重賞ウィナーレポート

2013年04月20日 福島牝馬S G3

2013年04月20日 福島競馬場 曇 良 芝 1800m このレースの詳細データをJBIS-Searchで見る

優勝馬:オールザットジャズ

プロフィール

生年月日
2008年02月24日 05歳
性別/毛色
牝/鹿毛
戦績
国内:19戦6勝
総収得賞金
185,218,000円
タニノギムレット
母 (母父)
ダイヤモンドピサ  by  サンデーサイレンス(USA)
馬主
市川 義美
生産者
フジワラフアーム (静内)
調教師
角居 勝彦
騎手
C.デムーロ
  • オールザットジャズの半弟当歳(牡、父ワークフォース)
    オールザットジャズの半弟当歳(牡、父ワークフォース)
  • 母ダイヤモンドピサは今年、タニノギムレットを交配予定
    母ダイヤモンドピサは今年、タニノギムレットを交配予定
  • 当歳馬は素軽い動きを見せている
    当歳馬は素軽い動きを見せている

 ヴィクトリアマイル(G1)に向けての前哨戦、福島牝馬ステークス(G3)は昨年の覇者オールザットジャズが1番人気に応え、見事2連覇を飾った。

 本馬の生産は新ひだか町静内のフジワラファーム。静内(御園、豊畑)、新冠(万世)に拠点を持ち、生産から育成を手がけている。繁殖牝馬は40頭で、過去にはダートG1馬ウイングアローやUAEダービー(G2)に駒を進めたイイデケンシン、セフティーエンペラ、ロングプライドといった重賞馬を送り出している。

 「重賞連覇を成し遂げてくれて、大変嬉しいです。レースは牧場の休憩室で見ていました。最後は接戦になったので、スタッフ揃って声が出ましたね。昨年同様、強い競馬だったと思います。」と、レースの感想を語ってくれたのは、同牧場繁殖スタッフの伊東正和さん。出産・種付けで慌ただしい中、何よりの励みとなる勝利だった。

 “タニノギムレット産駒の牝馬”で、“静内生まれ”とくれば、稀代の名牝ウオッカを思い出す。偶然にも、本馬の入厩先はウオッカと同じ角居勝彦厩舎だった。「牧場にいた頃から、角居先生はオールザットジャズを高く評価してくださいました。放牧地ではボス的存在でしたが、人間の指示にはよく従う馬でした。1歳の時点で馬体は素晴らしく、必ず走ってくれる馬になると信じていました。」と、伊東さんは振り返る。

 サンデーサイレンスの直仔である本馬の母ダイヤモンドピサは、繁殖牝馬として高い能力を発揮している。これまで7頭の仔を生み、デビューした馬からは本馬に加えて2勝馬、3勝馬が出現。確実にヒット・ホームランを飛ばしている。伊東さんは、「仔出しの良い繁殖牝馬で、交配種牡馬の長所を引き出してくれます。人間にはよくなつき、子育てもしっかり。体質も頑丈で、手がかからないです。」と、その仕事ぶりを褒める。1歳に父クロフネの牡馬がいて、今年は父ワークフォースの牡馬が生まれている。伊東さんは、「弟となる2頭も順調に育っています。1歳はがっちりした馬で、パワータイプですね。当歳は軽くてすっきりしていて、芝向きの印象です。ともに高い素質を感じます。」と、紹介する。そのブラックタイプは更に濃さを増していきそうだ。

 「今回の勝利で、次走以降もますます楽しみになりました。これからもケガなく、無事に走って欲しいと思います。今は繁忙期で牧場を離れられませんが、いつか競馬場で応援したいです。」と、伊東さんは白い歯をこぼす。大観衆の前を走る姿を思い浮かべながら。円熟の5歳春、牝馬の頂点はくっきりと映し出されている。