2014年03月22日 ファルコンS G3
優勝馬:タガノグランパ
プロフィール
- 生年月日
- 2011年04月30日 03歳
- 性別/毛色
- 牡/鹿毛
- 戦績
- 国内:6戦3勝
- 総収得賞金
- 141,844,000円
- 馬主
- 八木 良司
- 生産者
- 有限会社新冠タガノファーム (新冠)
- 調教師
- 松田 博資
- 騎手
- 福永 祐一
春の3歳G1へ向けての前哨戦、ファルコンS(G3)はタガノグランパが直線で弾けるように伸び、1番人気に応えて重賞初制覇を飾った。
本馬の生産は新冠町の新冠タガノファーム。「タガノ」の冠名で知られる八木良司オーナーの牧場で、約10年前に競走馬生産に本格的に着手し、新冠町に複数の拠点を構える。後期育成は関連牧場の宇治田原優駿ステーブル(京都府)と連携している。繁殖牝馬は約50頭で、スタッフ14名が働いている。
レースの感想を語ってくれたのは、同牧場主任の杉木誠さん。出産・種付け時期で慌ただしい中、事務所のテレビの前にスタッフが集まり、声援を送っていた。「牧場生産馬として初めての重賞勝ちとなり、本当に喜んでいます。レースはタガノブルグと2頭出しで、どちらも好勝負してくれると期待していました。最後の直線は叫んでいましたね(笑)松田博資調教師、種付けでお世話になっている社台スタリオンステーションの角田修男獣医師やスタッフの皆さんのおかげです。」と、喜びを語った。
ディープインパクトとリーディングサイアーを争う実績の種牡馬・キングカメハメハ産駒の本馬は、母タガノグラマラスの2番仔として誕生した。杉木さんは、「今でこそ470kg台の馬体ですが、牧場時代はわりと小さかったですね。素直で大人しく、いい意味で目立たない馬でした。明和の本場で当歳時を過ごし、泊津と高江の分場で1歳時を過ごしました。2歳になる前ぐらいに京都へ移動しましたが、それまで順調に過ごしました。とても乗りやすい馬で、背中の感触は良かったです。育成先の宇治田原優駿ステーブルからは“新馬から勝てると思う”と、評判を聞いていました。」と、振り返る。松田博資調教師は母も管理しており、本馬には当歳時から成長を見ていたという。
母タガノグラマラスは現役時代4勝。同牧場開設まもない頃の生産馬で、準オープンまで出世して里帰りした。近親には朝日杯3歳S(G1)で2着に入るも、レース中の故障でこの世を去ったタガノテイオーがいる。「思い入れのある血統なので、この牝系から重賞馬を出せたことは感慨深いですね。」と、杉木さん。15年の時を経て、タガノテイオーの無念も晴らす結果を呼んでいる。タガノグラマラスは健在で、今年はキングズベストの仔を出産予定。1歳には父エンパイアメーカーの牝馬がいる。
「1歳の半妹はタガノグランパ同様、小さくて素直な馬ですね。柔らかい身のこなしをしています。エンパイアメーカー産駒は牧場で何頭か育てていますが、この仔もそうですし、かたちの良い仔が多いですね。兄妹重賞制覇を狙っていますよ。」と、杉木さんは声を弾ませる。
新装・中京競馬場で鮮やかな豪脚を披露した本馬。その鋭い決め手はクラシックの舞台でも十分通用するだろう。杉木さんは静かに頂点を意識している。
「今後も無事に、ケガなく走ってきて欲しいです。牧場の仕事がありますので、なかなか競馬場まで応援に行ける機会は少ないですが、オーナーがG1勝利を成し遂げられるように、これからもスタッフ一同励んでいきたいです。ここ数年、繁殖牝馬の質がグッと上がってきましたし、オーナーブリーダーのメリットを生かした強い馬づくりが、やっと結果につながってきました。」