G1)4着のオトメノイノリがいる。母の第3子として生まれ、利口で背が高く、脚の長い馬だったという。同牧場で1歳秋まで順調に過ごし、その後は新冠町の日高軽種馬共同育成公社で後期育成が積まれた。

 今年11歳となる母シュガーハートは同牧場で繁殖生活を送っており、2歳に父ゴールドアリュールの牝馬(競走馬名・テーオーメーテル)、当歳に父ヴィクトワールピサの牝馬がいる。この春は本馬と同じ血統となるブラックタイドと交配している。母自身、競走馬としては不出走に終わったが、繁殖牝馬としての実績は素晴らしく、すでに牝馬の産駒にも恵まれていることから、これから子孫への注目も俄然増していくだろう。

 G1の中でもとりわけ格の高い八大競走のうち2つを制し、古馬王道距離路線の一流馬として、本馬はこれから目標とされる存在になるだろう。日高町産馬であり、父も日高町で繋養中であることから、地元の方々にとってはとりわけ親近感を覚える王者ではないだろうか。正克さんは、「今回は写真判定が出る前から“おめでとう”の電話が鳴っていて、本当に勝ったかなと思いながら電話を受けていました(苦笑) たくさん祝福いただきまして、お花もいただき、大変嬉しく思っています。馬自身、まだ4歳ですからね。これからの活躍も楽しみです」と、声を弾ませた。

 本馬の母の父サクラバクシンオーの子孫からは、グランプリボス、シーイズトウショウ、ショウナンカンプ、ダッシャーゴーゴー、ハクサンムーン、ビッグアーサーなど、古馬となってから本領発揮した馬や、好調期間の長い馬が目立つだけに、本馬もその特長が受け継がれるとなれば、古馬としてもますます期待が膨らむ。次の熱戦&熱唱の日を心待ちにしながら、本馬が名馬として大成する歩みを見守っていきたい。