2014年04月06日 産経大阪杯 G2
優勝馬:キズナ
プロフィール
- 生年月日
- 2010年03月05日 04歳
- 性別/毛色
- 牡/青鹿毛
- 戦績
- 国内:8戦6勝
- 総収得賞金
- 476,399,000円
- 母 (母父)
- キャットクイル(CAN) by Storm Cat(USA)
- 馬主
- 前田 晋二
- 生産者
- 株式会社 ノースヒルズ (新冠)
- 調教師
- 佐々木 晶三
- 騎手
- 武 豊
わずか8頭の出走馬ながら、G1勝馬が4頭という豪華メンバーになった大阪杯(G2)は、天皇賞(春)(G1)を目指す馬たちのステップレースというよりも、今年1年のJRAを占う重要な1戦となった。
勝ったのは、昨年の日本ダービー馬で、昨年の凱旋門賞(G1)以来、約6か月ぶりの出走となったキズナ。すでに獲得賞金の面でも出走を確実なものとしているが、この勝利で春の大目標である天皇賞(春)(G1)の優先出走権を手中にした。
愛馬の完璧な勝利を鳥取県の大山ヒルズの牧場事務所で見届けた齋藤慎マネージャーは期待と不安が入り混じるような気持ちでレース当日を迎えたという。「納得のいくような状態でトレセンに送り出しましたが、それだけで勝てるほど競馬は簡単なものではありません」。しかし、そんなマネージャーの心配をよそにレース前半を最後方の位置でレースを進めたキズナは、抜群の手応えのまま4コーナーをまわり、直線に入ると矢のような伸びを見せて先頭でゴールへと飛び込んだ。
「勝利を確信したのは4コーナーをまわって外に持ち出されたときです。それにしても、すごい末脚でした」と舌を巻いた。
とはいえ、ここに至るまでの道は簡単なものではなかった。
昨年10月6日に行われた凱旋門賞(G1)に出走したあと、10日に帰国したキズナは競馬学校での輸入検疫を終えて大山ヒルズへとやってきた。「食欲もありましたし、見た目には疲れとかはあまり感じられませんでした。しかし、食べる割には体重が戻ってきませんでした」。佐々木調教師やオーナーを含めた話し合いの結果、思い切って休ませようという結論になった。
「ファン投票で2位に選んでもらった有馬記念(G1)を楽しみにしていた方々には申し訳なかったですが、休ませようと決めた日から1か月間、乗り運動を行いませんでした。そうしたら、休んでいる間にどんどん体重が戻るだけではなく、背も伸びてきました」。大山ヒルズ時代の馬体重は520キロ。フランスでは馬体重を計る習慣がないので凱旋門賞(G1)出走時と比べることはできないが、ダービー(G1)のときと比べると40キロ以上も体重が増えた。その馬体は、乗り込み量を増やしても、その体重をキープし続けた。余分なものが削ぎ落ちる一方で、筋肉がついたのだ。
「有馬記念(G1)で無理をさせなかったことが、本当によかったのだと思います。以前と比べても見た目にもパワーアップしてきました」。輸送などもあるので、大阪杯(G2)出走時は牧場時代に比べると少しシャープになって498キロ。それでも、ダービー(G1)出走時からは20キロ増だ。
「天皇賞(春)(G1)へのステップレースという位置づけではありましたが、佐々木調教師もキズナに関しては1戦々々が真剣勝負だと思っているようです。テレビの画面を通してみたパドックですが、すばらしい馬体だったと思います。送り出してしまえば、あと私たちにできることは馬と厩舎の方々、そしてジョッキーを信じるだけ。この馬に携わることができたことが嬉しいです」と声を弾ませた。
次走は、当然のように天皇賞(春)(G1)だ。「今度は、さらに強力なメンバーが相手になりますし、京都の3200mは特殊なコース。それでも、キズナらしい競馬でこの馬らしい競馬をしてほしい。私は、ここ大山から精一杯応援します」と、楽しみにしている。