2015年08月11日 秋桜読売レディス杯(GDJ)
優勝馬:エトワールドロゼ
プロフィール
- 生年月日
- 2011年04月27日 04歳
- 性別/毛色
- 牝/栗毛
- 戦績
- 国内:21戦9勝
- 総収得賞金
- 16,213,000円
- 馬主
- 太田 珠々子
- 生産者
- 赤石 久夫 (新冠)
- 調教師
- 金田 一昌
- 騎手
- 田知 弘久
『グランダム・ジャパン2015』古馬シーズンの第4戦「読売レディス杯」を制したのは、8番人気の伏兵エトワールドロゼ。好スタートから果敢に先手を奪うと、直線で同馬をよく知る鞍上・田知弘久騎手の叱咤に応えて並み居る遠征勢を退け、地元金沢所属馬としては2009年アウロラプラネット以来6年ぶりに女王の座を勝ち取った。
エトワールドロゼが生まれ育ったのは、北海道新冠町の赤石牧場(生産者の名義は代表・赤石久夫さん)。現在の地に競走馬生産牧場を開業してから、およそ50年の歴史を持つ。主な生産馬には1999年のセントライト記念(G2)で3着に入ったマイネルバイエルンや、2008年の兵庫ダービー馬バンバンバンク、2010年のラベンダー賞をレコード勝ちしたロビンフット、2011年のブリリアントSなどJRAで6勝を挙げたキクノアポロがいる。
「手のかからない仔でした」と久夫さんが話すように、生まれた当初のエトワールドロゼは、いわゆる“優等生タイプ”だったそうだ。「正直なところ、牧場のなかでも特に目立った存在ではなかったのですが、体は比較的大きなほうでしたし脚元もしっかりしていました。1歳の秋ごろから馬体も型通りグーンと成長し、馬っぷりも随分変わってきましたよ」と振り返る。
牧場では特に大きな事故やケガもなく、スクスクと成長を重ねたエトワールドロゼ。2歳の年明け早々まで主に世話をしていた長男・秀樹さんは、「とにかく頭のいい馬でした。牝馬特有のおとなしさがある一方で、物怖じしない気の強さも兼ね備えていましたね」と、早くからこの馬の賢さや精神面のタフさに注目していた。
今回の勝利はエトワールドロゼにとって、2014年の加賀友禅賞以来となる約1年ぶりの重賞タイトルだった。スタッフはちょうど牧場の作業中で、金田一昌調教師からの電話で勝利の吉報を耳にしたそうだ。「他地区から実績のある馬も遠征していましたが、馬も騎手も地元のコースを知り尽くしていたことが最大の勝因だったのではないでしょうか。うまく地の利を活かしましたね」と、勝因を冷静に分析する秀樹さん。
現在は繁殖牝馬26頭、当歳馬18頭、1歳馬9頭を、3人の息子さんたちが中心となって繋養している赤石牧場。「その時その時の状態を逐一観察しながら、馬と接することを念頭に置いています。『エサの量はこうした方がいい』など、弟たちと常日頃から情報交換を怠らないようにしています」と、馬づくりにおけるチームワークの大切さを教えてくれた。時には3頭のお産が重なることもあるそうだが、兄弟で綿密なコミュニケーションをとりながら、毎年20頭以上の生産をこなしてきている。
エトワールドロゼの父アドマイヤマックスは、現役時代に故障を乗り越えて2005年の高松宮記念(G1)を制覇。種牡馬としても2011年の新潟2歳S(G3)を制したモンストールや、同年の福島記念(G3)勝ち馬アドマイヤコスモス、2013年の根岸S(G3)優勝馬メイショウマシュウなど、芝・ダートを問わず、さまざまな条件で重賞勝ち馬を輩出している。
一方の母ドリームへイローは現役時代、ホッカイドウ競馬で31戦5勝という競走成績だったが、その姉には1992年の優駿牝馬(オークス)(G1)で3着に入り、その年のサンスポ杯4歳牝馬特別(現フローラS)(G2)と翌1993年の東京新聞杯(G3)に優勝したキョウワホウセキがいる良血馬。5歳時に繁殖入りし、赤石牧場へ移って初めて産み落とした3番仔がエトワールドロゼだった。
実は、エトワールドロゼが制した読売レディス杯にもう1頭、赤石牧場の生産馬シンカンイチコが出走していた(結果は8着)。その母アンドロメダは赤石牧場で繁殖生活をつづけており、今年5月に父ショウナンカンプの牡馬を出産している。「姉(シンカンイチコ)の同じ時期よりも馬格がありますし、気性もこちらのほうが穏やかで扱いやすいですね。金沢で20個もの白星を積み重ねた姉と同じように活躍してほしいです」と、秀樹さんも期待を寄せている。
エトワールドロゼの次走予定は、『グランダム・ジャパン2015』古馬シーズン第7戦の「秋桜賞(9月10日、名古屋競馬場)」。2歳の10月にデビューして以来、22戦目にして初めて金沢競馬場以外でレースをすることになる。「『無事是名馬』という言葉もありますが、まだ4歳と若いですし、どんなレースになろうとも、まずは無事に走ってきてほしいです」と生産馬を気遣う赤石さんご家族。遠征先でも持てる力を存分に発揮し、加賀百万石の地から『グランダム・ジャパン』の舞台で全国制覇を目指してほしい。