2016年02月20日 ダイヤモンドS G3
優勝馬:トゥインクル
プロフィール
- 生年月日
- 2011年04月15日 05歳
- 性別/毛色
- 牡/栗毛
- 戦績
- 国内:28戦5勝
- 総収得賞金
- 138,014,000円
- 父
- ステイゴールド
- 母 (母父)
- ロングスターダム by ノーザンテースト(CAN)
- 馬主
- 畑佐 博
- 生産者
- いとう牧場 (門別)
- 調教師
- 牧田 和弥
- 騎手
- 勝浦 正樹
芝の長距離重賞「ダイヤモンドステークス(G3)」を制したのは、門別のいとう牧場の生産馬トゥインクルだった。
デビュー当初から芝の長距離戦を使われ、1勝をあげたあとダートに活路を求めた時期もあったが、昨年5月から芝のレースに戻すと成績が急上昇。重賞初挑戦となった昨年のステイヤーズS(G2)は後方から追い上げて3着だったが、重賞レース2度目の挑戦で重賞初勝利。早め先頭から後続を突き離す強い勝ち方に、同牧場の伊藤真継社長の開口一番は「強かったですよね。早めに出て(スピードが)持つのか心配だったけれど、そのまま行きました。スタミナがある馬ですよ。」と愛馬を賞賛する。
お産や種付けのシーズンとなり競馬場に応援に行けなかった伊藤社長は、やや重と発表されていた馬場情報と、前走のプラス10キロから14キロ絞った馬体重に手応えを感じていたという。
「未勝利を勝ち上がった時もぐしゃぐしゃな重馬場でした。幼駒の頃は、足長で細身の馬だったのですが、スタミナがありますね。ノーザンテーストの血が出たのかな。」と伊藤社長は言う。
本馬の父はステイゴールド。母ロングスターダムはノーザンテーストの直仔だから、ノーザンテースト4×2のクロスが生じている。
母ロングスターダムは、1993年のエルフィンSを勝ったアロームの全妹。競走馬としては未出走で、日高町の牧場で繁殖生活を送っていたが、そこの牧場から、いとう牧場が譲り受けて第11仔目に本馬が誕生した。
母は3年ほど前に死亡し、本馬は良血の母ロングスターダムの最後の現役競走馬となった。その忘れ形見となる本馬が母に産駒初となる重賞制覇を捧げたのだ。
いとう牧場は、日高本線とよさと駅から波恵川沿いに山に向かい車で20分ほどの豊郷に本場がある。広い河川敷が広がるこの地域は郵便局などもある集落を形成しており、5町ほどの本場で繁殖を行い、清畠にある30町の分場で当歳や1歳、空胎馬の放牧などが行われている。牧場は真継社長と奥さん、それに今は、大学を卒業した息子さんの手伝いを含め3人で16頭の繁殖牝馬を飼養する家族経営をしている。
戦前に入植して4代目になる伊藤真継社長が先代から経営を引き継いだ当時はアラブが主流だった。その後、サラブレッドに移行したのだが、バブル期の景気に乗れずに苦労したと言う。
牧場の努力が報われたのは1994年の東京NHK杯(G2)で生産馬のナムラコクオーが優勝したことだ。牧場にとっては、初めての重賞制覇でもあった。
その後は、ナムラホームズ(安田記念(G1)5着)、ビウイッチアス(フィリーズレビュー(G2)2着)などの活躍馬を輩出し、この3年間はナムラビクター(2014年アンタレスS(G3)優勝)、スマートオリオン(2014年オーシャンS(G3)、2015年中京記念(G3)優勝)、そして、今年の本馬と3年連続して重賞馬を出している。
重賞馬となった生産馬は、それぞれに違う牝系から産まれているというのも快挙だ。それを問うと伊藤社長は「別に特別な事はしていません。毎日、地道に同じ仕事を続けているだけですよ。」と謙遜する。
本馬の次走の目標は天皇賞(春)(G1)となった。「お産が続いている時期ですが、うまくレースの日に、時間が取れれば応援に行きます。」と目を輝かせている。
5歳で本格化した本馬が、いとう牧場と母ロングスターダムにG1の優勝をプレゼントすることが出来るのか、本馬の活躍に期待がかかる。