2014年04月13日 桜花賞 G1
優勝馬:ハープスター
プロフィール
- 生年月日
- 2011年04月24日 03歳
- 性別/毛色
- 牝/鹿毛
- 戦績
- 国内:5戦4勝
- 総収得賞金
- 360,248,000円
- 母 (母父)
- ヒストリックスター by ファルブラヴ(IRE)
- 馬主
- (有) キャロットファーム
- 生産者
- ノーザンファーム (安平)
- 調教師
- 松田 博資
- 騎手
- 川田 将雅
単勝支持率は桜花賞(G1)史上5番目となる66.8%。桜花賞(G1)当日における阪神競馬場の入場人員は前年比107.5%の4万8644人。桜花賞(G1)の売り上げもまた、前年比108.5%の152億8523万8200円。この数字を生み出したスターホース。それは間違いなくハープスターである。
桜花賞(G1)の当日、阪神競馬場のパドックにはノーザンファーム早来牧場で育成を手がけた、日下和博育成厩舎長の姿があった。実際にハープスターの姿を見るのは阪神JF(G1)以来のこと。その時、日下厩舎長はハープスターの外見的な変化を感じ取った。
「それまで馬体は母父であるファルブラヴが出ていた印象があったのですが、この日のパドックを見た時に、父であるディープインパクトを彷彿とさせるような馬に変わってきたなと思えました」(日下厩舎長)
前走のチューリップ賞(G3)。ハープスターは後方一気の末脚で他馬を置き去りにしていく。そのレースぶりは、まさに父であるディープインパクトそのもの。そしてこの桜花賞(G1)でもまたハープスターは、現役時の父を彷彿とさせるような衝撃のパフォーマンスを見せることとなる。
レースは1000m通過が57秒というハイペースの中、フクノドリームが後続との差を大きく広げて逃げる展開。その流れの中をハープスターは18頭の最後方から追走していく。直線に入ってからもフクノドリームとハープスターのいる馬群の差は約10馬身。その時、日下厩舎長は育成を手がけたあの馬のレースが脳裏をよぎったという。
「ふと、ブエナビスタのエリザベス女王杯(G1)のようだとも思いました。でも、あの時のブエナビスタは負けてしまっていますし、今回はただ、届いてくれと信じるしか無かったですね」(日下厩舎長)
その日下厩舎長の思いが、そして競馬場やTVの前で応援していたファンの思いがハープスターに届く。上がり3ハロンのタイムは32秒9というまさに究極と言っていい末脚で、まるで風のように1頭、また1頭と抜き去っていく。ゴール前で先頭に立っていたのは、阪神JF(G1)で唯一の敗戦を喫したレッドリヴェール。しかし、その際はハナ差で敗れた悔しさを、今回はクビ差交わした場所がゴールとなった。
「最後方からあれだけの足を使ってくれたのにも関わらず、口取りでは疲れなど知らないかのようにケロッとしていました。競走能力だけでなく、心肺機能も含めて本当に凄い馬なんだなと改めて思いました」(日下厩舎長)
能力の高い馬に共通するのは、上質の乗り味。「柔らかい」、「沈み込む」など様々な表現があるが、ハープスターの乗り味について、日下厩舎長は「パンパンのゴム鞠のよう」と表現する。
「そのゴム鞠をつけば付くほど跳ね返ってくるというのか、まさに弾けるような動きを感じさせていました。高い能力は持っていると思っていましたが、今回のレースを見ても、その時の期待を遙かに超えるような馬になってくれていると思います」(日下厩舎長)
次走はオークス(G1)を予定。このレースは日下厩舎長が跨った祖母のベガが、初めて自分の目の前で勝ったG1レースともなる。
「近年の牝馬クラシック戦線を見ても、桜花賞(G1)とオークス(G1)の成績は直結する傾向にありますし、何よりもハープスターの走りや能力からしても、距離の不安はありません。むしろ今はファンのような気持ちで二冠を勝利することを祈っているような気持ちですね」(日下厩舎長)
ベガが二冠牝馬となってから21年。日下厩舎長はベガに跨っていたことも振り返りながら、「長くこの牧場で仕事をさせてもらって良かったなと思います」とも感慨深げに話す。祖母も勝利した東京競馬場芝2400mの舞台で、ハープスターもまた、ベガが勝利した時以上の感動を日下厩舎長に、そして痛快な強さを応援してくれている多くのファンに示してくれるはずだ。