2016年04月17日 皐月賞 G1
優勝馬:ディーマジェスティ
プロフィール
- 生年月日
- 2013年03月24日 03歳
- 性別/毛色
- 牡/鹿毛
- 戦績
- 国内:5戦3勝
- 総収得賞金
- 302,432,000円
- 母 (母父)
- エルメスティアラ by ブライアンズタイム(USA)
- 馬主
- 嶋田 賢
- 生産者
- 服部 牧場 (静内)
- 調教師
- 二ノ宮 敬宇
- 騎手
- 蛯名 正義
3歳牡馬の実績馬、素質馬が激突した皐月賞(G1)はディーマジェスティが差し切り、見事クラシック1冠目を射止めた。
本馬の生産は新ひだか町静内の服部牧場。昭和8年創業で、平成8年の皐月賞馬イシノサンデーをはじめ、ウインドフィールズ、フレンチカクタス、ユウキトップランといった重賞馬を生産し、最近ではエーシンビートロン、ホワイトエレガンス、メジャータイフーンがG1に駒を進めている。新ひだか町静内神森に本場、新冠町西泊津に分場があり、繁殖牝馬は25頭。スタッフはパートを含めて9名が働いている。
レース当日、同牧場の服部健太郎代表は中山競馬場へ出向き、栄えある瞬間を見届けた。服部代表は、「パドックでは春からの成長を感じ、良い状態に映りました。ただ、一緒に歩いている他の出走馬も、素晴らしい馬ばかりでしたね。G1でかなり混雑していたので、返し馬は間に合わず、スタンドに上がってまもなくファンファーレが鳴りました。強風を受けながらのレースでしたが、道中はしっかり折り合いがついていましたし、直線に向くあたりで上位の着順を意識しました。これだけのメンバーが揃っていた中で、優勝できて本当に嬉しいです。走破時計もレースレコードで、潜在能力の高さを示してくれたと思います」と、喜びを語った。
レース後、牧場の自宅には新ひだか町の酒井芳秀町長、藤沢澄雄北海道議員、JAしずないの西村和夫組合長や近隣の牧場経営者が訪れ、服部代表の母・寿美さんや牧場スタッフを祝福した。数日後には、新ひだか町役場やJAしずない、JR静内駅には勝利を祝う垂れ幕が掲げられた。
本馬は父ディープインパクト、母エルメスティアラ、母の父ブライアンズタイムという血統。牧場時代に携わった同牧場スタッフ・石丸久志さんは、「父の産駒としてはパワフルな馬体で、素軽い動きを見せていました」と、当時の印象に触れる。同じくスタッフの岡本真人さんは、「全姉ホクラニミサに比べて体がありましたね。気性は大人しく、扱いやすい馬でした」と、振り返り、順調に幼少期を送ったという。
後期育成は日高町の木村牧場(ファンタストクラブ内)で、入厩先となる美浦・二ノ宮敬宇厩舎だったエルコンドルパサー、ナカヤマフェスタ、レインボーダリアと同じ育成牧場で鍛錬が積まれた。2歳春には初回の産地馬体検査(静内)を受検しており、次世代のダービー馬を占う“POG”関連本でも、素質馬の一頭として伝えられていた。
母エルメスティアラは競走馬時代、不出走に終わったが、名牝ドフザダービーの末裔。英・愛ダービー馬のジェネラス、英オークス馬イマジン、日本で活躍したオースミタイクーンと同じく世界的良血馬で、クラシックホース誕生も納得の血統背景を持つ。嶋田賢オーナー所有馬として同牧場で第5子から繁殖生活を送り、2歳に本馬の全弟(馬名=ディーグランデ)、1歳に全妹が続く。
さて、来る日本ダービー(G1)へ向けて、俄然注目を集めている本馬。近走は昨年のダービー馬ドゥラメンテと同じ臨戦過程となり、実績ある東京コース替わりや芝2400m向きの血統背景、有力馬との生まれ日の比較などから、2冠Vへ推せる材料は多い。ウオッカ以来の新ひだか町産馬ダービー制覇に、地元の期待も高まっている。服部代表は、「色々な方に祝福いただきまして、励みとなる勝利でした。大事なスタッフの士気にもつながります。今後は無事にダービーを迎えて欲しい、ということに尽きますね。ただそれだけを願っています」と、静かにその時を待っている。
決戦の日まで残り僅か。勝利の風に乗り、世代の頂点としてふさわしい爆発力は、今一度鮮やかに発揮されるのではないか。