重賞ウィナーレポート

2015年10月24日 富士S G3

2015年10月24日 東京競馬場 晴 良 芝 1600m このレースの詳細データをJBIS-Searchで見る

優勝馬:ダノンプラチナ

プロフィール

生年月日
2012年03月23日 03歳
性別/毛色
牡/芦毛
戦績
国内:7戦4勝
総収得賞金
195,823,000円
ディープインパクト
母 (母父)
バディーラ(USA)  by  Unbridled's Song(USA)
馬主
(株) ダノックス
生産者
千代田牧場 (静内)
調教師
国枝 栄
騎手
蛯名 正義

   2014年から優勝馬にはマイルチャンピオンシップ(G1)の優先出走権が与えられる富士ステークス(G3)は、新ひだか町の千代田牧場生産ダノンプラチナがメンバー最速の上がりタイムを記録して1分32秒7(良)で優勝。今回の勝利でマイル戦を4戦4勝とし、昨年の2歳王者の貫録を示す結果となった。

   ダノンプラチナの生まれ故郷は新ひだか町の千代田牧場。1945年の創業以来、天皇賞・春の勝ち馬イチフジイサミや、天皇賞・秋などG1競走3勝のニッポーテイオーはじめ、オークス馬のスマイルトゥモローや、ニッポーテイオーの妹でエリザベス女王杯優勝のタレンティドガール。同じくエリザベス女王杯勝馬ビクトリアクラウンや2歳女王のピースオブワールドなど、これまで数えきれないくらいのG1勝馬、重賞勝ち馬を送り出してきた。近年ではヴィクトリアマイル優勝のホエールキャプチャなどが記憶に新しい。

   最大の特徴は、北海道と千葉に拠点を持ち、生産から育成、調教と休養などを総合的に行っていることだ。今回の勝利は、そうした千代田牧場の特性がフルにいかされた勝利でもあった。

   競馬場でレースを見届けた千代田牧場の飯田正剛社長は「今回の勝利は、ひとことで言うなら馬の状態をしっかりと見極める観察力と、決断力の勝利だと思います」。そう話してくれた。

   2歳王者としては不完全燃焼に終わった春シーズン。皐月賞(G1)は4コーナーで不利を受けたことも大きかったが、ダノンプラチナらしさを見せないレース内容から、北海道へと放牧に出された。体調が本物ではないと判断されたからだ。

   「(賞金的に)ダービー(G1)の出走権利は持っていましたし、(距離適性を考えれば)NHKマイルC(G1)という選択肢もありましたが、思い切って休ませることにしたのです。当時、この判断に反対する人はいませんでした」。ダノンプラチナに関係する人すべてが、この馬の高い能力を信じていたからこその“勇気ある撤退”だった。

   暑い夏を、過ごし慣れた千代田牧場で送っていたダノンプラチナに与えられたテーマは「メンタル面のケア」だったという。馬のテンションをあげすぎないように細心のケアをしながら、心身の回復、成長を促した。

   早くから秋の始動は京王杯オータムハンデ(G3)と定められ、8月中旬すぎにトレセンへ帰厩。しかし、過ごしやすい北海道の夏とあまりに違う気候条件に馬が戸惑いを見せると、当初、目標にしていたレースは登録も行わずに秋が深まるのを待った。

   「レースにあわせて馬に無理をさせるのではなく、馬にあわせたローテーションを選んだということです」。秋の目標を切り替えたときも、以心伝心。その後はプールと坂路を交え、このレースに向けて体調を整えていった。

   「スタートで挟まるようなかたちになって、後方からの競馬になりましたが、直線の瞬発力は目を見張るものがありました。久しぶりの競馬ということに加えて、初めての古馬混合戦。決して楽な条件ではなかったですが、パワーアップを感じさせる内容だったと思います」と強さと逞しさを増した愛馬を称えた。

   馬の状態を見極め、そして馬に適したローテーションとレース選び。そして何よりも牧場と厩舎との緻密な連携。ダノンプラチナの勝利は、その大切さを教えてくれた。