2014年03月15日 中日新聞杯 G3
優勝馬:マーティンボロ
プロフィール
- 生年月日
- 2009年08月20日 05歳
- 性別/毛色
- 牡/青鹿毛
- 戦績
- 国内:18戦6勝
- 総収得賞金
- 165,474,000円
- 母 (母父)
- ハルーワソング(USA) by Nureyev(USA)
- 馬主
- 吉田 和美
- 生産者
- ノーザンファーム (安平)
- 調教師
- 友道 康夫
- 騎手
- D.バルジュー
父がディープインパクトで、全兄はラジオNIKKEI賞(G3)の勝ち馬フレールジャック。しかも近親にはヴィクトリアマイル(G1)の勝ち馬ヴィルシーナ(牝5)の名前もある良血馬のマーティンボロ。それにも関わらず、この中日新聞杯(G3)では10番人気の評価に止まった理由は、重賞初挑戦ということだけでなく、8月生まれということも大きく関係していたのではないかと思われる。
「マーティンボロが育成厩舎に来たのは通常の1歳馬より3、4か月ほど後になります。その頃になると外は雪が降り積もっていたので、通常ならロンギ場で行っていた乗り慣らしも、廊下で行っていました」とはマーティンボロの育成調教を手がけた、ノーザンファーム早来牧場の林宏樹厩舎長。数々のG1馬の調教を手がけてきた林厩舎長にとっても、8月産まれの育成馬に携わるのは未知の経験であった。
屋内坂路コースをメイントラックに、冬期間でもペースを落とすことなく調教が行われるノーザンファーム早来牧場であるが、それでも馴致の時期が遅れたマーティンボロは、成長の遅れもあって同世代の馬たちより弱く、常に違ったメニューでの調教を余儀なくされた。
「競走馬としての基礎を作るまで大変で、ハロン15秒の時計を出すまでの時間がかかりました。厩舎に送り届けた後、しばらく経ってから、所属先である友道厩舎へと行く機会があったのですが、その時、小柄だった馬体に幅が出ていたので、これなら自分より早く産まれた馬たちとも互角の勝負ができるかもしれないと思えるようになりました」(林厩舎長)
3歳の3月にデビューを果たしたマーティンボロではあったが、それでも勝ち上がるまでには6戦を要することになる。もし、産まれた時期がほぼ同じ南半球の馬ならば、アローワンスで斤量のメリットもあったのだが、日本産馬のマーティンボロはその恩恵に預かれることなく、同世代の馬とのレースを余儀なくされた。
「それでも友道調教師や、厩舎のスタッフの皆さんが大事に管理してくれたのでしょうし、だからこそ勝ち上がった後も順調にクラスを上げることができたのでしょう。レースを見る限り、これから充実期を迎えそうな印象もありますし、今後は重賞戦線で更なる活躍も期待したくなります」(林厩舎長)
決してクラシックだけが競走馬の目指す頂点ではない。成長の遅さもあって、ようやく良血を開花させたマーティンボロだが、同世代のどの馬よりも、生物学的に「伸びしろ」があることは間違いない。今後はアローワンスなど無くとも、止まる事を知らない成長力で更に大きなタイトルも狙えそうだ。