2013年11月17日 マイルChS G1
優勝馬:トーセンラー
プロフィール
- 生年月日
- 2008年04月21日 05歳
- 性別/毛色
- 牡/黒鹿毛
- 戦績
- 国内:20戦4勝
- 総収得賞金
- 460,976,000円
- 母 (母父)
- プリンセスオリビア(USA) by Lycius(USA)
- 馬主
- 島川 隆哉
- 生産者
- 社台ファーム (千歳)
- 調教師
- 藤原 英昭
- 騎手
- 武 豊
破顔一笑で一言、「痺れましたねぇ」との言葉が社台ファームの東礼治郎調教主任から出てきた。
混戦とも目された今年のマイルChS(G1)。単勝一桁代の人気が4頭というオッズにもファンの混迷する心理が現れた中、2番人気となったのはこれがデビュー以来、初めてのマイル戦となったトーセンラー。G1馬を含めたマイルのスペシャリストを相手にどういったレースを見せるかにも注目が集まったが、速い流れにも戸惑うことなく後方に待機すると、最後の直線で末脚を爆発。今年の天皇賞(春)(G1)で2着となった馬が、ちょうどその半分の距離で行われたマイルChS(G1)で、初めてのG1タイトルを掴んだ。
「大一番でこの決め手を引き出せるのは、武豊騎手にしかできない芸当だと思います。さすがとしか言いようがありません」(東調教主任)
その武豊騎手がデビュー当初に話していたのは、「ディープインパクトに良く似ている」という高い評価。それは成長過程を見つめてきた東調教主任もまた、能力の高さを早い時期から感じ取っていた。
「それでも完成までには時間を要しましたが、その時期に先を見据えた我慢の馬作りで手腕を発揮してくれた藤原調教師にはいつも唸らされます。また、島川オーナーには社台ファーム生産馬では初のG1勝ちとなりましたし、本当に喜ばしい勝利となりました」(東調教主任)
トーセンラーの活躍を振り返った際に、語らなければいけないエピソード。それは3月11日の東日本大震災。その日、調整先の山元トレーニングセンターで被災にしたトーセンラーは、ライフラインがストップした山元を離れなくてはいけなくなったが、馬運車会社の関係者、そして藤原厩舎のスタッフが中継点となる茨城の育成場でトーセンラーを出迎えるなど、様々な人の手助けを得て栗東に帰還。震災のショックを乗り越えて今年の京都記念(G2)で約2年ぶりの勝利をあげ、そしてG1馬という最高の称号を手にすることができた。
先日、年内は休養に入ることが藤原調教師から伝えられたが、東調教主任は来年は更なる活躍も期待できそうだと分析する。「勝利こそあげることはできませんでしたが、成長の証は昨年のサマー2000シリーズで証明されつつあった印象があります。それはデビュー時からの馬体増にも証明されていますし、何より外見的にも充実度が目に見えて分かります。それは島川オーナー、そして藤原調教師や厩舎のスタッフの力添えに加え、今回のマイルChS(G1)でも応援してくださったファンの方も含め、トーセンラー自身が人の和を引き寄せ、それを力にしてくれているのではないのでしょうか。来年も応援をよろしくお願いします」(東調教主任)