重賞ウィナーレポート

2014年02月18日 クイーンC G3

2014年02月18日 東京競馬場 晴 稍重 芝 1600m このレースの詳細データをJBIS-Searchで見る

優勝馬:フォーエバーモア

プロフィール

生年月日
2011年02月06日 03歳
性別/毛色
牝/栗毛
戦績
国内:4戦3勝
総収得賞金
100,142,000円
ネオユニヴァース
母 (母父)
エターナルビート(USA)  by  Pentelicus(USA)
馬主
(有) サンデーレーシング
生産者
追分ファーム (安平)
調教師
鹿戸 雄一
騎手
蛯名 正義

 昨年の阪神JF(G1)。札幌2歳S(G3)を優勝しこのレースを制したレッドリヴェール。そして新潟2歳S(G3)を優勝して2着に入ったハープスターに続く3着と、差のないレースをしたのがフォーエバーモアだった。

 「阪神JF(G1)は早めに先頭に立つ展開の中で、よく粘り混んでくれました。直線では行けると思っていたので悔しさもありましたが、G1でも十分に戦える能力があることを証明してくれましたし、先に繋がるレースになるとも思いました」とはフォーエバーモアを育成した、追分ファームリリーバレーの加地洋太厩舎長。2歳G1で勝ち負けのレースが出来るほどの完成度を誇っていたようにも思えるフォーエバーモアではあったが、追分ファームリリーバレーにいた頃は、むしろ順調さを欠いていた時間の方が長かった。

 「背中は誰が乗っても抜群という評価があったのですが、その一方で体質が弱く、また精神面でも脆さが感じ取れることもありました。それだけに馬に合わせた調教を心がけていました」(加地厩舎長)

 フォーエバーモアにとって幸運だったのは、追分ファーム、追分ファームリリーバレーと一元管理されたことで、スタッフ同士が情報を管理できていたこと。そして育成先となった追分ファームリリーバレーには、成長の過程に際して、十分に対応出来るだけの調教施設が備えられていたことだった。

 1,020mの坂路コース、そして外周1,000m、内周600mの周回コースには、どちらも屋根がかけられており、年間を通して変わらない調教を行うことができた。フォーエバーモアはこの恵まれた施設で体力を付けられていくだけでなく、精神的にも強さを増していく。2歳の8月、メイクデビュー新潟でデビューを果たすと、続くサフラン賞も勝利。そこには心身共に逞しさを増したフォーエバーモアの姿があった。

 「阪神JF(G1)を勝ったレッドリヴェール、2着のハープスター共に強い馬だと思います。それだけにレース後は、またあの2頭とフォーエバーモアが同じ舞台で戦う姿を見てみたいと思っていました」(加地厩舎長)

 阪神JF(G1)でのレース内容が高く評価され、単勝1.8倍という圧倒的な支持で迎えたクイーンC(G3)。当然のようにフォーエバーモアには勝利の二文字が期待されたが、スタート後、スローな流れを嫌ったのか、多少、折り合いを欠くような仕草を見せる。

 「これまでのレースではかかっているところを見たことが無かったので、心配こそしましたが、蛯名騎手が折り合いを付けてくれてからは安心してレースを見ることができました」(加地厩舎長)

 勝負どころを迎えた東京競馬場の長い直線。持ったままで先頭に立ったフォーエバーモアではあったが、それでも蛯名騎手からのゴーサインはまだ出ない。ゴール前、直線一気の策に出たマジックタイムが迫ってくるのを見るかのように追い出しを開始。着差はクビ差ではあったが、その脚色はゴールを過ぎてからも衰えることが無かった。

 「蛯名騎手もこの後を見越した騎乗をしてくれたのでしょう。マジックタイムの追い込みを凌ぎきってくれただけでなく、東京で前にいながら粘り混むレースが出来たことも、今後に向けて更に可能性の広がるレースになったと思います」(加地厩舎長)

 フォーエバーモアにとって待望の重賞勝利は、追分ファームリリーバレーにとっても、記念勝利となった。生産、育成一貫の馬作りを目指し、追分ファームの生産馬を中心に育成が行われてきた追分ファームリリーバレーであるが、このクイーンC(G3)が初めての中央重賞制覇となったのだ。

 「育成スタッフだけでなく、追分ファームの生産スタッフやイヤリングスタッフ、そして吉田正志マネージャーとみんなで喜びを分かち合いました。この勝利でクラシックへの出走が可能となりましたし、レッドリヴェール、ハープスターと共に「3強」と堂々と言える結果を残してくれたことも嬉しいです」(加地厩舎長)

 レース後、フォーエバーモアは桜花賞(G1)へ直行することが発表。そこにはレッドリヴェールやハープスターの姿もあるはず。2度目の三強対決はそこで叶いそうだが、ここに来ての成長力に秀でた感のあるフォーエバーモアが、レースで見せた力強い先行力のように、桜花賞(G1)のゴールも真っ先に切ってしまうかもしれない。