2013年07月03日 スパーキングLC(中央交流) Jpn3
優勝馬:メーデイア
プロフィール
- 生年月日
- 2008年05月11日 05歳
- 性別/毛色
- 牝/鹿毛
- 戦績
- 国内:15戦7勝
- 総収得賞金
- 209,102,000円
- 父
- キングヘイロー
- 母 (母父)
- ウィッチフルシンキング(USA) by Lord Avie(USA)
- 馬主
- (有) 社台レースホース
- 生産者
- 追分ファーム (安平)
- 調教師
- 笹田 和秀
- 騎手
- 濱中 俊
「タイムオーバー」――― 1着馬の走破タイムから、規定された秒数(条件によって異なる)を超過して入線した馬に、一定期間の出走停止処分が科される。
『グランダム・ジャパン』古馬シーズンの第2戦「スパーキングレディーC(Jpn3)」を制したメーデイアは、3歳春のデビュー戦でタイムオーバーの制裁を科されている。その馬が5歳を迎え、ダートグレード競走の堂々たる主役へと変貌。僅か2年の間に、これほどの進化を遂げる馬も珍しいだろう。
メーデイアの生まれ故郷は、北海道安平町の追分ファーム。過去には、菊花賞馬ソングオブウインドや桜花賞馬レジネッタといったクラシックホース、ダート路線でもゴールドアリュール、オーロマイスターなどのG1馬、そして現役馬では今年の天皇賞(春)(G1)を制したフェノーメノなど、数々のG1馬を送り出してきた生産牧場だ。メーデイアの半姉に当たるロフティーエイム(父サンデーサイレンス)も同牧場で生まれており、福島牝馬S(G3)に優勝するなどの活躍を見せた。
「姉のロフティーエイムがそうだったように奥手の血統だとは思っていましたが、今年に入ってからの充実ぶりを見ると、デビュー戦でタイムオーバーをしてしまった馬だとは信じられませんよね。まさしく、ミラクルホースだと思います」とは、追分ファーム事務局の伊関太郎さん。3歳未勝利戦がなくなる寸前の9月にようやく初勝利を挙げ、その後も勝ち負けを繰り返しながら少しずつクラスを上げていったメーデイアは、5歳1月、格上挑戦となった重賞初挑戦の「TCK女王盃(Jpn3)」で5馬身差の圧勝劇。続く4月の「マリーンC(Jpn3)」も3馬身差で勝利し、ミラクルレジェンドが引退した後の新ダート女王争いを、一歩も二歩もリードする形となった。久々の芝レースとなった「ヴィクトリアマイル(G1)」はさすがに惨敗してしまったが、得意の舞台に戻った今回の「スパーキングレディーC(Jpn3)」で初ナイターも難なくクリア。今年に入ってから行われた古馬牝馬ダート交流重賞4戦のうち、参戦した3戦すべてを快勝する充実ぶりだ。
「これまでの遠征でも結果を残してくれていましたし、環境に順応できるだけの賢さも持った馬なので、初ナイターでも安心して見守っていました。今回のレースは、着差以上に能力の高さを証明してくれたレースだったと思います」と、いつも通りの先行策から早めに抜け出す安定したレースぶりを、頼もしげに振り返る。
「5歳になって結果が出始めたのは、管理をしていただいている笹田先生やスタッフの皆さんが、我慢強くメーデイアに接していただいた結果だと思います。馬の状態や成長を見極めながらレースを使ってもらえていることも、この好成績に表れているのでしょう」と分析する伊関さん。厩舎開業5年目という笹田和秀調教師だが、エリンコート(オークス(G1))やレディアルバローザ(中山牝馬S(G3)連覇)など、牝馬の活躍が特に目立つ。メーデイアにも、さらに大きなタイトルへの期待が懸けられていることだろう。
「今後の最大の目標はJBCレディスクラシック(Jpn1)になると思いますが、これまでのレースぶりからしても距離は不問ですし、レース経験が確実に次のレースへと活かされている印象も受けます。あとは気分良く自分のレースをしてもらえれば、結果は自ずとついてくるでしょう」と自信を覗かせる伊関さん。今年から格上げされて国内唯一の牝馬ダートJpn1競走となった「JBCレディスクラシック(Jpn1)」。しかも、金沢競馬場で史上初めて行われるJpn1競走。現時点で、その歴史に名を刻むメモリアルホースに最も近い位置にいるのが、メーデイアであることは間違いない。