重賞ウィナーレポート

2016年02月14日 共同通信杯 G3

2016年02月14日 東京競馬場 晴 稍重 芝 1800m このレースの詳細データをJBIS-Searchで見る

優勝馬:ディーマジェスティ

プロフィール

生年月日
2013年03月24日 03歳
性別/毛色
牡/鹿毛
戦績
国内:4戦2勝
総収得賞金
302,432,000円
ディープインパクト
母 (母父)
エルメスティアラ  by  ブライアンズタイム(USA)
馬主
嶋田 賢
生産者
服部 牧場 (静内)
調教師
二ノ宮 敬宇
騎手
蛯名 正義
  • 1歳馬の全妹と中期育成スタッフの皆さん
    1歳馬の全妹と中期育成スタッフの皆さん
  • 1歳の全妹は走る姿にバネがありパワーもありそうなタイプとのこと
    1歳の全妹は走る姿にバネがありパワーもありそうなタイプとのこと

  • 1歳馬の放牧地。すぐ向こうには住宅地が並ぶ
    1歳馬の放牧地。すぐ向こうには住宅地が並ぶ
  • 中期育成場の厩舎
    中期育成場の厩舎
  • 静内のほぼ市街地にある服部牧場の本場。ネットが張られた牧柵は、放馬や動物侵入防止対策の一つ。
    静内のほぼ市街地にある服部牧場の本場。ネットが張られた牧柵は、放馬や動物侵入防止対策の一つ。

 春のクラシックへ向けたステップレース、第50回共同通信杯(G3)が東京競馬場で行われた。新ひだか町の(有)服部牧場生産のディーマジェスティが、6番人気ながらも直線外から鋭く伸びて抜け出し、2着のイモータルに1馬身1/4差をつけ優勝。重賞初制覇となった。

 ディーマジェスティを生産した(有)服部牧場は、本場を新ひだか町静内に、分場を新冠町西泊津に所有。8名のスタッフで27頭の繁殖馬を繋養する生産牧場だ。牧場の事務所のテレビで応援していた代表の服部健太郎さんは「嬉しかったです。ゴール前はみんなで盛り上がりました。」とスタッフと共に喜びを分かち合った様子を語ってくれた。「ここで凡走していたら路線変更になってしまうので力が入りました。これで春のクラシックを楽しむことができます。」と、顔をほころばせた。

 ディーマジェスティは、1歳の10月頃までを当牧場で順調に過ごした。「素直で良い馬でした」と服部さんが言うように、牧場でも移動先の育成場でも評判が良かったそうだ。「全姉のホクラニミサも走っていますし、期待していました。馬同士では放牧地で相撲をとるなどやんちゃな面もありましたが、人には従順でした。腹袋もどっしりしていて、ディープインパクトというよりブライアンズタイムが濃く出ている印象です。」と、中期育成スタッフの石丸久志さんが当時を振り返った。昨シーズンの出産が遅かったため本年はお休みしている本馬の母エルメスティアラは、同じ父を配合しても毎度違うタイプの仔を出産するそうだ。

 叔父に英・愛ダービーなどを勝利したジェネラス、日本ではマイラーズC(G2)やセントウルS(G3)を勝ったオースミタイクーンをはじめ、世界の多くの活躍馬が並ぶ素晴らしい血統を持つ母のエルメスティアラ。少々デリケートな爪をもっているため、2週間に一度は特殊な鉄の履き替えが欠かせない。装蹄師と相談しながらのケアが一年中必要なのだそうだ。そのリスクを抱えながらも、ここ数年ディープインパクトを配合している。この母馬にかけるオーナーの期待の高さが伺える。

 実は服部さんはアイルランドで修行をしていた当時、ディーマジェスティの3代母にあたるDoff the Derbyとその最後の産駒、後に英オークス(G1)や愛1000ギニー(G1)などを勝利したImagineを管理していたという。世界的に魅力ある血統であることは勿論、この馬の良さを直に感じた服部さんは、「いつかこの血統を手掛けたい」という夢を抱き続けていた。以前より繁殖馬を預けて頂いている嶋田賢オーナーが、縁あって母馬エルメスティアラを所有することになった際、自ら「ぜひやらせて下さい」とお願いした。「今まで自分からオーナーにこういうお願いをしたことはありませんでした。それだけに、無事に産ませて無事に育てるという、プレッシャーはあります。今回、少しはオーナーに恩返しができたかなと思います。」とホッとした表情を見せた。

 クラシックへの道を自ら掴み取ったディーマジェスティ。次走は皐月賞(G1)を予定。服部さんは「舞台へ無事にあがってほしい。とにかく無事に走ってほしいです。」と祈る。多くの人の想いを乗せて、スターホースへと駆け上がる姿を期待したい。