2013年06月05日 東京ダービー(DW2013)
優勝馬:インサイドザパーク
プロフィール
- 生年月日
- 2010年03月10日 03歳
- 性別/毛色
- 牡/栗毛
- 戦績
- 国内:11戦5勝
- 総収得賞金
- 93,302,000円
- 馬主
- 山口 裕介
- 生産者
- 藤本牧場 (静内)
- 調教師
- 林 正人
- 騎手
- 左海 誠二
南関東クラシック一冠目「羽田盃」を制したアウトジェネラル、ダートグレード競走の「全日本2歳優駿(Jpn1)」2着馬ジェネラルグラント、牝馬クラシック二冠目「東京プリンセス賞」の勝ち馬カイカヨソウと、ホッカイドウ競馬出身馬が人気を集めた今年の「東京ダービー」を、4番人気の南関東生え抜き馬インサイドザパークが制した。道中は中団で脚を溜め、3~4コーナーで徐々に進出。直線で外に持ち出し、最内をついて粘りこもうとするジェネラルグラントをゴール前できっちり捉え、第59代東京ダービー馬の栄冠を手中にした。
インサイドザパークの生まれ故郷は、新ひだか町静内の藤本牧場。過去の生産馬には、1977年のオークスで5着に入ったウエスタンパレスや、中央5勝を挙げたマイネルレグナム、東京プリンセス賞やロジータ記念を制したスギヤマワッスルなどの活躍馬がいて、近年では、一昨年のエーデルワイス賞(Jpn3)2着、北海道2歳優駿(Jpn3)3着と、ダートグレード戦線を沸かしたシーキングブレーヴが記憶に新しい。
「インサイドザパークの近走は不完全燃焼の感があったので、全力を出し切れれば勝ち負けになると思っていました。お祝いの電話をたくさんいただき、地域の軽種馬振興会では祝賀会も行いました。ダービー優勝の瞬間から急に慌ただしくなり始めて、凄いことをやってくれたんだなという実感が沸いてきました」と話すのは、インサイドザパークの生産者・藤本隆さん。レースが行われた時間は、通院している札幌の病院からの帰り道で、その朗報を車中で受けたそうだ。
インサイドザパークは、サマーセールの取引馬である。藤本さんは自信を持って愛馬を上場したが、興味を示す購買者は少なかった。「当歳夏から昼夜放牧をしていた影響で、お尻の張り具合も目立っていましたし、馬っぷりは良かったんです。気性の悪いところもない馬なので、どうして誰も競ってくれないのだろう? と不思議に思っていました。半兄3頭の成績が芳しくなかったからですかね…」。
結局、189万円(税込)で山口裕介氏が落札し、船橋の林正人厩舎からデビューすることになったインサイドザパークは、新馬戦を楽に勝ちあがると、2歳重賞の「鎌倉記念」「平和賞」を連勝。3歳初戦で果敢に挑戦したJRAダートオープン「ヒヤシンスS」は8着と敗れたが、「京浜盃」3着、「羽田盃」3着と堅実なレースで賞金を加算していく。そして今回の「東京ダービー」を制したことで、獲得賞金は8000万円を超え、すでに売却された価格の40倍以上を稼ぎ出している計算になる。
殊勲の母マチカネホシシロキは、サッカーボーイの産駒。現役時代は中央に所属して11戦を戦い、勝利を挙げることができなかったが、引退した同馬を、新ひだか町の商社ジェイエスを通して藤本さんが購入し、繁殖牝馬として迎え入れた。その後、マチカネホシシロキは毎年順調に仔を出産し、タイムパラドックスとの配合で5番仔として生まれてきた牡馬がインサイドザパークだった。
インサイドザパークが生まれた約1か月後、マチカネホシシロキの半妹に当たるマチカネエンジイロが、安平町のノーザンファームで父にローエングリンを持つ牡馬を出産している。のちにゴットフリートと名付けられて中央デビューしたこの馬は、新馬、特別を連勝し、2歳チャンピオン決定戦の朝日杯フューチュリティS(G1)を3着、3歳初戦の共同通信杯(G3)でも2着に入る活躍を見せた。従兄弟同士が中央と南関東で、同時期に世代トップの座を目指していたことになる。
そして現在、同牧場にはインサイドザパークの半妹に当たる牝馬(牝1歳、父ローエングリン)が順調に育っている。「ゴットフリートと近い血統ですし、将来を楽しみにしています。素軽い動きを見せていますので、芝向きの馬になるでしょう」と藤本さんもその成長を楽しみにしている。
「インサイドザパークも、まだまだ上を目指せる馬だと思います。3歳初戦に中央挑戦したヒヤシンスSでは負けてしまいましたが、一線級の中央馬とも互角に戦える馬になってほしいです」と大きな期待をかける藤本さん。その中央馬たちと剣を交える舞台「ジャパンダートダービー(Jpn1)」が目前に迫っている。ダービーウイークを戦った地方馬たちの思いを乗せて、堂々と世代の頂点に立ってほしい。