重賞ウィナーレポート

2014年11月23日 マイルChS G1

2014年11月23日 京都競馬場 晴 良 芝 1600m このレースの詳細データをJBIS-Searchで見る

優勝馬:ダノンシャーク

プロフィール

生年月日
2008年03月09日 06歳
性別/毛色
牡/鹿毛
戦績
国内:29戦7勝
総収得賞金
486,778,000円
ディープインパクト
母 (母父)
カーラパワー(GB)  by  Caerleon(USA)
馬主
(株) ダノックス
生産者
下河辺牧場 (門別)
調教師
大久保 龍志
騎手
岩田 康誠
  • 雪で覆われた放牧地
    雪で覆われた放牧地
  • 牧場カラーの厩舎
    牧場カラーの厩舎
  • 事務所
    事務所
  • 牧場の門柱
    牧場の門柱
  • 牧場入口の両脇には木々が生え揃っている
    牧場入口の両脇には木々が生え揃っている
  • 牧場を見守っている愛犬のマックス
    牧場を見守っている愛犬のマックス

 11月23日に京都競馬場で行われた第31回マイルチャンピオンシップ(G1)。岩田康誠騎手騎乗のダノンシャークは直線で内から脚を伸ばし、2着馬との競り合いの末、わずか5cm差という熱い戦いを制した。このレース3度目の挑戦にして自身初のG1勝利となった。 

 ダノンシャークを生産・育成した下河辺牧場は、日高町にある創業1933年の老舗牧場。繁殖牝馬130頭ほどを所有し、繁殖・中間育成・育成を行う総合牧場である。3冠牝馬スティルインラブや桜花賞馬アユサン、オークス馬ダイワエルシエーロ、京王杯スプリングカップ(G2)等を勝ち、種牡馬となるレッドスパーダなど数々の名馬を輩出している。

 レース当日はテレビで観戦していたという育成部門担当の下河辺隆行専務。5cm差の接戦に「どちらが勝ったか全然わかりませんでした。テレビで岩田ジョッキーが1着の枠に入ったのを見て、もしかしたら勝ったのかなぁと思いました」とレース直後のことを話してくれた。「道中後ろからためてきていたので、4コーナーをまわった時にチャンスがあるかなと思いました。勝てて嬉しかったです。ジョッキーがうまく乗ってくれたのだと思います」。勝ったとわかった時にまず浮かんだのは、オーナーと調教師の顔だったそうだ。

 「惜しいレースが続き、悔しい顔をしているのを見ていたから、本当に良かったと思いました。」と話す隆行専務は、柔らかな表情をしていた。ダノンシャークは当歳のセレクトセールにて3,150万円(税込)で売買されている。ゴム鞠のような柔らかい動きとバランス良い馬体。反面、コンパクトな馬体は評価が分かれたが、「オーナー陣営がすごく評価して下さったことが今でもすごく印象に残っています」。

 2歳の夏ごろまでを牧場で過ごした本馬は、手のかからない幼少期だったと言う。本馬の他にもレイカーラをはじめ産駒の勝ち上がりが素晴らしい優秀な母馬カーラパワーの放任主義の下に順調に育てられたそうだ。

 下河辺牧場でこれだけ多くの名馬を生み出している理由を尋ねてみた。「他の牧場のことはわかりませんが、普通のことしかしていません。普段のことを大事にし、1頭1頭手をかけられるところには時間をかけています。あとは早期に発見すること。馬の扱いや日々のルーチンをしっかりやることだけです。」

 手をかけるということは、整備された場内からも見て感じとることができる。「厩舎だって古いし、どこにでもあるシンプルな建物。大手のようなすごいものはないですよ。」と隆行専務は笑う。「僕が小さい時にこの木は、この半分以下の低さでした。」と場内にある美しい木立を指し言うように、歴史を感じる。新しいものでも、作られたものでもない、大事に使われてきた美しさが牧場全体から感じられる。こういうところが馬に対する姿勢にも繋がっているのではないだろうか。

 「やっと手が届いた勝利。ダノンシャークには、今後も無事に頑張ってほしい」と隆行専務は願う。6歳にして掴んだG1タイトル。故郷からのエールを受け、マイル王としてのこれからの活躍にも期待したい。