重賞ウィナーレポート

2014年11月01日 アルテミスS G3

2014年11月01日 東京競馬場 小雨 稍重 芝 1600m このレースの詳細データをJBIS-Searchで見る

優勝馬:ココロノアイ

プロフィール

生年月日
2012年04月28日 02歳
性別/毛色
牝/鹿毛
戦績
国内:3戦2勝
総収得賞金
111,453,000円
ステイゴールド
母 (母父)
ビューティソング  by  デインヒル(USA)
馬主
(有) 酒井牧場
生産者
酒井牧場 (浦河)
調教師
尾関 知人
騎手
横山 典弘
  • 姉のジュリエットソング
    姉のジュリエットソング
  • メインの厩舎
    メインの厩舎
  • 懐かしい写真。馬番は偶然にも同じ16番
    懐かしい写真。馬番は偶然にも同じ16番
  • マックスビューティとホクトベガが眠っている
    マックスビューティとホクトベガが眠っている
  • 牧場の看板
    牧場の看板

 11月1日小雨の中、東京競馬場で行われた第3回アルテミスステークス(G3、芝1600m)は、9番人気のココロノアイ(牝2、父ステイゴールド、母ビューティソング、尾関厩舎)が、直線で力強い伸びをみせて優勝。嬉しい重賞初勝利を飾った。

 生産者で馬主の酒井牧場の歴史は古く、1940年に牧場経営をはじめ、現在の代表取締役酒井一馬さんが4代目になる。これまでに1961年日本ダービー優勝のハクショウ、オークス優勝のチトセホープ、1987年桜花賞(G1)とオークス(G1)優勝のマックスビューティ、1993年エリザベス女王杯(G1)優勝のホクトベガなど数々の名馬を産出している。

 レース当日、酒井一馬さんは、東京競馬場に関係者3人で応援に駈け付けたそうだ。「尾関先生から、しっかり負荷をかけて調教できましたし体重も減ってないのですごく良い状態です、というお話を聞いていたので頑張って結果をだしてくれたらという期待を持ちながら、ドキドキしてレースを待っていました」。

 ところが出遅れ。そして向こう正面では一気に進出しながらもゴール前まで脚色は衰えずに先頭でゴールを果たした。写真判定になったが、まだ確定していないうちから勝利を祝う電話やメールもたくさん頂いたという。「出遅れて、どうなるかと思いましたが最後は尾関先生、尾関厩舎のスタッフの皆さんと横山ジョッキーの執念で勝たせてもらいました。名前とは対照的な派手な競馬をしてくれましたね」と愛馬を思い笑顔がこぼれる。

 名前は尾関調教師がつけてくれたそうだ。「父ステイゴールドの名前はスティービー・ワンダーの曲名から取ったそうなので、それにちなんで心の愛という曲から付けてくれたんです。可愛らしい素敵な名前なので、すぐに気に入りました。」

 牧場時代はどんな馬だったのか聞いてみると「生まれた時、脚が曲がっていたので売るのをあきらめて手元に置くことにしました。その後、1歳の時に蹄が割れる病気になって、手間がかかった時もありましたね。でも性格的にはおとなしく、また内臓面などには心配な点はありませんでした」という。そんな子が3戦目にして重賞初勝利をもたらしてくれた。

 酒井牧場を語るうえで、忘れてはならない馬がいるという。「マックスビューティ、マックスジョリー。この2頭は牧場に大きなタイトルと勇気をあたえてくれた特別な存在なんです。ココロノアイはマックスビューティのひ孫にあたるのですが、こうして再び重賞を勝ってくれて本当にありがたいです。これからも、とにかく無事でいて、息長く走ってくれると良いですね。目標にしているレースに出走して良い結果が出たら最高に嬉しいですよ。そしてまた、健康で牧場に帰ってきてくれて今度は母として活躍して欲しいと思っています。」名牝の魂はこうして受け継がれていくのだろう。

 若き4代目当主、酒井さんが普段心がけていることは決して特別な事ではないと言う。「ある本に、普通と思える事や、当たり前と思える事を毎日コツコツと続ける事が成功する秘訣だ、と書いてあったのが心に残り実践しています。例えば、話しかけたり、手入れをしたりしてコミュニケーションをとるなどを基本として、馬にとって良いと思える事は手間暇惜しまずやっています。」

 母ビューティソングは他の牧場に移動して活躍しているが、酒井牧場では姉のジュリエットソングがヘニーヒューズを受胎し穏やかな生活を送っている。「毎日コツコツ声をかけ手をかけ、牧場から巣立って行った馬達が、大きなレースに出走して勝ってくれるようにこれからも頑張って行きます。」

 ココロノアイは、状態をみながら順調であれば阪神JF(G1)を目指すという。まだ輝き始めたばかりの才能。これからも心躍る走りを期待したい。