2016年05月14日 京王杯スプリングC G2
優勝馬:サトノアラジン
プロフィール
- 生年月日
- 2011年02月16日 05歳
- 性別/毛色
- 牡/鹿毛
- 戦績
- 国内:18戦6勝
- 総収得賞金
- 450,903,000円
- 母 (母父)
- マジックストーム(USA) by Storm Cat(USA)
- 馬主
- 里見 治
- 生産者
- ノーザンファーム (安平)
- 調教師
- 池江 泰寿
- 騎手
- 川田 将雅
「大器晩成」とは、まさにサトノアラジンのことを言うのだろう。今年の京王杯スプリングC(G2)、3番人気で出走したサトノアラジンは、11度目となる挑戦でついに初重賞制覇を果たした。
父はディープインパクト、母マジックストームは米G2の勝ち馬という血統背景が映し出された好馬体をしたサトノアラジンは、2011年のセレクトセール当歳セクションにおいて、1億3,650万円(税込)の高評価を受ける。デビュー前にも様々な媒体で大きく取り上げられ、その期待通りに2歳8月のメイクデビュー新潟を快勝。一気にクラシックまで駆け上がるかと思われたが、その後は人気を背負いながらも勝ちきれないレースが続いた。
「能力の高さは育成時から「ダービー候補」だと思ったほどの大物感がありました。走りも馬体の良さがそのまま出たかのようにトビが大きく、広いコースでトップスピードに達したときには、どれほどの末脚を見せてくれるのだろうと思った程です」とは、ノーザンファーム空港牧場でサトノアラジンの育成調教を施していた大木誠司厩舎長。しかし、その頃から気性の難しさも垣間見せるようになっていたとのことで、結果としてレースで高い能力を発揮することができなかったのでは、とも話す。
管理をする池江泰寿厩舎としても気性も含めて、競走馬としての適性がどこにあるのかを思案していたのだろう。3歳時は芝3000mの菊花賞(G1)に出走したサトノアラジンではあったが、4歳時には芝のマイル戦線にも矛先を向けている。しかし、マイルの速い流れがあっていたのか、1600万下、オープンと上がり最速の脚で快勝。オープン入りを果たしてからは、エプソムC(G3)、富士S(G3)と続けて2着に入り、マイルChS(G1)では、あのモーリスに0秒2差の4着に入着する。
「本質的には芝の中長距離馬だと思います。それでもマイルで経験を積んだことで、心身共に歯車が合ってきたのでしょうし、この京王杯スプリングC(G2)はレースの流れも含めて、サトノアラジン向きのレースになったと思います」
よどみのないペースで流れた展開で、サトノアラジンは後方に待機。東京競馬場の長い直線に入ると、メンバー中上がり最速となる32秒4の末脚を使い、一気に先頭に躍り出た。
「直線に入ったときには勝てるのではと思っていました。改めて末脚の凄さも感じられましたし、完勝と言えるレースを見せてくれました」
この勝利で安田記念(G1)への優先出走権を獲得したサトノアラジン。同じ京王杯スプリングC(G2)組も出走してくることを考えると、一気に安田記念(G1)の本命馬に躍り出た印象もある。
「脚質だけでなく、レース成績にも表れているように東京競馬場で行われる安田記念(G1)は、サトノアラジンに間違いなく向いているレースだと思います。それだけに後は自分との戦いを克服して、また、あの末脚を見せてもらいたいですね」
安田記念(G1)で「大器晩成」が叶ったその時、一気に現役最強マイラーの称号は、サトノアラジンのものとなるのかもしれない。