2014年01月19日 京成杯 G3
優勝馬:プレイアンドリアル
プロフィール
- 生年月日
- 2011年03月22日 03歳
- 性別/毛色
- 牡/鹿毛
- 戦績
- 国内:5戦3勝
- 総収得賞金
- 56,747,000円
- 父
- デュランダル
- 母 (母父)
- シルクヴィーナス by ティンバーカントリー(USA)
- 馬主
- 岡田 繁幸
- 生産者
- 森 牧場 (新冠)
- 調教師
- 河津 裕昭
- 騎手
- 柴田 大知
皐月賞(G1)と同じ舞台で行われた京成杯(G3)は地方・川崎から挑戦したプレイアンドリアルが直線で抜け出し、嬉しいJRA重賞制覇を果たした。
本馬の生産は新冠町の森牧場。代表の森政栄さんと、妻のひとみさん夫婦による家族経営の牧場で、古くは1977年の菊花賞馬プレストウコウの故郷で、近年は2004年のアイビスサマーダッシュ(G3)2着馬タカオルビー、その高い素質から種牡馬入りしたニューイングランドを生産している。創業は昭和25年。
「坂路で鍛え上げられた効果でしょうか、直線の坂でグイっと伸びましたね。東京スポーツ杯2歳S(G3)は惜敗、朝日杯FS(G1)は人気で敗れていましたから、今回の勝利は本当に良かった、ほっとしたという気持ちです。何度もリプレイを見ましたし、翌日新聞が配達されるのが楽しみでした。」と、レースの感想を語ってくれた森政栄さん。当日は親しい牧場の皆さんが集まり、テレビの前には十数人の応援団が作られていた。ゴール前は実況が聞こえないほどの声援が飛んだと、森さんは苦笑いする。一緒に見ていた妻のひとみさんは、「震えましたね」と当時を振り返る。
本馬はティンバーカントリー肌の母シルクヴィーナスの初仔として誕生した。デュランダルの優れたスピードと豪脚に狙いを定め、交配に至ったという。「デュランダル産駒にしては胴の長い馬で、1歳6月頃まで牧場で育ちました。手のかからない馬で、主に家内が担当していました。サンデー系らしい気の荒さはなく、人間に対して悪さをしなくて、手入れとかも本当に楽でした。」と、幼少期を振り返る。手入れや放牧地から厩舎への出し入れなどは、もっぱらひとみさんの役目だった。1歳時、サマーセールに上場され、そこで取引された後、2歳時に再度トレーニングセール上場となり、735万円(税込)で落札された。
デビュー戦は8月15日の門別競馬場、スーパーフレッシュチャレンジ競走で、2着に1秒の差をつける圧勝。続く2戦目は岩手・盛岡に遠征し、初芝ながらぶっちぎりの勝利を収め、その後はJRA挑戦へと舵は切られた。「2歳夏の時点で、オーナーサイドのスタッフから、すごく期待している馬だと聞いていました。能力検査のあとは、それを知った大井の調教師さんから、“これは走る馬だね”と電話もあったんですよ。デビュー戦は都合がつかなくて、門別競馬場まで行けなかったんですが、その時は走りを見ていて、芝の方が向きそうだなと思いました。」森さんの分析は当たり、かつてのコスモバルクのように、ホッカイドウ競馬のデビューから芝の一線級馬と互角に渡り合える馬へと階段を上っている。
母シルクヴィーナスは今年8歳となり、2番仔の牝馬(2歳、父アドマイヤムーン)はサマーセールでJRAが購入。3番仔は牝馬(1歳、父ブラックタイド)、現在はディープスカイの仔を宿している。「母の3代母はケイティーズで、実績ある血統です。仔出しは良く、健康に過ごしています。」と、森さんは紹介する。放牧地での記念写真では、ピタッととまってポーズをとってくれた。白目があるところは、本馬と同じ特徴だ。
素質馬が揃った一戦で見事な競馬を見せ、2歳秋の悔しさを晴らしたプレイアンドリアル。「理想と現実」という馬名を胸に、これからどんな道のりを歩むだろうか。良血馬やトップサイアーの産駒、大手牧場の生産馬_エリートホースがクラシックを席巻している中、理想を描いた頂上アタックに、どんな現実の答えが出るか興味深い。
「皐月賞(G1)の日はちょうどシルクヴィーナスの出産予定日なんです。なので、自分たちが応援には行けないと思いますが、朝日杯FS(G1)の時と同じように、子供たちが行くことになるでしょう。無事にクラシックへ駒を進めて欲しいと思います。」