2015年06月05日 東海ダービー(DW2015)
優勝馬:バズーカ
プロフィール
- 生年月日
- 2012年04月14日 03歳
- 性別/毛色
- 牡/鹿毛
- 戦績
- 国内:11戦4勝
- 総収得賞金
- 36,806,000円
- 父
- スニッツェル(AUS)
- 母 (母父)
- ギュイエンヌ by タニノギムレット
- 馬主
- 杉山 忠国
- 生産者
- 明治牧場 (三石)
- 調教師
- 川西 毅
- 騎手
- 今井 貴大
全国6競馬場を舞台に6日間連続で行われた『ダービーウイーク2015』のフィナーレは、名古屋競馬場の「東海ダービー」。出走12頭中11頭が牝馬という東海ダービーを制したのは、唯一の牡馬バズーカだった。中団追走から2周目4コーナーで前を捕え、直線で力強く抜け出して優勝。転入初戦で初重賞勝利を飾るとともに、見事にダービー馬の勲章を手にした。
バズーカの生まれ故郷は、新ひだか町三石の明治牧場。現役馬として短距離重賞を沸かせつづけているセイコーライコウやスギノエンデバーらの生産牧場だ。牧場事務所のテレビでスタッフとレースを観戦していたという柳沢末治場長は、「まだレースに集中できていない子供っぽさがありますが、能力を出しきってくれれば好勝負できると思っていました。何といってもダービーですからね、スタッフみんなで喜び合いましたよ。調教師さんにも感謝でいっぱいです」と喜びの声を寄せてくれた。「今年は北海優駿(ダービー)でジュエルクィーンが3着、兵庫ダービーでナニスンネンが3着とあと一歩のレースがつづきましたから、なおさら嬉しかったです」とダービータイトルの重みを噛みしめる。
明治牧場の生産馬であるギュイエンヌが里帰りし、初めて産んだ仔がバズーカだった。祖母のスギノトヨヒメも同牧場の生産馬で、とても思い入れのある血統だという。「生まれたときは線の細いところがありましたが、成長するにつれて馬体に幅が出てきました。好奇心旺盛で気の強いやんちゃな馬でしたが、物覚えが良く、人間の言う事はよく聞いてくれましたね。ただ、油断すると噛みつかれることも…。馬としてはじゃれているつもりだったのかもしれませんがね。放牧地ではリーダー的な存在で、いつも先頭に立って走っていました」とバズーカの幼少期について詳細に教えてくれた。
父のスニッツェルは、豪州スプリント界のトップホースとして活躍し、種牡馬としても大成功。2007年と2011年には日本で種牡馬生活を送り、あわせて100頭以上の産駒を日本に残している。今年2月のアーリントンカップ(G3)をヤングマンパワーが制してJRAでの産駒初重賞勝利を挙げ、注目を集めた矢先のダービー制覇だった。「祖母スギノトヨヒメも母ギュイエンヌも短めの距離を得意としていたので、よりスピードに磨きをかけた仔が生まれてほしいと願ってスニッツェルを交配しました」と、配合理由についても明かしてくれた。
母のギュイエンヌは今春に父エイシンフラッシュの牡馬を出産し、現在は父スマートファルコンの仔を受胎中。その他にも明治牧場には、将来が楽しみになる話題に事欠かない。「ナニスンネンの母スギノフォルモーザ(18歳)は、うちの牧場で唯一のサンデーサイレンス直仔の繁殖牝馬なのですが、今年は父トーセンジョーダンの仔を受胎しています。また、ジュエルクィーンの祖母スギノキューティー(20歳)は、今春に父オルフェーヴルの牝馬を産み、早くも堀宣行厩舎に入ることが決まりました。とても良い馬なので、無事に成長して将来活躍してほしいですね」と各馬の未来に期待を寄せる。
「バズーカも精神的に成長し、集中して走れるようになれば、もっと活躍できると思います。また中央に戻るのを目標にしているようですし、先々が楽しみですね」とダービー馬の将来にも期待する。余談だが、2日前の東京ダービーを制したラッキープリンスの生産者・畔高稔さんと、明治牧場の柳沢場長は学生時代の同級生だそうだ。お互いの健闘を讃え、これからのさらなる飛躍を誓い合ったという。ダービーの勲章を誇りに生産をつづけていく両牧場から、今後も多くの活躍馬が誕生してくることを願いたい。